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神殺し召喚  作者: ビターグラス
13 黒い城の地下へ
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真の王の間

 王座の後ろの扉の先に進んでも、廊下の作りは変わらなかった。黒いレンガで壁と床、壁には等間隔で松明のような見た目の明かりがついている。その明かりは、歩くのに支障がない程度の明るさで、細かいところまで見えるわけではなかった。


 廊下は一本道で、彼女の右側に扉があった。彼女は一つ一つ、中を警戒しながら、扉を開けて部屋の中に入っていったが、中にはほとんど何もなかった。樽や木箱がいくつが見つかったが、中身は何も入っていなかったのだ。現在、それらの部屋には木の残骸が散らばっていた。彼女は下の階へと続く階段を下りていく。三階ほど降りると、ようやく廊下と部屋の配置が換わった。そこが最後の部屋だと言わんばかりに、真っ直ぐ伸びた廊下の先に両開きの扉があった。


 彼女は扉をゆっくりと開いて、できた隙間から中を覗いた。薄暗い部屋。部屋の中は広く、上の階にあった王座のあった部屋と同じ作りだ。しかし、部屋の雰囲気はこちらの方が悪い。扉と反対方向には人影がある。そして、その後ろにはその火と影より大きな黒い石が置いてあった。その意志は微かに光っているようで、目の前に人影の顔などは影になってしまっている。人影が扉の方に移動して生きているのがわかった。


 薄暗いながらも、その姿が見えてきた。そして、それが影だから見えないと思っていたが、それは間違いだと気が付いた。肌が黒いのだ。そして、耳の近くから二本の角が生えていて、天を指している。筋肉はついているが、筋肉質ではない。裾がボロボロになったマントのような布を纏い、偽の王と同じパンツを履いている。その姿は禍々しいというほどではないが、偽の王を見た後だと、目の前のそれがこの城の主であるのだと思わせるのに十分だった。


「俺のクローンを全部倒したのか。中々、やるなぁ」


 その声や話し方は、聞いている人間を自分のペースに引き込もうとしているような、ねっとりした印象を受ける。デンファレも相手の話し方に嫌悪感を覚えた。


「どうしたんだい。俺を倒しに来たんだよね。早く攻撃しないのか」


 罠があるぞと言わんばかりの話し方。腹は立つが、彼女はそんな安い挑発に乗るほど今は直情的ではない。ただ、この旅の最初のころなら突っ込んでいっただろう。神である彼女も成長しているということであった。


「まぁ、そっちから来ないならこっちからやろうかな。あんた、神様って言っても弱そうだし、今は人間と変わんないんだろ?」


 彼はどこから取り出したのか、禍々しい剣を持っていた。剣身が濃紺で凹凸があり、剣同士が打ち合えば、その剣と打ち合った剣の刃が欠けるだろう。それくらいごつごつした剣だ。


 デンファレはここに来る前にヴィクターから貰った透明な剣身を持つ剣と鞘から出して構えた。剣身が部屋のほのかな光を反射して、きらりと光る。デンファレはそれを見て、剣を握る手に力が入る。


――これが終われば、世界を元に戻せる。


 彼女の心に最後の戦闘に臨む覚悟が決める。


 最後の戦闘。先に動いたのは相手だ。禍々しい剣を片手で持って、振り下ろす。その剣は見た目からして重そうだったため、剣で打ち合わずに回避する。大きく回避してしまったため、反撃するには至らない。彼女はすぐには動かず、相手が近づいてくるのを待つ。見合いが数分続いて、我慢できなくなったのは相手だ。地面を一蹴りするだけで、デンファレとの距離が詰まり、一瞬で目の前に相手が現れた。邪神ではあっても神なのだ。人間だけ比べれば、凄い力の持ち主の彼女でも、神と比べれば大したことはない。どうやったとしても神の方が身体能力は高いのだ。それでも彼女は神だったのだ。相手の振り下ろされる剣を先読みと持ち前の反射神経でその攻撃を回避し、透明な剣身が相手に届いた。その剣が届くまで、相手は余裕そうな顔をしていた。それはこの旅を始めるほんの少し前にデンファレがしていた顔と似ている。人間の武器が神を傷つけられるはずがない。そういう思いだ。


 しかし、デンファレが突き出した剣は相手の横っ腹に突き刺さる。相手には痛みこそないが、自身の体を傷つけられた感覚はある。そして、その瞬間の顔もデンファレがヴィクターにされたときと同じような表情をしていた。デンファレがそれに気が付くことはない。彼女は本当に真剣に戦っている。これで勝つことが出来れば、世界を救うことが出来る。油断して、消滅なんてことになるなんて情けないことはできないのだ。


 彼女は油断なく、突き刺した剣を横に振り、相手の腹を斬る。血こそ出ないが、そこから黒い煙のようなものが出ている。その煙はきっと、邪神の為の信仰の力なのだろう。彼女はそのまま相手から離れずに、連撃を食らわせる。腹を切り裂かれた相手は、驚くばかりで彼女の攻撃を回避するという考えが抜け落ちている。神からすれば、人間の武器に傷つけられるなんてことはあり得ないことだった。

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