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神殺し召喚  作者: ビターグラス
12 準備はできていないけれど
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王の影武者

 偽の王を倒しても、特に部屋に変化があるわけでもなく、次の敵が現れるわけでもない。本物が出てきていないということはまだ、ここから先に行ける扉か何かがあるはずなのだ。部屋の見える範囲にはそう言ったものは見当たらない。あるとすれば、王座や柱の影になっている場所だと検討をつける。彼女は最初に王座の後ろを確かめるために、王座に近づいた。王座に近づく度に彼女の意識は次の扉のことに映っていく。その度に警戒が薄れていく。後散歩ほどで王座の前に到達すると言ったとき、彼女はバックステップで二、三歩後ろに下がる。彼女の体が合った場所に何かが落ちてきた。


 それは倒したはずの偽の王。斬りつけた傷も突き刺した傷も治ってしまっている。傷一つない体で、それは落ちてきたのだ。デンファレには何が起きたのか理解できていないが、反射的に剣を抜いた。再び、偽の王と対峙する。


(倒しきれなかったのからしら。手応えはなかったけど、確実に倒しきったはずよね)


 自身に問うても答えを返せるはずもなく、先ほど戦った偽の王との戦闘を思い出すしかない。記憶通りなら確実に倒していたはずだとしか思えないのだ。しかし、現に相手はそこにいる。偽の王と呼んでいるが、本当に影武者のような役割を与えるとすれば、倒した一体と目の前にいる一体は別個体と考えることもできる。そして、そう考えると、この二体だけと考える方が不思議なことだろう。デンファレはまだ、偽の王がいるかもしれないということを頭の片隅に置いておく。目の前の一体だけでなく、周りも警戒することで戦闘に割ける力自体は少なくなるが、それでも偽の王にすぐにやられるほど、彼女の旅の経験は浅くない。今回の偽の王との戦闘も徐々にデンファレが押し始める。相手に切り傷を一度でも与えることが出来れば、その隙を連続で責めることが出来るため、苦戦と言う苦戦を強いられることもない。一対一となれば、魔獣の方が厄介な奴が多いかもしれないと考えるほどだ。


 彼女が相手の隙を突いて、剣を左に右に振っていると、背中側から空気を切るような音がした。彼女はその音を聞いた瞬間、攻撃を止めて、横に飛んだ。体制が悪く、彼女は体で地面を滑り、倒れたまま視線だけは偽の王が板方向へと向けた。そこにいたのは二体の偽の王。片方は彼女が斬りつけた傷があるが、もう一体はその場に立って、デンファレを見つめている。彼女を見つめている方は切り傷一つついていない。


(やっぱりまだいたわね)


 そう思いながらも、偽の王の数がどれくらいなのかはわからないため、周囲への警戒は怠らない。魔獣だらけの草原で戦うときと同じ技術だ。最初こそトールに頼りきりで、周りの警戒をしてもらっていたが、今ではトールほどでないにしても周りを警戒しながら戦闘できるようになっている。だが、その状態で偽の王を何体も相手にできるわけではない。しかし、数が多いならなぜ、すぐに大人数で攻撃してこないのかは不思議な話である。デンファレだろうがトールだろうが、圧倒的な数の差を埋めることはできない。どれだけ凄い能力があろうと、対処できない数で押されれば負けるのは必然だ。そうしないことに理由があるのか、彼女には知る由もないが、数が少ないうちに処理できるなら、そうした方が良いだろう。彼女はすぐに体勢を立て直し、傷ついた方の偽の王に攻撃を仕掛ける。しかし、無傷の方が前に立ちはだかる。


 デンファレとしてはどちらから倒そうと構わなかった。そのため、遠慮なく、剣を相手の胴に突き立て、勢いで前に進む。相手は踏ん張りがきかない体制で、足の爪で地面を傷つけながら、後ろへと押していく。そして、偽の王の体を貫いた剣が既に傷ついていた偽の王の体にも突き刺さる。串刺し状態のまま、彼女は剣を抜き、目の前にいる王をくるりと身を回転させて後ろへ回り、瀕死の偽の王の首や手を切り刻む。左足を切ろうとしたところで二体目に邪魔された。一体目のダメージは相当なもので、残った体は地面に力なく倒れた。二体目から離れて、距離を置いた彼女の上に三体目が飛んでくる。いつの間にジャンプしたのか。だが、彼女はそれに気が付いて、落ちてきた相手の足に剣をぶつけて弾く。彼女は何か予感がして、剣をずらして前に構え、二体目へ向かってジャンプする。相手にぶつかる前に、剣を振り下ろしてジャンプ斬り。二体目は頭から腹の辺りまでが引き裂かれ、二体目が倒れる。それとほぼ同時に、三体目がいる場所に既に四体目がいる。きっとそこから避けていなければ、攻撃を受けていただろう。また二体かと思いきや、ついに彼女が攻撃を受けて吹っ飛んだ。二メートルほど飛んで地面にぶつかり、何回転かして止まる。彼女は顔を上げて、攻撃が来た方を見る。そこには三体の偽の王。


(まさか、倒せば倒すほど数が増える? そんな超能力、無いとは言い切れないわ)


 それでも、彼女のやることは変わらない。倒せば増えるのだとしても、超能力を使用するのにも限界はある。それにトールがここまでくれば形勢逆転するだろう。彼女は起き上がり剣を構えた。

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