表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神殺し召喚  作者: ビターグラス
11 マギアルの危機
51/72

侵入者

 模擬戦を終えて、訓練所から出てきた三人は国の入り口の方が騒がしくなっていることに気が付いた。騒がしいと言っても、誰かが悲鳴を上げているとか、奇声を上げているとかそう言ったものではなく、地面に重いものが落下したような音などの衝撃が連続して起こっているというようなものだ。


「どうしたのでしょう。侵入者でしょうか」


「とにかく、行きましょ」


 デンファレが率先して、国の入り口の方へと走り始めた。トールは完全回復しているわけではないので、走ってもいつもより遅い。デンファレは彼に気が付いて、大声を出した。


「トール。貴方はまだ休んでなさい。完璧に回復したらこっちに来なさい。今の貴方は頼りないわ」


 トールもそれを自覚していた。それにベルもデンファレに付いて行っているので、彼は彼女の言葉に素直に従うことにして、訓練所の中に戻った。




 国の入り口では戦闘が起こっていた。相手は鳥類と人間を足したような見た目で、不気味な男性。それを国の中への侵入を阻んでいるのが、オブストと数名のエルフだ。人数差で言えば、確実に翼を持つ男性が不利だろうが、そんなもの全く感じさせないどころか、翼を持つ男性の方が有利にすら見える。


「やはり、エルフではどうにもなりませんね」


 ベルがその戦闘を見て、ぽつりと呟いだ。それはエルフの戦い方を見れば、その呟きの意味はよく理解できるだろう。オブストも含めて、個人技で戦っているのだ。連携していないために、いくら攻撃が来ても、回避するための穴は沢山出来てしまう。その穴を突けば、人数差など簡単に埋められてしまうのだ。きっと、ベルがいなければトールでもその人数差でも勝てるだろう。デンファレも落ち着いて周りを見ていれば、負けることはないはずだ。


「デンファレさん。少し手を貸してもらってもいいでしょうか。私の魔法と貴方の剣術で連携しましょう」


 デンファレがその言葉に返事しようとしたときに、戦っていたエルフの内の一人がベルに気が付いて、話しかけた。その内容は、魔獣避けを吊り下げていた木の枝が折られたことであった。効力を発揮しなくなった魔獣避けは一袋。ただし、この村を守っていた魔獣避けは一袋で効力のある範囲がかなり大きい。そのため、一つでもなくなるとそれに気が付いた魔獣はその穴を突いて、マギアルに押し寄せるかもしれないのだ。そんなことになったら、ベルの力を借りないと国を守り切ることはできないだろう。ベルほどの魔法の実力を持ったものなど、この国にはいないのだから。


「そうですか。どうしましょう。……デンファレさん。あの翼の男性の対処をお願いしてもいいでしょうか」


 デンファレはその言葉に、責任がのしかかるのを感じた。今日こそ、本当にトールの手を借りることはできない。消耗してしまっているトールが回復するのを待っていては、このマギアルと言う国は亡ぶ。トールの手を借りることはできず、この対処に失敗すればマギアルを含めて、滅亡するかもしれない。その大きな認識が彼女の体に冷たい何かを流していた。しかし、その感覚を感じながらも彼女の目には光があった。


「わかったわ。私が何とかする。だから、ベルも戻ってきなさい」


「はい。ありがとうございます」


 ベルはデンファレも信じているのか、彼女は一度も不安そうな顔もせず、一度も振り返りもせず、魔獣避けの効力が無くなったエリアへと走っていった。デンファレはベルの存在が大きいものだと感じながら、その彼女に頼られたことが嬉しくなってくる。そして、その心が何とかこの敵に勝ってやろうという想いを湧きあがらせた。




 デンファレは剣を抜いて、戦線に並ぶ。彼女は魔法主体で戦うわけではないので、オブストと同じ前衛だ。


「お、手伝ってくれるのか。よろしくな」


「あまり期待されても困るけど、何とか戦ってやるわ」


「ふっ、はは。良い目になったな」


 デンファレの耳には彼の言葉が届いていたが、その言葉に返す言葉はなかった。それどころではないと言った方が良いかもしれない。デンファレは自分一人が加わったところで足手まといと言うのは理解していた。しかし、彼女でも役立てることはある。それには連携が重要になってくるだろう。彼女はあの図書館で学んだことを思い出す。


 翼の男性と戦っているのは、オブストに魔法で応戦しているエルフ三人。それに加えて、デンファレ。この人数差であれば、連携を駆使すれば何とか勝てるかもしれない。決め手になるのは、オブストの攻撃だろう。オブスト以外のエルフはベルのような器用な魔法でもなければ、威力のあるものでもない。当たれば少しは怯むかもしれない程度の魔法だ。こうなるとオブストの格闘術が一番ダメージを与えられるだろう。


「オブスト、連携で攻撃するわ。魔法を使ってるエルフには相手の上方向に魔法を細かく撃ってって伝えて。空を飛ばなきゃ、何とか戦えるはずよ」


 それは先ほどのトールとベルの戦いで学んだことだ。相手の行動を制限して、攻撃する戦術。デンファレ一人でも難しいことでも、こんなに人数がいれば難しいことはない。そして、デンファレの攻撃を囮に、オブストの攻撃を当てればダメージを与えられる。付け焼刃だが、それが彼女の作戦だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ