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神殺し召喚  作者: ビターグラス
9 エルフの国へ
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エルフの国の森

 走りながら森に入る前に、ローブの五つ葉のクローバーに触れて、足の鎧を装着した。走る速度が段違いに速くなり、すぐに森の中に突入した。森の外側から見ていた限りでは大型の魔獣が目立っていた。それは森の中に入っても変わらず、小型の魔獣は見当たらなかった。大型の魔獣は何かが通ったとその方向を見ても、そこには既にトールはいない。さらに、トールは見える範囲で魔獣の視界内に入らないように注意して移動していた。大型魔獣の縄張りとでもいえる範囲は思ったよりも広く、中々魔獣地帯を抜けることが出来ない。スピードを上げようにもデンファレを運んでいるため、これ以上の速さを出すのは難しい。ただ、彼が危惧するのは超能力がこの魔獣地帯の中心で切れてしまうことだ。足の鎧しかつけていないので、五時間強は持つはずだが、何が起こるかわからないのが気がかりでもあった。


 しばらく、素早い移動を続けていると、魔獣地帯を抜けられそうな場所に来た。まるで線を引かれているかのように、魔獣がその範囲の中には入らないポイントがあったのだ。トールもそこを過ぎれば何とか強力な魔獣と戦わずに済むと思った。


 そして、ついに魔獣がいないラインを突破した。トールは草むらに隠れようと移動した。しかし、今まで、魔獣地帯にいて、いきなり周りに何もいなくなるということは彼らが目立つということだ。今までは魔獣が振り返っても視界の中に他の魔獣がいることで彼らに意識がいかなかった魔獣たちもさすがに、他に目が行くものが無ければ、彼らが目につくというものだ。その道理に従うかのように、大型の魔獣が彼らに気が付いた。幸い、トールたちのことを視界に入れたのは一体だけのようで、他の魔獣は近くにはいない。しかし、戦闘して音を立てれば、この場所に向かってくるのは簡単に予想が付くことだ。だが、ここで戦わないと、魔獣に殺されるだろう。トールは仕方なく、手早く戦闘を終わらせようと、魔獣と対峙した。


「デンファレは先に進んでください。もし、他の魔獣が来てしまったら、貴女を守りながら戦うことは難しいのです。だから、先に進んでいなさい」


「わかったわ。あとで、ちゃんと合流しなかったら、ここに戻ってくるから。ちゃんと合流しなさいよ」


 デンファレはそう言い残して、森の奥へと進んでいく。デンファレは森の外側にいた魔獣に狙われることはないだろう。トールは彼女が進んでいくのを見届けて、改めて、その大型の魔獣の正面で右足から斧を、左足から槍を呼び出した。斧を持ち、槍は自身の近くで浮遊させた。


 魔獣は巨大な蜥蜴のようで、地面に腹をつけて、顔は地面から離れていて、トールの様子を伺っているように見えた。その魔獣は明らかにトールよりも遥かに大きい。高さはないものの、頭から尻尾までの大きさが長いのだ。トール五人分くらいの長さはあるだろうか。そして、その口には鋭い牙がいくつも並んでいるのが見えた。いくらトールの鎧でもその牙に噛み付かれればただでは済まないことは明らかだった。それも見ても、トールが臆することはないようだ。斧を構えて、戦闘を開始した。




 トールが近づいてくるのを見て、魔獣も動き出した。腹を浮かせて、胴体と尻尾を左右に揺らして、トールに近づいていく。トールは走るのをやめて、相手を待った。どんな攻撃が来るのかわからないが、とにかくあの牙に咬まれるのは避けたいところだ。魔獣はトールを攻撃範囲に入れると、すっと真っ直ぐ跳んで、トールに噛み付こうとしていた。トールはガードではなく、回避を選ぶ。ガードしても良かったかもしれないが、回避するべきだと、いくつもの戦闘を乗り越えてきた彼の勘がそう伝えていたのだ。そして、回避と同時、相手が自身の横を抜けていくその胴に斧を叩き込んだ。しかし、切り傷をつけることはできず、相手を地面に叩きつけるだけになった。彼はすぐに魔獣の近くから跳んで相手の攻撃が来ない位置に移動した。魔獣は起き上がると同時に、その体をうねらせた。尻尾がぐねんぐねんと辺りを叩いている。今、魔獣の近くにいれば、その力強い尻尾の餌食になっていたかもしれない。


 魔獣は散々暴れた後、起き上がってトールを再び視界に入れた。魔獣は口を開けた。トールは再び、飛び掛かってくるかと思ってタイミングを合わせて回避とカウンターを狙う。しかし、魔獣は飛び掛からず、その口から液体が飛び出してきた。トールは大きく跳んで、その液体から何とか逃れる。液体のかかった場所は特に変化はない。その場所が溶けだしたり、草が枯れたりと言うことはないが、何の影響もない問うわけではないだろう。あの液体が口から出たということは噛み付かれても、あの液体の餌食になる可能性があるということだろう。余計に咬まれるわけにはいかなくなった。


 トールは鎧を足だけでなく、両腕も装着して、剣と盾も自分の近くに浮遊させた。まだまだ、本気ではないものの、ある程度の武装が無いと勝てないかもしれないと考えた結果だ。少なくとも、盾は必要になるだろう。彼は斧の柄をぐっと握りながら、デンファレがまだ無事であるかを気にしていた。

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