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神殺し召喚  作者: ビターグラス
草原にて
28/72

デンファレたちのピンチ

 ブラウンレトリバーはじりじりとその足を勧めていた。その度に、デンファレたちは背中の密着度が上がる。


「二人とも絶対に動かないでね」


 二人に視線を合わせる余裕はないが、彼女は二人が何度か頷いているのが視界の端に入った。それを見て、彼女は魔法を詠唱し始める。


「土よ。守りなさい」


 子供たちの足元から、土の壁が四枚生えてきた。それは子供たちを囲い、土の壁となった。ブラウンレトリバー程度の魔獣の攻撃なら耐えられる壁だ。彼女がこの魔法を使わなかったのは、使用している限り彼女の魔気が消費されるからだ。壁が攻撃を受けても、その部分の修復に魔気を消費する。魔気が無くなれば、人は死ぬ。彼女の場合はその場に倒れるくらいで済むだろうが、この状態で倒れれば、どうなるかは想像もしたくない。つまりは、時間とも戦わないといけないということだ。


「風よ。切り裂け」


 魔気が消費されるのは理解しているがすぐに決着をつければ、問題はない。彼女は風の魔法で見えない刃を作りだして、魔獣たちを狙う。五体の内、一体に刃が当たり、魔獣の魔気を消費させた。攻撃の当たった魔獣はただでさえ動きが鈍いのに、さらに動きが鈍くなる。もはや、止まっているのと同じくらいだろう。彼女はその隙を狙って、剣を振るう。前に戦ったときより、彼女の剣は上達していた。魔獣に当たった剣はそのまま、相手の首の半分に到達しないくらいの場所まで切り裂いた。その魔獣は瀕死状態となり、もはや脅威にはならないだろう。


 一体だけ倒しても、残りは四体いる。そして、一体を相手している間に、ブラウンレトリバーたちは壁の方に攻撃を仕掛けていた。壁が削られ、その度にデンファレの魔気が消費されている。女神である彼女はその程度の消費では疲労するわけもないが、そのまま壁を削られていればいずれは尽きる。それは女神も人も魔獣も同じだ。その前に、倒さなくてはいけない。


 デンファレは剣を構えて、壁を攻撃しているブラウンレトリバーの胴に剣を突き刺した。剣身は奥まで入らなかったが、かなりのダメージにはなったようで、その魔獣は攻撃を止めて、デンファレの方を見た。彼女を認識した瞬間、魔獣は牙をむき出しにして、彼女に飛び掛かった。彼女は剣でその牙を受け、相手を弾き飛ばした。相手が着地する前に魔獣を仕留めようと、彼女は考えた。


「水よ。打ち倒せ」


 彼女の周りに水の球が五個ほど出現する。それは時間差で魔獣の体に次々に当たっていく。魔獣の体には傷はついていないが、水の球は相手の魔気を消費させ、魔獣の体内に残っている魔気は残り少ない。そして、体を突き刺した傷もあり、その魔獣ももう脅威にはならない。放っておけば死ぬだろう。


「土よ。打ち倒せ」


 彼女の周りには土の塊が五個ほど生まれた。その土塊が残りの魔獣三対に向かって飛んでいく。魔法がヒットしたバランスは悪く、一体に三個、残り二匹には一発ずつ当たる。残りの魔獣たちの注意はデンファレに向いた。彼女は三匹なら勝てると考えていた。それに、現状は既に囲まれた状態ではない。同じ方向から来ている魔獣と戦うのだ。ブラウンレトリバーは動きが遅い魔獣だ。油断しなければ攻撃を受けることはない。それは前回の戦いで経験したことだ。


「水よ。敵を叩きのめしなさいっ」


 彼女がそう唱えた瞬間から、彼女の周りに幾つもの水の球が出現した。それらは十個ほど出現すると、魔獣へと向かって飛んでいく。次々と水の球が作られ、魔獣へと飛んでいく。水の球が際限なく、相手に行動させる暇を与えない程の連射。見た目には濡れいているだけに見えるが、その魔法には確実に相手の魔気を消費させ続けていた。


 魔獣たちはその魔法を耐えきることはできず、三体ともその場に倒れた。そして、辺りを見回して、伏兵も見当たらない。デンファレは気を抜きはしないが、一旦、向かって来た魔獣は全員倒したと緊張が少し溶ける。そのせいで、子供たちを囲っていた壁も解除された。


 子供たちは壁が崩れて、驚いていたが、デンファレの姿が見えると彼女に駆け寄った。子供たちは彼女の顔を見ると嬉しそうに笑っていた。


「お姉ちゃん、かっこいい」


「お姉ちゃん、強い」


 二人はそう言いながら、彼女に抱き着いた。彼女は魔獣を警戒しつつも剣を納め、トールが近づてい来るのを待っていた。




「貴女も成長しましたね。弱い魔獣とはいえ、五体同時討伐を成し遂げるとは思いませんでした」


「まぁ、ブラウンレトリバーだったからね」


 口では、余裕そうな口ぶりだったが、トールが来たことで彼女は警戒を解いて安心していた。彼がいれば、子供たちと話していてもあまり問題はないはずだと彼女は考えていた。


「そう言えば、名前、知らないわね。教えてくれる?」


「あ、うん。俺はムスブ」


「ユカリはユカリ」


「そう。ムスブにユカリね。私はデンファレ。こっちがトールよ」


「トールです。以後、宜しくお願いします」


 子供相手にも綺麗なお辞儀をした。それを見て、子供たちは着ているローブも相まって貴族の人みたいだなという感想を抱いていた。

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