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神殺し召喚  作者: ビターグラス
侵入した魔獣
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カウホン戦

 先手を取ったのはカウホン。踏み固められた地面を蹴り、地面が抉れる。その威力はカウホンの速度となる。トールとの距離は一瞬で詰められ、そのままの勢いで拳を突き出した。トールはそれを簡単に避けたが、彼の後ろにあった民家の壁に大きな穴が開き、その衝撃に耐えられなくなった民家が崩れ、大きな音が辺りに響き渡る。


「なんだ。避けるなよ」


 カウホンはすぐにトールの方へと振り返る。その口元はにやりと笑っていた。彼が避ける思ってその攻撃をしたのだ。彼にとって避ける必要があるということは当てれば、少なくないダメージを与えられると言っていると解釈している。そして、トールは自分の攻撃を避けた。つまりは、攻撃は通るということだ。


(さすがに、剣では防げなさそうですね。仕方ありません)


 彼はカウホンと距離を置いた後、ローブの五つ葉のクローバーに触れる。腕の鎧が光になって、クローバーに戻っていく。それと同時に、新たな光が彼の右足を包む。足から膝のあたりまでの鎧が装着され、その鎧から光が分離した。その光は彼の目の前で戦斧を形づくる。光から出現した戦斧は白い棒の先、左右に斧の頭の部分が付いている。斧の頭の面の部分には金色の線で縁取りしてある。そして、棒の先端は尖っていて、そこで突けば突き刺さるだろう。そして、反対側の棒の先端には拳大の鉄球が付いていた。そして、その大きさは彼の背丈より大きく、二メートルほどある。それを彼は両手で持って、そのとがった先端をカウホンへと向けた。


「いい武器じゃねぇか。俺にくれよ」


「残念ですが、これは私専用なのです」


 カウホンは再び拳を打ち合わせる。再び、地面を抉ってかなりの速度の乗ったパンチが飛ぶ。彼は今度は距離をとらずに、戦斧で受け止め、その拳を鉄球ではじき返した。トールは相手の腕の骨を砕くような力で振るったつもりだったが、相手の腕が正常に動いているようだった。


 それもそのはずで、カウホンは剣闘士であり、その拳や体は筋肉で守られているのと同じだった。戦斧の切断能力があれば、斬ることはできるだろうが、打撃に関しては効かないと思った方が良い相手だ。


「中々、鍛えているようですね。カウホン。最弱と呼ばれていたと思いましたが」


「その最弱より先に他の使いの方が死んでるんだぜ。笑えるよな」


 カウホンの言う通り、彼より強いと言われていた邪神の使いたちは彼より先に死んでいった。カウホンは殺される前にどこかに消えて、二度とヴィクターの前には現れなかったのだ。トールはどこかで死んでいるのかと思っていたが、この世界で生きていたというわけだ。


「本当に、予想外でしたよ。別の世界で生きている、なんて」


「それは俺も同じだ。お前がこの世界まで来るとは思ってなかったからな」


 言葉を交わしながら、カウホンは拳を打ち合わせている。トールも戦斧を構えなおした。


 先に動いたのはまたしてもカウホン。地面を蹴って、トールに肉薄する。その勢いを持って、拳を突き出す。しかし、それは先ほどのような大振りの攻撃ではない。そのまま、左右をいり交ぜた拳の連撃だ。単純な右、左と言うわけではない。相当な筋力で無理やり、同じ方の手で攻撃しても反撃が出来る隙が無いのだ。戦斧という武器との相性が良くないというのもあるのかもしれない。それでもトールには勝利する自身があった。しかし、油断はしない。


 トールはカウホンの連撃を回避し続けていた。カウホンの連撃は確かに凄まじい威力を持っていたが、真っ直ぐにしか放たれない攻撃を躱し続けるのはそこまで難しいことではない。いくら連撃と言えども、攻撃が単純すぎるのだ。


 そして、いくら筋力があるとは言え、連撃を続けていると体力は減っていく。筋力もそれに耐え続けるのは難しい。そして、連撃のパンチの素早さが徐々に落ちていった。


「終わりですか」


 カウホンは攻撃を一旦やめて、距離を置こうとした。しかし、トールはそれを見越して、既にジャンプしている。カウホンも飛んだ。そのせいで二人の間にある距離は変わらない。トールはジャンプした勢いを利用して、戦斧を振るった。カウホンはその軌道を見て、拳で受け流した。トールは更に自身の振るった斧の勢いを利用して、二撃目を放った。カウホンはその攻撃を躱した。勢いがついてしまったトールはカウホンに背を向ける体制になってしまう。カウホンはそれを逃すまいと、一歩踏み出し、その背に全力でパンチを繰り出した。


「やはり、馬鹿ですね」


 カウホンの耳にその言葉が届いたと同時に、腕に激痛が走る。


「ぐぅぁぁあっ」


 あまりの痛みに彼は叫びながら、後ろに下がった。彼の抑えている手はちぎれているわけではないが、大量の血が流れていた。パンチのために突き出した拳が真ん中から裂けている。もうカウホンの拳は使えない。ちぎれていないにしてもその見た目はかなりえぐい。


 トールはカウホンに背を向けた後、すぐにその場に飛んだ。そして、戦斧を自身の下に持ってきて、地面に鉄球を突き立て地面に埋める。そして、戦斧の刃の部分がちょうどカウホンが拳を突き出した位置に来るように設置した。そして、攻撃することに気をとられたカウホンはそのまま全力のパンチを斧の頭に当てたのだ。自身の勢いによって、腕が裂かれたのだ。


「さて、もういいですよね。そろそろ、終わりにしましょうか」

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