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神殺し召喚  作者: ビターグラス
4 アニマナイズ
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ロトの人影

 デンファレとトールはそのまま、カロタンの家で夕食を食べた。夕食時にはロトも家に戻ってきて、皆と一緒に夕食を食べていた。そのあと、トールとデンファレを交えて、色々な話をしたり、聞いたりした。その後、キャルが眠そうにしているのをきっかけにお開きとなった。


「ごちそうさまでした。とてもおいしかったわ」


「ごちそうさまでした。とてもおいしい料理でした」


 二人は話もそこそこにして、カロタンの家から出ていった。カロタンは止まっていってと言っていたがさすがにそこまでさせるのは申し訳ないとトールが断った。デンファレは泊まりたそうにしていたが、トールが睨むので言うことを聞くことにした。そして、二人とも寝る必要はないのだが、異常な人間であると思われないために、宿をとることにした。宿屋の場所は、既にカロタンに聞いてあった。




 聞いていた宿屋に入り、デンファレは同じ部屋でいいと言っていたのだが、トールがそれを嫌がったので、結局別々の部屋になった。トールが別々の部屋が良いと言ったのは彼女のことが嫌いだからと言うだけではなく、一般的に男女に見える者同士が二人だけで同じ部屋に入ると、そう言う関係だと勘繰られるためだ。そして、それは何らかの波風を立てる可能性が高い。前の世界でヴィクターと旅しているときに

ヴィクターが面倒くさがって、適当に二人部屋を取った時にトールが大変な目に遭ったのだ。それ以降は少なくとも同性で一部屋にしていた。


 デンファレとトールは隣同士で、部屋に入る前に翌日の打ち合わせをした。トールはデンファレはきっと寝坊するだろうと考えていた。そのまま、ローブを抜いて、椅子に座る。座り心地はあまりよくない。長時間座っていれば、尻が痛くなるような硬さだ。


 トールは窓の外を見た。太陽はもうほとんど落ちて、夕焼けも藍色に飲まれている。街中の火の灯された街灯が道をほのかに照らしている。街を行く人々もいない。しかし、そこに建つ家の中から明かりが漏れ、たまに揺れているのが見えた。こんな状況でも人々は逞しく生きている。


 彼はそんなことを思いながら、窓から離れようとした。その時、視界に端に何か気になるものが映った。特別気になったというわけではないが、やることもないのでその確認を行う。街頭に照らされた路地へと続く道、その角を曲がった人影に見覚えがあった。白く長いうさ耳で、背丈は小さい。トールにははっきりとは見えていなかったが、その影がロトのものに見えた。


(こんな時間に何をしているんだ。監視した方が良いのか)


 彼はどうしようか考えていた。デンファレなら簡単に首を突っ込む話だろうが、彼はそう簡単に人の問題に首を突っ込むことはない。と、そこでデンファレがこの光景を見ている可能性を失念していたことを思い出す。もし、彼女がこの光景を見ていれば飛び出していくかもしれない。扉が開く音がすれば、確実に彼女があの光景を見ていることになるだろう。彼は隣の部屋の扉の音に注意していたが、しばらく待ってもドアの開く音は聞こえなかった。


(まぁ、同じタイミングで窓の外を見てるなんて、少し君が悪いからな)


 彼はそのまま、ベッドに寝転がる。寝るわけではないが、目を閉じて自分の思考の世界に潜り込んだ。


 そのころ、デンファレは自室でベッドの質の悪いシーツの感触を楽しんでいた。サラサラしていないシーツと言うのは初めてだった。しかし、すぐにその感触にも飽きて、ベッドにあおむけで寝転がる。天井も大理石のような綺麗なものではなく、木製だが、その木目を見つめていると何か、何かの絵が浮かんでくるような気がしてじっと見ていた。そうしている間に、目が疲れて目を閉じる。そのまま、彼女は眠りについた。




 翌日、トールと寝坊はしなかったデンファレは部屋を出て、国の中を歩くことにした。昨日見た店の並ぶ中央通りを歩くと、呼び込みをする大きな声や、値段の交渉をしている声、それ以外にも商品を見て、楽しんでいる者など、沢山の声が溢れており活気があった。デンファレも並んでいる商品を見て、目を輝かせている。見たことのないものばかりで、新鮮なのだ。


「ねぇ、あのアクセサリー、私に似合うと思わない?」


 デンファレは綺麗なものや、可愛いものが好きだった。貢ぎ物の中にあったアクセサリーは無駄に宝石がついていたり、金が使われていたりで、彼女の好みには合わなかった。宝石も金も綺麗ではあるものの、いくつも装飾してあるとただただ下品にしか見えないのだ。キラキラしていればいいというものではない。


 しかし、問われたトールは無関心だった。デンファレにそれが似合うかどうかなどどうでもよかったし、もし、彼女に興味があったとしても、彼はそう言うアクセサリーの似合う似合わないというのがわからなかった。だから、彼は辺りを見回しながら、何度か適当に頷いたり、首を振ったりした。その適当な態度がデンファレは気に食わない。


「ねぇ! ……」


 と、声を荒げたところで彼女はそれ以上何も言わなかった。それどころか、彼女の視線はトールではないところに向いていた。中央通りから路地に続く道だ。昼近い時間だというのに、その路地にはあまり光が差し込んではいない。なんとも不気味な場所だが、二人はそれを気にすることはなかった。そして、彼女がその路地を見ていたのは知っている人影がそこの角を曲がったからだ。背中だけでもその特徴的な白い耳。服装と昨日見たものと似たようなものだった。


 そして、デンファレはトールをちらと見た後、裏路地に入っていった。トールはちらと見られたときに何かやらかすだろうと思った。そして、彼女の後ろをついていった。

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