2度目の学園生活のスタートです!
16歳を迎える年になった。ついに2度目の学園入学の時が来る!
1度目は入学前から緊張感でいっぱいだった。親しい人もいない。婚約者は頼れない。苦しい時間になるのは目に見えていた。侮られないようにと最初からずっと気を張っていた。……ばっちり侮られたけどね!
だけど!2回目の私はうきうきしている!もう、猛烈に楽しみしかない!!
「ルーシー様、ご機嫌ですわね」
最近めっきりと『つんでれ』が鳴りを潜めたアリシア様が言う。少し寂しい気もするけれど、私にすっかり慣れ、一緒にいるのが当たり前になった証拠だと思うとにやにやしてしまう。
「もちろん!アリシア様と一緒に通えると思うと学園もすっごく楽しみです!」
「!!ま、まあ私もそれなりに楽しみでしてよ……!仕方ないからお昼も一緒に食べてあげます」
前言撤回!すごく照れるとまだまだ片鱗が残っている。
もう今回はアリシア様に「肩書きだけの婚約者様」だなんて不器用な忠告を受けることもない。なぜなら今のわたしの婚約者様はこうだから。
「ルーシー嬢!お迎えに行ったのに……!」
息を切らして登場したアルフ様。え!?迎えに来た!?
「聞いてないです!それにアルフ様の屋敷からうちに回ってくると学園までものすごく遠回りじゃあ……」
位置関係は完全に学園を挟んで反対方向だ。
「そんなこと言わず!お願いです!お願いですから迎えに行かせてください!!」
ええー……?
「相変わらずですわね……」
ぽつりと呟くアリシア様。彼女は、私の前で見せるこんなアルフ様の様子にもすっかり慣れた。
一応、私やうちの家族、アリシア様やアルフ様のお友達の前以外ではちゃんとしているのよ?さすがに誰彼構わず自分のこの姿を見せるのはどうかと思うくらいの理性はあるらしい。……そのうちなくなりそうな予感がしないでもないけどね!
入学式の前に、クラス分けを確認しに行く。校舎の前に張り出されているのだ。
「あ……!アリシア様と一緒です!よかった!……あっ」
手を取り合って喜ぶ私達の横で、アルフ様の顔がみるみる絶望に染まった。
「アルフ様は、隣のクラスですわね……」
「なんで……なんで一緒じゃないんだ……!」
「でもほら!ダイアン様がアルフ様と一緒ですわ!」
ダイアン様、という言葉に反応してアリシア様が頬を染める。ふふふ!実は、なんとアリシア様とダイアン様はつい先月婚約を結んだのだ!すっごくいいと思う!おまけに2人の出会いは私とアルフ様がきっかけ。
アリシア様とばかり過ごす私に痺れを切らしたアルフ様が、「ダイアンとルッツも連れて行くから!俺も一緒に!一緒に……!」と懇願して一度皆で街のカフェに出かけたのだ。
「ルーシー嬢をアルフレッドが天使と呼ぶのに納得していましたが、天使の友人はやはり天使なのですね」
飄々とそんなことを言ったダイアン様を、アリシア様は全力で迎え撃った。
「ふん!そんなありきたりな言葉でしか女性を褒めることが出来ないなんて、底の浅い男性ですわね……!天使だ妖精だのはあいにくアルフレッド様とルーシー様で聞きなれていましてよ!」
「ふむ、確かにそうですね。では単刀直入に。アリシア嬢、あなたのような美しいご令嬢と知り合えた幸せを是非このまま逃したくない。よければ今度2人でお会いできませんか?」
「!?うううう……」
お、思い出しただけで私まで顔が熱いわ……!?類は友を呼ぶとでも言うのだろうか、ダイアン様は初対面での印象からは考えられないくらい積極的かつ情熱的にアリシア様にアプローチを繰り返した。これにはアルフレッド様も新たな一面を見たと言って驚いていた。
そしてついにアリシア様が陥落し、婚約が調ったのだ。
「ルッツ様が私達と一緒ですわね」
アリシア様の言葉にもう1度クラス分けの紙を見る。
クラスはA~Dの4つに別れていて、身分や学力などはこれに左右されない。完全にランダムだ。
私とアリシア様、ルッツ様がDクラス、アルフ様やダイアン様がCクラス。……ちなみにジャック殿下はAクラス、ミリアさんはBクラスだ。多分、何かしら学園側の配慮が働いたと思う。前回は確かジャック殿下とミリアさんは2人揃ってAクラスで、そして私はBクラスだった。
……ミリアさんは、大丈夫かしら。
相変わらず、妃教育が上手くいっているという話は聞かない。私が知らないだけかもしれないけど。1度目を知っているだけに、殿下とクラスが別れたことに不満を感じるかもしれない。
まあ、私には関係ないけれどね!それよりも……
「アルフ様!いつまで落ち込んでいるんですか?」
「だって……」
「だってじゃないでしょう?毎日お迎えに来てくださるんでしょう?」
「!!行きます!やった!ありがとうございます!」
普通、迎えに来てもらう私の方がありがとうだと思うけどね……?
絶対遠回りで朝も早くなり辛くないかな?と思うけど、本人が喜んでいるからよしとしよう。……何より、正直私も嬉しい。えへへ。
入学式へ向かう途中、ダイアン様とルッツ様に会って合流した。
「アリシア嬢、クラスが離れてしまいましたね。残念です」
「……私も残念ですわ」
「!!!」
真っ赤な顔で小さく本音で答えたアリシア様に、ダイアン様も少し頬を染めた。
「やだ……甘酸っぱいわ……」
「あの~僕からすれば2人も十分甘酸っぱいですからね~?あーあ、僕も学園できっといい縁がありますよーに!」
1人だけ余りものになってしまった形のルッツ様が口を尖らせる。
皆で笑って一緒に歩いた。
そのまま皆で会場に入り入学式を迎えた。
少し退屈な学園長の挨拶、現生徒会長の言葉。式は覚えのあることばかりだった。
その後はクラスごとの教室に入り自己紹介から始まるのだ。最初が肝心よね?今回はアリシア様もルッツ様もいてすでに心強い。
この調子で、2度目の学園ではたくさん友達を作るのだ……!私の時戻り、もう1つのささやかな目標!
教室に入り、同じクラスの面々をちらりと見渡す。
そうして私の2度目の学園生活がついにスタートした。
絶好調のルーシー!
相変わらずのアルフレッド!
成長できるかジャック!
エスカレートするミリア!
お楽しみの学園生活スタートです…!




