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レイスター家の特別な1日

 

 ルーシーが王妃様に招待され王城へ上がっている頃。


 実は、この日はレイスター家にとって特別な1日……。




「ルーシーが帰ってくるまでに全てを終わらせるのよ!急いで!」


「ルリナ、これはどうする?」

「それはあっち」


「母さん、アルフレッド様きた!」


「まあ、いらっしゃいアルフレッド君。今日は来てくれてありがとう」


「いえ!!!!呼んでいただき恐悦至極に存じます!!!!!!」


「アルフレッド君、いいから早く手伝ってくれない?」

「はい!お義父様!」

「次お義父様って呼んだら叩き出すから」

「ごめんなさいもう言いません」

「お前3回目だからな?」


「奥様、今届きました」

「ありがとうユリア、それはこちらに」


「姉さん何時に帰ってくるかなあ?」


「昼には帰ると言っていたけれど、どうだろうね?」


「ああ、今日もルーシー嬢に早く会いたい!」

「アルフレッド君は1番後ろにいてね」

「そんな……!」


「モルド!ルーシーが帰ったらすぐに知らせてくれるかしら?」

「お任せください奥様」





「さて……これで全てオッケーね。ふふふ、ルーシーちゃん、驚くかしら?」





 ******




 バルナザールさんからお土産にと持たされたたくさんの焼き菓子と共に屋敷に帰ると、どうも何かがおかしい。


 何……?違和感がすごいけど何がおかしいのか分からない。

 屋敷の中に入る前に思わず足が止まる。


「ルーシーお嬢様?どうなされましたか?」


「いいえ……ねえモルド、今日って誰か来ているの?」


「いえ、誰もいらしていませんが……」


「そう」



 しかし、違和感の正体はすぐに判明する。




 扉を開けると、目の前にたくさんのキラキラした光景が飛び込んできた!


「ルーシー!私たちの可愛いお姫様!14歳の誕生日おめでとう!!!」


 そう言いながらお母様が私の手を引き中に誘導する。


「え……」


 部屋中はこれでもかと飾り付けられ、豪勢な料理がたくさん並べられて、私の大好きなお菓子もたくさん用意されている。


「え……え……」


 おまけにマドレーヌは少し小ぶりなサイズの色とりどりの物がまるでカラフルなクリスマスのツリーの様に積まれている。


 ゆ、夢のような光景だわ……!!!!


 呆然と皆を見回す。


 お父様、お母様、マーカス、ユリアやモルドを中心に集まってくれている使用人の皆。

 そして……。


「え?アルフレッド様?どうしてそんなに隅の方に……?」


 使用人たちの後ろの方に、まるで隠されるように潜んでいるアルフレッド様。え、何してるの?サプライズなの?


「気にしないでルーシー嬢、あの、誕生日おめ」


「姉さん!誕生日おめでとう!!!!」

「おめでとうルーシー!」

「ほら、こっちこっち!ねえ、びっくりした?」

「にゃあーん!みゃあおん!」



 必死で前に歩み出ようとするアルフレッド様と、それを遮る様に満面の笑みでお祝いしてくれる我が家族。


「ふ、ふふふ!あはは!びっくりしたわ!本当にびっくりした!嬉しい……!」


 そっか、私、今日誕生日だったんだ……!


 1度目の14歳の誕生日は、お父様がなくなってすぐでそれどころじゃなかった。最近はそれこそお父様が心配で心配で、すっかり忘れてたわ!


 みんな……こんなに準備してくれて……。

 本当に、時戻りしてよかった。戻るときは怒りと屈辱でいっぱいでたまらなかったけど、やっぱり殿下に感謝ね!そしてミリアさん!2人が恋に落ちて結婚を望まなければ、こんなに幸せな現実はおとずれなかったのだ。



 それから、皆にプレゼントをもらい、お祝いの言葉をたくさんかけられ、美味しい料理とお菓子をお腹いっぱいになるまで楽しんだ。



「ルーシー嬢、改めて14歳の誕生日おめでとうございます。こんな日に一緒に祝わせてもらえるなんて私はすごく幸せ者だ」


「ふふふ、幸せ者は私ですわ。一緒に祝ってくださってありがとうございます」


「ルーシー嬢……うっ」


 なぜだか胸を押さえて苦しそうな顔になるアルフレッド様。その様子にピンとくる。


「ひょっとして食べすぎました?今日はアルフレッド様の好きなクッキーや他のお菓子もたくさんありましたものね」


 言っていたらまたマドレーヌが食べたくなってきた。お腹いっぱい食べたと思ったけど甘い物は底なしに入るわね!

 呑気にどのマドレーヌを食べようか考えていると、アルフレッド様が急にガバリと詰め寄ってきた。


「あ!アルフレッド君!ちょっと近づきすぎじゃないの!?」


 お父様の目ざといお小言もなんのその!そのまま私の手を握った。


「ルーシー嬢、来週あたりまたで、で、デートに行きませんか!?」


 まあ、顔まで真っ赤よ!デートって言うのがそんなに恥ずかしいなんてちょっと可愛い!

 だけど……


「ごめんなさい」

「えっ!!!!」


 私の手を握る力が一気に抜けた。


「わ~アルフレッド様、姉さんに振られたね!御愁傷様!」

「ルーシーよく言った!」

「公爵様……応援してくれるって言ってたのに……!」

「それとこれとは別。やっぱりちょっと面白くないんだもん」

「そんなあ!」

「あらあら。あなた、あまり意地悪しすぎちゃだめよ?」



 ちょっと待って!私抜きで盛り上がらないで!

 ……ていうか応援って何かしら?まあそんなことは置いておいて。


「あの、違うんです。来週はちょっと。実は今日王城で……」





「は!?隣国の王子の通訳!?なんでそんなことに……!?」


 初めて聞くアルフレッド様の大きな声に思わずびっくりして飛びあがってしまった。


 そんな私の様子に、マーカスがアルフレッド様を睨みつける。


「姉さんを驚かすのはやめてください!!!」

「!!!る、ルーシー嬢、申し訳ありません!思わず……」


 ねえ、最近思ってるんだけど、うちの家族アルフレッド様に遠慮がなさすぎじゃない?


 それからマーカス、爵位が上とはいえアルフレッド様の方が年上なんだからもう少し敬って!!!


「にゃあん。ごろごろごろ……」




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― 新着の感想 ―
[一言] ヤバい 今の所アルフレッドがうざ過ぎて辛い
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