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ちょっと話を聞いてもらいたい

分かりづらい書き方になっていましたので、

前話の下記のルーシーのセリフを少し修正しています。

修正前「なんだか、求婚してくださっている人の中に、何人もミリアさんに傾倒していた方がいるわね……」

修正後「なんだか、求婚してくださっている人の中に、何人も時戻り前にミリアさんに傾倒していた方がいるわね……」

男たちがミリアに傾倒していたのは時戻り前のことです!

よろしくお願いします(^^)

 


 ここ最近、ユリアがちょっと拗ねている。


「ねえユリア?そろそろご機嫌治してよ?」

「……」

「そもそも一応、私あなたの主人なんだけど」

「だって、お嬢様」


 うんうん、あなたが何をそんなに不満に思っているのかは分かっている。それでも私にだって事情があるのだ。


「お嬢様、やっぱり私には分かりません。どうしてバルフォア家のご子息は駄目なのですか?あんなに楽しそうにしてらしたのに……」


 唇を尖らせてもにょもにょ言っているユリア。そんな風にいじけて見せても、ダメなものはダメ!






 あの日、ユリアが嬉々としてバルフォア家の封蝋の押された求婚の手紙を渡してきた後。私は迷わず即答した。


「却下」

「なんでですか!?!?」


 その瞬間、ユリアはそのまま崩れ落ちた。


 なんで?だって考えてもみてよ!確かにアルフレッド様は素敵な人だけど、なんたってミリアさんの元婚約者よ?(時戻り前のことだけど!)真相はよく分からないし、多分に誤解は含まれていそうだとはいえ、彼はミリアさんのことをとても愛していたみたいだし。


 ミリアさんのような可愛い女の子タイプが好きな男性は、やっぱりどう考えても私の手には余る。



 あーあ、ミリアさんってよく考えるととてつもなくすごいわよね?一応この国で1番高貴な男性である殿下の恋人で、それでも他の多くの男性にも愛されていて、おまけにアルフレッド様の愛まで一身に注がれて……。ちょっとだけ、羨ましい。

 さすがにたくさんの男性に望まれたいとは思わないけど、私も誰かに特別に愛されてみたい。



「ユリア、手紙を書くから紙とペンをちょうだい」

「お、お嬢様、もしや……!」

「違うからね?」


 一瞬だけ目をキラキラさせたユリアは諦めて手紙を書く準備をしてくれる。よく分からないんだけど、どうしてこんなにアルフレッド様推しなのかしらね?





 ******



 数日後、手紙の返事を受けた私は。



「ルーシー様!ちょっと、いらっしゃるのが遅いんじゃありません!?」


 再びシャラド侯爵家にきていた!


「ごきげんよう。ごめんなさい、私、そんなに遅かったかしら?」


「ごきげんよう、ルーシー様。今のは『楽しみすぎて早く準備しすぎちゃった!あなたに会えるのが待ち遠しかったです!』ってところでしょうか。気にしなくて大丈夫ですよ」

「マリエ様ああああぁ!!!!」



 小気味よい絶叫が響く。

 うふふ、よかった!アリシア様は今日も元気に可愛い!



 アリシア様は今日もたくさんのお菓子を用意してくださっていた。特にマドレーヌは種類が豊富。ん~!やっぱり美味しい!シャラド侯爵家の料理人はとっても優秀だわ……!


「それで?いきなり会いたいだなんて手紙を送りつけてきて、一体どういうつもりですか?」

「ちなみにアリシア様、小躍りして喜んでましたよ」

「だから!マリエ様……!」



 アリシア様はまたもや涙目でマリエ様を睨みつけるけれど、マリエ様は全然堪えていない。そう、私はお2人に会って、相談したいことがあったのだ。なんたって、お友達だから!やっぱり、悩みはお友達に聞いてもらうのが1番よね?

 ところで、改めてお友達ってとってもいい響きね……!






「は?今なんと?」


 聞き返してきたのはマリエ様だった。


「だから、あの、どうすれば殿方にモテるのかしら、と……」


 私の言葉にぽかんとした顔をする2人。何か、何か言って!こんなこと相談するのは実際私も恥ずかしいんです!!



 私は悩んでいた。どうにもミリアさんがちらついて、男の人と向き合う気になれないのだ。ミリアさんのような女の子が好かれるのは分かる。とっても可愛いし。やっぱり男の人は可愛らしい女の子が好きなんだなって納得。でも、分かっていても私がそうなれるかというと……そもそも外見が違いすぎるわよね?近寄りがたいと言われがちな私が可愛く見られるには、一体どうしたらいいの??



 アリシア様とマリエ様はしばらく私のことをじっと見つめていたと思ったら、顔を背けて2人でひそひそ相談し始めてしまった。



「ねえ、マリエ様?ルーシー様ったら何言ってるのかしら?」

「ちょっと私には分かりかねます」

「そうよね、私にも理解不能だわ。モテたい?……これ以上?」

「ルーシー様って自分が周りからどう思われているのか全く知らないんじゃ?」

「でも確か求婚が殺到しているってお父様に聞いた気がするけれど」

「ちょっと聞いてみましょうよ」



 何々?あんまりひそひそされると不安になってくるんですけど……!やっぱり私がモテたいなんて甚だおかしいってことなの???もしも2人にもそんな風に思われているならさすがにちょっと傷ついちゃうんだけど。



 最後に頷きあって、こちらに向き直ったマリエ様が真剣な顔で口を開いた。


「ルーシー様。多くの求婚を受けているのではないですか?」


「え?マリエ様、どうしてそれを?」


「受けているのですね?それはルーシー様の言うところのモテているということでは……?」


 なるほど。傍から見るとそう見えるのかもしれない。しかし現実はそう甘くはないのだ。当事者である私はよく分かっている。


「いえ、残念ながらそうではないんです。求婚は公爵家との繋がりを欲しての物でしょう?殿方はやはり、ミリアさんのように可愛らしい女の子が好きですわよね?私はどうも可愛げがなくって」


 ぽろりと本音を吐露すると、心配そうにこちらを見ていたアリシア様の表情が一変した。


「ちょっと待ってください。それ、まさかどなたかがルーシー様に言いましたの?――なんて罰当たりな!こんなに素敵で可愛いルーシー様を前にして!?あの男爵令嬢の方がいいなんてトチ狂った殿方が!?いらっしゃるの!?信じられない!!冗談は殿下だけにして!!!!」

「アリシア様!お言葉が乱れています!どう、どう!」


 アリシア様はマリエ様の制止もものともせず、私の両手を素早く握った。


「ルーシー様!もういいですわ!もしもルーシー様の魅力を理解しない殿方ばかりでしたら、私がルーシー様をいただきます!必ず!ご安心なさって!私のルーシー様を変な男には絶対に渡さない」


「アリシア様……!!!!」


 あまりの感激に涙が零れそうだわ……!!!



「いい話みたいになってるけど、きっとそれルーシー様の誤解だと思うんですよね……!!」






 帰り際、マリエ様がそっと小さな紙袋を渡してくださった。


「これは……?」


「うちで作っている薬草を煎じた物です。普通のお茶に少し混ぜて薬草茶にして飲んでいただけます。風邪を引かないようにするにはどうすればいいか、気にしてらしたでしょう?よかったらどうぞ。我が家でもよく飲んでいる物です」


 私はもう胸のときめきが止まらなかった。ああ、マリエ様もアリシア様もなんて素敵なお友達なの!?

 友情、万歳!!!


 ところでマリエ様、なんだか少し疲れてない?



 ******




 落ち込んでいた気分もすっかり浮上して、上機嫌で屋敷に帰る。

 するとそこには、私以上にとてつもなく上機嫌なお父様がいた。側に控えるユリアもなぜかにこにこと嬉しそうに笑っている。


 どうしてかしら?なんだか嫌な予感がするわ?



 果たして、私の嫌な予感は当たることになる。



「ルーシー!今日、バルフォア家のご子息がうちにいらしたよ!ぜひ君と婚約したいと。いやあ、最初はどう追い返してやろうかと思ったけど、彼の情熱はなかなかのものだね!ルーシーが嫌だと言ったから1度断ったのだけどね?お父様は彼がイチ押しだな!どうだろう?出来れば1度会ってみなさい!」



 すっごく饒舌だった。お父様、この間まで私に求婚が来ることすら嫌がっていたじゃない……!!!果たしてアルフレッド様はお父様に何を言ったのか?



 私は思わず頭を抱えたのだった。





やっぱり拗らせてるルーシーでした!アルフレッド頑張れ!

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