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暁星堂開店します

わが家の秘密にしっかりとした後見人が付いていることが判明してから3日後、商業ギルドからの許可が無事に織りて暁星堂は名実ともに私の店になった。


私が暁星堂の再開店準備にとりくんでいる間にもルクーは倉庫から色々と荷物を出して家や店を整えていたのでいつでも再開店できる。

頼まれたので洗浄の魔術を仕込んだ魔石を渡しておいたが、時々兄の悲鳴が聞こえるのできっと使いこなしているのだろう。


一人で住んでいる間の祖父は工房で寝泊まりして簡易コンロで自炊は済ませていたらしいけどこの機会に元に戻す。

1階は店舗と私の工房、裏庭がシャンタルの仕切っている小薬草園だ。

転移陣を設置してはいなかったけど放置されていた2階を厨房を中心に私の部屋に、物置をひとつ兄の部屋にした。


そして3階は問題の秘密の間だ。ジョルジュや兄に相談して階段に結界を取り付けて私たち3人以外は入れないようにした。

これはオバサマ方にも納得してもらった。


「もう寄る年波には勝てないから、欲しいのがあったら取ってきてもらうからいい。」

と二人そろって言われたんだけど、その「取ってくる」面子って私たち3人だよね?

採取料はばっちり頂くことにしよう。大事な暁星堂の維持費のためだから喜んで協力してくれるだろう。




店舗の方も改装が無事に終了した。


色の好みを聞かれたくらいでだいたいルクーが仕切ってしまった。

店内内装もお手の物なルクー、謎にレベルが高すぎる・・・。

まず壁紙を明るいクリーム色に小花模様の愛らしいものに変えた。随分可愛らしくなったし、魔力灯のいらない昼間も明るくなる効果が付与されている。

以前はそっけない白い壁、しかも経年劣化(味があるともいえる)だったので趣がガラリと変わった。

商品を展示して置く棚も重く暗い色調だったのが磨かれて飴色の艶を放つようになった。


商品の棚の他には窓からの日差しが届く場所に簡素なテーブルセットを置いたのは私の希望だ。

薬草園で作ったハーブを使ったお茶や美容品のサンプルを試してもらうのに使おうと思う。

直射日光を遮るようにレースのカーテンもつけてあるのがとても可愛らしくて満足だ。

マルタやヴィヴィが来るだろうけど、本格的に営業を再開したらもう工房には入れなくなるからその準備でもある。


お客さんの目の前で行ったほうがいいような作業をするようなカウンターを師きりに置いた。

カウンターの奥の扉は入ったら少しだけ階段を降りて作業場に通じている。

祖父のもとカオスのようにごちゃごちゃとしていたそこも、もちろんルクーの手によって整理された。



四方の壁のうち二面はお仕事用に簡易コンロや魔力調合用の鍋などが磨かれきっちりと整理され並べられている。

魔力付与が主な仕事であまり錬成窯や大鍋なんかを使わなかった祖父だったから埃まみれだったけれどここもルクーが掃除してくれた。

そこに改めて倉庫で眠っていた両親の道具類を引っ張り出してきて設置する。

薬作りを得意にしていた父母の道具類は鍋釜、アタノールまでびっくりするような素材で作られている。



(長く大事に使いたかったんだろうなぁ。)

ちょっと鼻の奥が痛くなったけど今日は考えないでおこう。

ちなみに作業机にきちんと並べられている試薬の数々はウェスタ工房からの開店祝いだ。


壁の一面は祖父母や両親の蔵書で本棚も秩序よく整理されている。ちなみに今はタイトルのアルファベット順でちょっと探しにくいのが難点だ。

・・・ということをルクーに相談したら内容で分けると答えた。

(ルクーに内容の判別がどうしてつくのか・・・。やめよう。考えてもきっと解決しない。)



暁星堂の看板は祖父が使った水晶玉とペンの看板の下に新しくシャンタルの横顔を彫った小さな銅板も加えてみた。

ちなみにこの看板はドーラ魔術具工房からの開店祝いだ。

曇りだったり夕暮れになったりするとほんのりと発光して店名を照らす仕組みになっている。

魔力がきれた時には無料素材錬成サービスもつけてもらっている特注品だ。


届いた看板を見たシャンタルは

「我はもう少しほっそりしておるはずだ!」

などと口では文句ばかり言いながら満更でもなさそうに見上げている。

見た目可愛らしいからきっと人気の看板わんこになってくれるだろう。

犬じゃないけど。犬扱いしたら怒るけど。



「おい、エマ。営業許可証はここに引っ掛けておけばいいのか?」

脚立にのった兄が手に持っているのは届いたばかりの錬金術師営業許可証だ。

銀色に光る金属製のプレートが取りついていることでこの暁星堂の主が私で正式に営業許可を受けていることが一目でわかる。

「あ、ちょっと待って。私の魔力を魔石に通しておかないとダメだから。」

銀色のプレートの下部中央、私の名前が刻んである下に小さく取り付けられた虹色の魔石は私が国家認定錬金術師である証明だ。

ここに彫り込まれた名前と登録魔石に通してある魔力で店主の身分を保証する大事な品だ。

杖の先で魔力を流し込み、明るい光が灯ったのを確認して兄が改めて壁に取り付けた。


「今日は俺はカウンターの中に居ればいいのか?」

「うん。そんなに大繁盛にはならないとは思うけれど、お茶とか売れた時は相手して・・・できる?」

「お前・・・いくらなんでもできるよ。それくらい。」

兄がむっとしたように腕組みをするので謝って改めてお願いする。


「お茶の陳列は終わった。紙類のサンプルケースも大丈夫。いつでも開ける。」

ルクーがそう言うとほとんど同時に街の鐘が多くのお店の開店時間を告げるように高らかに鳴り響いた。


「わかった。じゃ。開業しようか。」


私の声に頷くとルクーは鍵を開けに扉へ近づく。

さて、開業初日お客さんはどれくらい来てくれるだろう?



錬金術工房・暁星堂本日無事に開店いたします。


暁星堂開店までのエマの苦労話wはこれで終了しました。

次はまた暁星堂営業日記と転移陣のバタバタ話はまだまだ続きます。

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