表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新・暁星堂騒動記 相続したのは魔法物件でした  作者: 星乃まひる
とある錬金術工房の営業日記
19/41

ブルグ商業ギルド生産部 3


会議室に入ると重厚なテーブルが目に飛び込んでくる。

街ができた時、当時の木工組合長が作ったらしい。

最初は領主館にあったのが商業部に払い下げられ、いよいよ廃棄?となって職人の技に惚れ込んだ当時の生産部長が引き取ったという年代物だ。

制作者である当時の木工組合長が素材選びから気合を入れて行ったとのことで、このテーブルは大人4人でも持ち運びすら困難な重さだ。

それに手を加えて移動しやすくしたのが若き日の私の祖父だという。


「エマ、久しぶり。」

私が扉を開く気配を感じたのか、先着の客が目を通していた書類から顔を上げた。

最初に席に着いているのはいつもブルグの老舗薬屋のひとつである女神の乳薬舗の女主だ。

いつも早めに来ては人の流れや会話に気を配っていると聞いている。

彼女は私の亡き母の従姉妹で子供の頃から世話になっていて今でも素材やレシピの融通し合う仲だ。


「久しぶりです。叔母さん。」

「元気そうだね。魔力過多の薬、評判いいじゃない?」

「ありがとうございます。」

「レシピ公開してくれたからうちもさっそく試してるのよ。ちゃんと振込もしてるからね。」

ここは狩人ギルドと契約した回復ポーションが主力商品だ。その工房主に褒められるのは素直に嬉しい。

挨拶をしていると次々人が入ってきて会議室は賑やかになってきた。



ブルグには錬金術工房は大小取り混ぜると20ほどあるだろうか。

街でよく見かけるのはやはり薬坊、鍛冶屋、日常生活に使う火や水の魔石加工、魔道具工房の生活密着したものが多く中には大きな工房の下請けみたいなところもある。

下請けでも独立工房を持つ条件は同じだからどうしても私が一番若くなる。


親方資格は魔法魔術学院を卒業すること得ることもできるけどちょっと変わり種になる。

ちなみにジョルジュも資格はあるけど工房はないから私はいつもこの中では一人ポツンと若い。


「よぉ。エマ。今日は俺よりも早いじゃないか。」

入るなり私の肩を痛いくらいに叩くのはトッツィーナ鍛冶工房のピッコロ親方だ。

熱い金属を鍛えぬくことで隆々とした筋肉をしたムキムキ壮年のオッサンである。

彼に悪気はないのだろうけれどとにかく力が強いので気配を察知した時は防御の魔法陣を展開する。

今日は会議だからいないけれど工房に出向いたときに同じようなことをすると奥さんにこっぴどく叱られている。

とっても愛妻家で家では妻と娘に頭が上がらない人でもある。


「ピッコロさん、何度も言うけど力が強い。痛いです。」

「お?すまんすまん。ついなぁ、力が入るんだよなぁ。お前展開してるから大丈夫だと思ってな。」

展開してたらさらに力を強めるじゃないか・・・と突っ込もうとしたところ



「こら!若い子をからかうんじゃありませんよ。エマ、お久しぶり。魔力過多症の薬はよく目をつけたものです。」

がははと笑う親方の背後から現れたのは錬金術師組合の組合長でウェスタ工房の工房主だ。

ヴェスタ工房のガブリエラさんは銀髪に青い瞳の老婦人、冷たい色味を人のよさそうに「見える」タレ目とにこやかに微笑した唇がが雰囲気を和らげている。


組合長にそう言われると肩の力が軽く抜ける。

私のそんな様子を見て会長は微笑むと耳元でこう囁いた。

「私的には新しい美容液の成分のほうが気にはなるところだけれど。特許が取れたら教えてね。」


会長の工房、ウェスタ工房はポーションなどを主力とする女神の乳薬舗と異なり化粧品に特化している点だ。

彼女の工房は薬品工房の中でも香油や化粧品が主力で王都にも支店があるほどの大規模工房なのだ。

お試しで肌に塗ってあげたら翌日飛び込んできた。

まだサンプルは渡してないけれどきっと研究もしたいんだろうなぁ、と思う。


子供用魔力過多症薬は順調だ。レシピ使用料も入ってまだまだ主力には程遠いけど評価は素直に嬉しい。

丸薬ポーションは画期的と言われるけれど狩人ギルドから申し込まれるのも対魔物避け、時限発動魔法陣、緊急水補給用魔法陣、時間短縮魔法陣が多いのだ。


亡き祖父は付与術師で超級ともいえる魔法陣設計士で頼まれた効果の魔法陣を簡単に錬成して効果付与したりしていた。

他の錬金術師たちが使う錬成用魔法紙、インク、ペンなんかの加工用薬品も作っていた。

父は薬を作る錬金術師で一時期はそちらが中心になったけど若いうちに事故死したから暁星堂は結局祖父のイメージが強くて今でも付与術の注文は多い。

私も契約工房から仕入れた紙やペンを加工して販売するのは重要な商品で収入源だ。


ブルグは魔物が多い森が近いから狩人が多く、素材を加工して出荷するから錬金術工房もかなり発展している方だ。


錬金術師はさっと分類すると、薬の錬金術師、魔道具の作成を主にする錬金術師

鍛冶屋も兼ねることが多い金属錬成師 、ちょっと高価だけれど日常に使うような瓶細工や錬金術師らの実験道具を作成するガラス錬成師


狩人が手に入れた素材を一段階加工する素材錬成師、 持ち込み素材の錬成したり、魔道具などにさらに効果を付与する品質向上錬成師 などが主な所だろう。


ブルグに独特なのが

絹の錬金術師、という種類の錬金術師だ。

ブルグ独特の魔蚕から取る絹糸と織物を生産している。ブルグ絹と言われる艶と魔力属性がある素材でドレスとしても軍の防御品としても取引されている。

ブルグ近郊の森にいた魔蚕を飼育改良した。魔蚕は村近くの契約工房や農家で飼育生産されている。

飼育餌に関する作業に秘密があるらしく、多くの錬金術師が学びに来るもののいまだにブルグより優れた品質の絹の作成には成功していない。


この魔蚕から採取した魔力糸をさらに錬成し、専属工房で染色し布に織り上げている。

錬金術師の手が加わる過程が多いほど高級品だが魔蚕糸を使うだけであとは通常加工の布でも普通の絹よりは高いのだ。

だからブルグには服飾に関連する染色などの産業が発展している。

ブルグ絹を作る工房はアリアドネ工房含めブルグに3軒ほどしかなくてこの功績で男爵号を得たほどのいわゆるブルグの名家でもある。

ちなみにアリアドネ工房の今の工房主は副組合長で私の父の友人。娘のヴィヴィは私の幼馴染だ。



あとはブルグにはいないけれど、磁器を作成する錬金術師、火薬を精製する錬金術師、魔道具の中でも杖に特化した錬金術師なんてのもいる。



そんなブルグの錬金術師組合でも大きな錬金術工房は


組合長の工房であるヴェスタ薬坊、女神の乳薬舗はおばさんの工房。絹製品を主力にするブルグ独特の工房のアリアドネ工房。ピッコロ親方のトッツィーナ鍛冶工房

ガラス工房のブルジアとピジョン魔道具工房が老舗で大規模で、今日参加している工房の中にはその下請け作業をすることが主な仕事だという工房もいる。


これらの大規模工房に比べたら我が暁星堂なんて零細工房に過ぎないわけだ。

もっとも大規模工房だったなら爺ちゃんはわが家をあんな改装しなかっただろうけれども。



今回も説明的なお話になったような。

次回でギルド生産部は終了予定です。

次の話も準備進めてます。


読んでくれた皆さんありがとうございます。

まだまだ頑張ります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ