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新・暁星堂騒動記 相続したのは魔法物件でした  作者: 星乃まひる
とある錬金術工房の営業日記
11/41

ユニコーン 1

伝説の生き物を探しに行こう!!


ユニコーンは飼い馴らしのきかない、たいへん凶暴な、無敵の、それゆえに自らの力を過信する傲慢な野獣と言われている。

ユニコーンは、額の中央に螺旋状の筋の入った一本の長く鋭く尖ったまっすぐな角をそびえ立たせた、紺色の目をした白いウマの姿をしている。


非常に獰猛であるが人間の力で殺すことが可能な生物で、処女の懐に抱かれておとなしくなるという。

角には蛇などの毒で汚された水を清める力があるという。


~魔力保有生物図鑑 より ユニコーンから抜粋~


「ユニコーンの角が欲しいなぁ。」

魔道具用の特殊オイルを買いに来たジョルジュがルクーに出されたお茶を口にしながら嘆息した。

「どした?」

2日前に助っ人を頼まれた狩りから帰ってきたばかりのエリックが尋ねる。


「あぁ。今川の取水口の浄化設備改良してるんだけどそれに使いたいな、と思って。」

そういえばジョルジュはつい先日共同の井戸にそれを取り付けたことでとても感謝されている。

「浄化と消毒に効果あるもんね。私も室内温室に付けた。でもさ、取水口に付けるには無理があるよね、量的に。」

「そう!そこ!そこなんだよな。ケチケチしたのを付けると1回だけ浄水したらもう魔力が切れちまうし、それを維持する魔法陣を錬成定着させるには素材がまた別途必要。

なかなかに難儀なんだよ。だから今回は前の設備を少し改良するくらいで済ませる予定なんだけどさ。なあエマ、効果増幅させる薬の調合できない?」

「理論はあるけど今の素材レベルじゃ無理かなぁ。」

私がそう答えると

「やっぱりそうなるかぁ。ユニコーンの角がもう少し使える量であればいいんだけどなぁ。」


ジョルジュがそう言うとなぜかいきなりカウンタに足をあげた。

「こら、やめてよ!」

暁星堂のカウンターは繊細な作業もする場所だし、お客様が来たら驚くではないか。私が足を払いのけると

「あ、すまん、すまん。」


言いながらジョルジュは焦ることなく脚をゆっくり下ろす。非常に小憎らしい。



ユニコーン、それは錬金術師に代表される魔道具師界隈では有名な素材であった。


そう過去形なんである。



ものの本によるとユニコーンというものはめちゃくちゃ凶暴で狩人たちにとっては高い報酬がなければ手出しをしたくない生物であったという。

それでもユニコーンは角、皮、蹄、たてがみの毛の一本に至るまで有効に利用されるので狩人の獲物として乱獲を呼び、規制したら密猟が横行し、ついに幻レベルまで激減したという。



この惨状をなんとかしたい、そしてユニコーンの素材が欲しい!!(たぶんこちらがデカいと思う。)

この願いが叶うのが今から50年ほど前のこと。


とある引退狩人が馬牧場を営んでいた。そこに若く美しい牝馬を買ったらあら不思議、夜な夜なユニコーンが通いつめてきたという。

やがて牝馬はめでたくご出産。それがみな可愛い角が生えたユニコーンだったという。

これに閃きを得た彼はさらに牝馬を増やし、ユニコーンの牡をおびき寄せての繁殖に成功。

ついに人類はユニコーンの人工増加に成功した。


さらにその過程で凶暴極まりないユニコーンの性質は温和な馬と交雑していくことで飼育しやすく改善し、やがてそれは世界に広がり、今やユニコーン素材は安定供給されるものになったのです。めでたしめでたし。


というのが通説だ。

ただし、馬の血が入ったせいか素材としての品質は野生に比べたらやや劣るらしい。

まだ絶対数が少ないから供給もとぎれこそしないが潤沢とは程遠い。

だからたてがみは必要な分だけ、角は2年に一度の生え変わり期に、皮は自然死した個体が出た時に出回るくらいだ。


ちなみに他に人気の素材としては竜もあるがこちらは飛竜ワイバーンや地竜でっかいトカゲな亜種がいて、そいつらは繁殖力も旺盛らしくまぁいるわいるわの迷惑レベルでむしろ狩人の討伐対象である。





「そう言えばエマはユニコーン見たことあるのか?」

エリックに聞かれて私は頷いた。

「うん。学院時代に生産牧場に行ったよ。素材の生体は知るべきだって。」


あの実習はきつかった。ものによっては野営、ハンティング、果てなき追跡、学生の多くがインドアだった人が多い学院だから大変だった。

ちなみに私の担当は追跡捕縛。荒事担当、女狩人。・・・本当に大変だった。主に『子守』が。


ちなみにユニコーンは話に聞いてたよりもおとなしかった。先人の苦労がしのばれる品種改良のたまものだろう。




「俺はその過程は免除だった。騎士過程での討伐で代行で。まぁ見たことはあるな。親父の伝だけど。ユニコーンって随分と軍馬に似てたな。やっぱり馬なんだって思ったよ。

ただ乗れないって聞いたけどな。そういう調教とかにはむいてないってな。」

おぼっちゃまはさすがだ。

「品種改良って書いてあるよね。なんか元々はもう少し小さかったみたい。」


とっ捕まえて角をへし折る、とか書いてある本を見たな。たしかに今のサイズじゃ厳しい。


「俺はないな。ユニコーン狩りを受けたことはあるが。」

「兄貴、それ犯罪じゃ?」

素材としては普及しつつあるユニコーンだけど絶滅危惧種なのは変わらないのでそう定められたのだ。



「あぁ。旅の途中で言い出しやがったから突き出しといたぞ。」


さすがに一流と言われるクラン『白金の羅針盤』所属である、その辺はきっちりとしていたらしい。


「まぁ野生のユニコーンはさらに相当凶暴らしいからな、狩りに行って大怪我させられて狩人資格はく奪、咎人として収監じゃ割に合わなすぎるよな。」

エリックもそう言いながら首をすくめた。






新しい話は伝説の生き物探し。

6話ほどの予定です。

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