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大好きなあなたのことを、 気づかれないようにあなたに伝える。

作者: ゆう



部活終わり、

僕たちはいつも、

いつまでもグラウンド横のベンチで、

語り合っていた。


話していると、

いつも部室の明かりがつき、

誰かが食べるカップラーメンの匂いや、

UFO焼きそばの匂いがしてきた。


僕たちはお互いの好きな人のことを、

いつまでも話していた。


僕はあなたのことが好きで、

あなたのことをあなたに向かって、

いつも話していた。


あなたの好きな人は、

たいしてかっこ良くもなくて、平凡で、

クラスで少し嫌われているバスケ部の人だった。


あのときマラソン大会があった。


僕はそいつに勝つために、

部活終わりのあなたとの話す時間を

やめて、マラソンの練習に必死になった。


そしてクラスでもたいして速くなかった僕は、いつのまにかクラスで一、二番になった。


ただ結局、そいつには勝てなかった。

そいつの背中すら見ることもなく、

マラソン大会は終わった。


その後、バレンタインデーにどうみても義理チョコにしか見えないチョコをあなたからもらった僕は舞いあがりその場で告白した。


あなたは戸惑った顔をして、

受け入れてくれた。


そして僕たちはすぐに別れた。


あなたはその後、

そいつに告白をして、つき合った。


でも何回も別れたりした。

あなたがいつもそいつからフラれていると聞いた。



あの時、義理チョコをくれたのは何だったんだろうな。そいつに嫉妬して欲しかったのかな。僕が可哀想に見えたのかな。


大人になったけど、今でもあの時のあなたの気持ちがわからない。


僕はどうしてそいつより速く走ったら、あなたが僕に振り向くと思ったんだろう。


どうにかすれば、人の気持ちは変えられると思うくらいには無邪気だったんだ。


あなたはどうしてそいつのことがそんなに好きだったんだろう。


あんなに何回もフラれたのに。


「僕にしときなよ」って言えたらよかったけど、そんなのは文化祭の後の打ち上げで、酔っ払いながら「今夜はブギーバック」を歌うときに叫ぶフレーズだった。



三人が同じ空気を吸って生きていると思ってたのは、きっと僕だけだった。








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