VIII
【部位複製】
複製可能部位:ケープバット(頭)消費血液量6.1ml∕3ml
ケープバット(胴体)消費血液量6.1ml∕4ml
ケープバット(足)消費血液量6.1ml∕2ml
ケープバット(腕)消費血液量6.1ml∕1.8ml
ケープバット(飛膜)消費血液量6.1ml∕2ml
ケープモール(頭)消費血液量0ml∕200ml
ケープモール(胴体)消費血液量0ml∕400ml
ケープモール(足)消費血液量0ml∕120ml
ケープモール(腕)消費血液量0ml∕180ml
これが今、僕の複製出来る部位の一覧、スキルも進化したからか、複製に必要な量が器官の時よりも少ない。良いことだな、うん。しかし、スライムを吸ったからスライム関係の何かがあると思ったんだけど、無いね。消費血液量って言うくらいだから血じゃないとダメって事なのかな?
スライムの魔石の件から一晩経った後の僕の体の調子は、まあ、いつも通りだ。コネクターも『問題無し、むしろ良好と言って良いでしょう』って言ってたし、きっと大丈夫。嘘だとしても僕には信じる事しか出来ないしね。
さて、それじゃあ今日も皆でレベル上げに行こう。
でも、その前に部位の複製だ。とりあえず腕と足を作ってみよう、ローパーの体にどういう形で複製されるのかを確認しておかないとね。早速複製開始だ!
結果としてはバットの腕も足も触手が変化することが分かった。分かったのだが、これは使えない。足に変化したのは10本ある触手の最も後ろにある左右2本だけ。これでは体を支える事は出来ない、歩く? ムリムリ、そもそも小さすぎるし力も上手く入らないし、触手で移動した方が早いので必要ない。
手の方は前の2本の触手が変化した、したのだが、何て言えばいいのかな? 枝? そう枝のように細い指が4本と鉤爪のある短い指が1本生えた。これでどうしろと言うのか?
一応飛膜なるものも複製してみた。多少手の見栄えが良くなった、が、それだけだ。大きさは足同様小さいから手の代わりにもならない、これなら触手の方がまだ色々出来る。こっちも役にたたないな。
そもそも複製した部位が僕の体に合っていない、これでは何を複製してもまともに使えないのではないだろうか?
『ならば体に合う大きさのある獲物を探せばいいのです、例えば、セネピートなんてどうですか?』
セネピートに僕の管は刺さらない、コネクターも知っているだろう? どうやって血を吸えばいいんだよ?
『その方法はあります、いえ、正確には出来る可能性が出来ました』
うん? どゆこと?
『どうやら魔石の融合により新たなスキルを獲得したようです、これは非常に有用な情報ですよ! 神々もお喜びになるでしょう!』
珍しくコネクターが上機嫌だな。それよりスキルだ、何が出来るようになったんだ?
名前【 】
種族:ズーローパー
Lv.13∕25
技能:熱感知
触手再生
超音波
麻痺液
部位複製
スライムワンサード
秩序の種子
耐性:麻痺耐性
スライム耐性
す、スライムワンサード? いや、スキル:スライムって何!? 耐性もスライムだし、コネクター! 説明!
『ふむ、どうやらスライムの出来る事の三分の一が出来るようです、流石に体その物を変えることは出来ないようですが』
スライムの出来る事? え~と、ごめん。スライムって何が出来るの? 僕の知ってるスライムは地面を這って動くイメージしかないんだよ、昨日倒したスライムはすぐ吸っちゃったし。
『スライム、その体は変幻自在、どんな小さな隙間にも入り込む神出鬼没のモンスターです、以前説明した通り奇襲に関しては最強の部類になります、その体は3種類の液体によって構成されており、1つ目は体の表面を覆う保護膜、2つ目は取り込んだ獲物を溶かす消化液、そして自分の心臓たる魔石を守る守護液です』
スライムってただの動く水じゃなかったんだね、ずっとそんな感じに思ってたよ。
『そんな訳ないじゃないですか、大体水が魔力を手に入れたところで動く事なんて出来るわけがないじゃないですか、重力と地形に従い何処かに流れていくだけですよ』
なるほど、確かに。それでワンサードって?
『一応あなたの世界の言語の1つですよ、勉強不足ですね、もう少し見識を広げた方がいいですよ、既に手遅れですが』
その辺はほっといてほしいなぁ。それで、ワンサードって?
『三分の一という意味です、つまりスライムの三分の一がスキルになったと言う事です』
スライムの三分の一、具体的に何が出来るようになったの?
『どうやら保護膜のようです、あなたの体を纏う粘液に効果が追加されたのを確認しました』
保護膜、……特に何か変わったように見えないけど。
『その保護膜こそがスライムの物理無効の正体です、強力な表面張力で切っ先の鋭い刃ですら膜を破る事は出来ません、ローパーは自らの体を覆う粘液で保護膜を無効に出来るのでスライムに管を通す事が出来るのです、その保護膜が粘液に加わったと言うことは、お分かりですね?』
僕は物理無効を手に入れた、って事でオーケー?
『その程度の認識ですか、まあ、今はそれで良いでしょう、それよりスライム、いえ、魔石を持つモンスターを探しましょう! ここはダンジョン、スライム以外にも必ず魔石を持ったモンスターがいる筈です、探して倒して魔石を取り込み、更なる強さを手に入れましょう!』
えぇ~、魔石を取り込むってあれでしょ? あのものすっごい痛いやつでしょ? やめよう? ほら! 天使達は強いし、このままおこぼれを貰う感じでいいじゃな──
『何を言っているのですか? 早く強くなってダンジョンから出たいと言っていたのはあなたじゃないですか、ならば前に積極的に出て戦いなさい、そして吸って、取り込んでドンドン自らを強化していきましょう』
それはそうだけど、痛いのはちょっと。いままでは甲羅が結構頑丈で首を引っ込めれば攻撃を受ける事は無かったし、触手もいくら傷ついても痛みがないから、こんな場所でも戦ってこれたんだよ。そこに痛みがあったら、きっと僕は耐えられ──
『ここまで来て更に弱気にならないでください、死んだ時の痛みに比べればどうって事は無いですよ、既にあなたは体験済みでしょ? さあ、行きますよ、この階層だともう目新しい相手も居ないでしょうから上に向かいましょう、動かないならまた私が動かしますよ』
……う~、分かったよ、進めばいいんでしょ? 進めば。はぁ~、それじゃあノワール、お願いね。
「はい! 主様! でも主様、その前にこちらに大きいのが近付いて来ていますが、どうしますか?」
ふぇっ? ど、どっちから!?
「あちらの方からですわ、マスター」
『上への階段がある方ですね、ちょうどいいですし潰してしまいましょう』
ブランが指差す方向を熱探知と超音波で確認すると、長くて巨大な何かが向かって来るのが分かる。そのシルエットに僕は見覚えがある。そう、ブランとノワールに会う原因になったスタッグビートルセネピートだ。奴が来る!? 勘弁してくれ!!
そろそろ2ヶ月経つのでですが
すいません、まだぜんぜん話がまとまってません
とりあえず1話だけ更新
次回は未定です