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VII

 ダンジョンを進む僕達2人と1匹、と言っても僕は相変わらずノワールに抱き抱えられている。敵が現れたら降ろしてもらって戦う、それ以外はずっとこの姿だ。それなのにノワールには疲れる様子が見えない、天使、すごいな~。


 戦いは基本的に協力するのではなく、配分を決めて一人一人がそれぞれ戦う形だ。理由は簡単、僕が足手まといになるから。僕から見れば2人が強すぎるんだけどな。


 ブランは近接での戦いが好きで見つけた相手に一瞬で近付き先制攻撃、バットなら一撃だ。たまに見かけるセネピートは魔法で対処する、風魔法【ウインドスライサー】、水魔法【バブルリング】、光魔法【フラッシュショット】僕が見たのはこの3つの魔法だ。


 ウインドスライサーは風の刃、バブルリングは泡の手錠、フラッシュショットは光の弾丸だ。

 ウインドスライサーで足を切り裂き、バブルリングで動きを止め、フラッシュショットで敵を撃つ。泡の手錠(首輪?)で宙に浮かされ、風の刃で足をもがれ、光の弾で撃たれるセネピート。哀れだ。


 ノワールの場合決して敵に近付かない、と言うか僕から離れようとしない。だから攻撃は魔法が主体、使う魔法は土魔法【グラウンドニードル】、火魔法【ファイアショット】、闇魔法【ダークハンド】の3つだ。


 グラウンドニードルは土や岩のトゲ、ファイアショットは火の弾丸、ダークハンドは影から黒い手を出す魔法だ。グラウンドニードルで進路を誘導、ダークハンドで敵を捕らえ、ファイアショットで止めを指す。恐ろしい娘だ。


『この世界には基礎となる6つ+補助1つの属性(エレメント)が存在します、大地を形成する火、土、風、水の四大属性と光、闇の対属性、そして自他を癒す治癒属性です。天魔法とは基礎6つの属性の内3つ、光、風、水の組合せの総称です、同様に闇、土、火の3つの組合せを地魔法と呼称します』


 その属性と魔法の関係は?


『魔法とは自分の魔力に属性を宿らせた力の事を言うのです、火の属性が宿れば火魔法、水ならば水魔法といった感じです』


 ふ~ん、その魔力に属性を宿らせるにはどうすればいいの?


『魔法陣と呼ばれる円陣を描きそこに魔力を流し込むのです、かつては呪文が魔法陣を自動で形成していたのですが、賢者と呼ばれた人類種が詠唱と魔法陣の関係に気付き、詠唱無しでも魔法が使える様になりました、その分威力は下がりましたが、ちなみに天使は魂に数多の魔法陣が保存されている為詠唱を必要としません』


 そうなんだ。あれ? でもブランとノワールは詠唱省略ってスキルがあったよね?


『彼女達は幼体、本来の能力を完全には使いこなす事が出来ません、故に保存された魔法陣を呼び出す為に簡単な詠唱が必要なのです』


 だから省略なんだね。とりあえず魔法の仕組みは理解した、と思う。ところで天魔法や地魔法以外に同じような魔法はあるの?


『天魔法、地魔法は以外には火、風、水で嵐魔法、火、土、水で溶魔法等いくつか種類があります、これら3属性を合わせた魔法を【三重魔奏(トレインマジック)】と呼びます』


 三重魔奏、ちなみに属性2つの時の呼び名はあるの? 僕にも魔法って使える?


『属性が2つの時は【二重魔奏(ダブインマジック)】です、そして、あなたは魔法が使えません、ローパーには魔力を操る力がありませんので』


 そっか、残念だなぁ。僕がいた世界じゃ魔法は空想の産物だから使って見たかったんだけどなぁ。


『あなたは器官を複製する力がありますから、魔法は無理でも似たような事は出来るようにはなると思います、例えば火を吹くモンスターを倒してその器官を複製するとか』


 そんなモンスターがいるんだ、戦いたくはないけど見てはみたいな。その為にもダンジョンから出ないとね。


『では、早く強くなるためもっと戦いましょう、天使達が倒してもレベルは上がりませんからね』


 やっぱりそうなるよね。うん、分かってたよ、それじゃ戦闘開始だ。


 まだ見ぬ未知なる世界を見るために、なによりこの暗くてジメジメしたダンジョンから出るために僕は奮起した。極力前に出てバットを叩き落とし、絞め落とし、血を吸って倒していく。


 セネピートは僕では倒せなかった。叩いても絞めても効果が薄いし、血を吸おうにも管が体に刺さらない。仕方ないのでセネピートはブランとノワールに倒してもらっている。


 ゲームみたいなごり押しは出来ないから効率重視でいくよ、生まれ変わって数日で死にたくはないからね。順調に敵を倒してダンジョンを進む僕達は小さな部屋で初めて出会うモンスターと出会った。


『スライム、ですね、体の99%が水分で出来ており物理攻撃の全てを無効化するモンスターです、こういう湿気の多い洞窟で希に発生すると言われています、レアモンスターですね』


 へぇ~。スライムと言えば僕の世界じゃゲーム序盤のチュートリアルで戦う相手なんだけど、こっちじゃレアなんだ。強いの?


『前にも言いましたが、ローパーとスライムは奇襲と言う面では強者です、スライムは魔法さえ使えれば苦戦する相手ではありません、もちろん接近さえされなければ、ですが、1度捕まればすぐさま身体中に広がり表皮を溶かし始め、穴と言う穴から体内に侵入しそのまま自らの養分にしてしまいす』


 うわぁ、嫌だなそんな死に方。ブラン、ノワール、近付いちゃダメだよ。


「はい、マスター」

「仰せのままに」


 とりあえずブランとノワールはこれで良いとして、コネクター、魔法で攻撃するならノワールとブランどっちがいい?


『その必要はありません、あなたが倒せばいいのです』


 えっ!? でも、物理攻撃しか出来ない僕じゃスライムは倒せないよ。


『ローパー種、特にあなたのような吸血タイプはスライムの天敵です、その体に溢れる粘液はスライムの溶解液を無効化し、その管はスライムの体を飲み込みます、それで終わりです』


 あっそうなの? じゃあちょっと行ってくるね。


 スライムは透明な水の塊がズルズルと動いているように見える。僕より遅いんじゃないか? 99%水分って話だけど、あと1%はなんなのだろうか? まっ、吸ったら分かるか。


 スライムは僕から離れるようと動いている、戦っちゃいけないって分かってるんだね。でも、ごめんね、僕も強くならないといけないんだ。そういうことだから、いただきます。


 僕はスライムの体に10本の管を入れ、一気に吸い上げる。見る見るうちに体が萎んでいって最後に小さな石が残った。色は透き通った赤、よく見たら赤以外にも緑や黄色、青も見える。なんだこれ?


『これは魔石と呼ばれる鉱物です、大地に溢れる魔力が地下で凝縮されて固まった物の総称です、たまにスライム等の異形種と呼ばれるモンスターの体内に宿っている事があります、その場合魔石が心臓の代わりになっている事が多いです』


 へぇ~、それじゃこれもレア物だね。


『そうですね、まあ、あなたには無用の長物ですが、ローパーに魔石は使えませんからね』


 ローパーって出来ない事多いよね。ところで魔石って何に使えるの?


『例えば人類が魔法を使うための杖、他にもコンロ、冷蔵庫、レンジと言ったあなたの世界の家電も魔石で動いています、電池、ノワールような物ですね、魔力を使えないと動かせませんが』


 なるほど、それで僕には無用の長物ね。……綺麗だから取っとこ、え~と、どこかに魔石を置いておけるスペースはないかな? う~んと~、あっ、甲羅の奥に隙間が、ここでいいや。さて、ブラン達の所に戻る、イタッ! なんだ!?


『どうやら魔石同士がぶつかってしまったようですね』


 魔石同士? 僕1つしか魔石持ってないよ。


『あなたの体ににも魔石はあります、あなたが見付けた甲羅の奥の隙間はあなた自身魔石、つまり心臓があったのです、それにスライムの魔石がぶつかったのでしょう、しかし、痛覚を持っていないローパーでも魔石は痛みを感じるのですね、データを更新しておきます』


 そんな事良いから僕は大丈夫なの!? 心臓なんだよね!?


『特にステータスに異常はありませんし、大丈夫だと思います』


 ホントかな~? とりあえず魔石を捨てよう。また痛くなっても嫌だし、え~と、あれ? 魔石がない? どこ行った!? 


『どうやらあなたの魔石と1つになってしまったようです、これも初めてのデータですね、更新します』


 更新とかどうでも良いから、僕は大丈夫なの!?


『それはわかりません、暫くは様子見ですね』


 そんな~、僕どうなっちゃうの~!? 

 僕の心の叫びに誰も答えてはくれなかった。

とりあえずここまで


また1週間分位溜めたら更新します

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