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VI

 僕の前で天使の少女達は目を開ける、右の子は金色の瞳を、左の子は赤い瞳を覗かせた。


「初めましてマイマスター、よろしくお願いいたしますわ」

「初めまして我が主、精一杯仕えさせて頂きます」


 右の子から言葉を喋った。言葉使いが少々子供らしくないが、天使だからかな?


『彼女達は孵化の際、全ての記憶を初期化、改めて基本的なデータをインストールしました、言葉使いは彼女達の性格に起因するので私には分かりかねます』


 そうなんだ、ちなみにこの子達にもステータスってあるの?


『この世界に生きるものなら誰だって持っていますよ、自由に確認出来るかはどうかは別ですけど、それと彼女達に名前を与えて下さい』


 名前? 僕が名付けるの?


『もちろんです、あなたの配下なのですから』


 その理由には納得出来ないけど、分かった。名前だね、どうしようかな~? あんまり深く考えても仕方ないし、右の子は【ブラン】左の子は【ノワール】でどう?


『私にとっては個体を識別する為の物なのでなんでも構いません、彼女達に聞いてください』


 聞いてって僕、声は出せないけど?


『天使にはどんな存在とも会話できる様に【念話(テレパシー)】と言うスキルがありますので、彼女達を意識しながら話しかければ聞こえる筈ですよ』


 そんな事が出来るんだ、すごいな天使。それじゃあ、改めて彼女達に向けて名前を伝えてみる、ちゃんと伝わっただろうか?


「私はブランですねマイマスター、改めてよろしくお願いいたしますわ」

「主より頂きしノワールの名に恥じぬ活躍をお約束いたします」


 うん、よろしく。ノワールは少し堅苦しいな、もう少し柔らかくならない?


「善処、いえ、頑張ります」


 おお! ちゃんと通じたよコネクター!


『良かったですね、よかったら彼女達のステータスを見てみますか?』


 見れるの?


『私がいればそれくらい余裕です、では、どうぞ』


 名前【ブラン】

 種族:天使(幼体)

 Lv.1∕50

 技能:念話

    言語変換

    天魔法

    詠唱省略

    武具召喚(封印中)

    眷族召喚(封印中)

 耐性:全耐性(オールレジスト)

 称号:【名無しの配下】【眠れる英雄】


 名前【ノワール】

 種族:天使(幼体)

 Lv.1∕50

 技能:念話

    言語変換

    地魔法

    詠唱省略

    武具召喚(封印中)

    眷族召喚(封印中)

 耐性:全耐性(オールレジスト)

 称号:【名無しの配下】【眠れる英雄】


 この子達は天使の幼体って種族になるんだね。孵化? したばっかりなのに僕より最大レベルが高い、レベル上げが大変そうだ。言葉が分かったのはこの言語変換ってやつのおかげかな? 天魔法、地魔法ってなんだろう? 地はなんとなく予想がつくんだけど天って何? 封印中の召喚って言うのも気になる。


 耐性は僕にはない項目なんだけど、全耐性って事は大抵は効かないって事かな? 称号も僕にはない、名無しの配下はきっと僕の配下って事だと思うけど、眠れる英雄って何? 眠れる獅子なら聞いたことがあるんだけど。コネクター!?


『全部を一遍に説明するのは時間がかかりますので、彼女達が使用したときに説明します、ですが耐性と称号はあなたにも関係があるものなので今から説明します」


 分かりました。先生お願いします。


「耐性は読んで時のごとく耐える性質です、主に状態異常にかかりにくくなる、と覚えておけば大丈夫です、称号は名前以外の呼び名です、例えば【勇者】や【魔王】、【聖女】と言ったものです、彼女達は伝承か何かで今の時代に話が伝わっているのでしょう、伝承された頃より能力が下がった事で“眠れる”と呼称されたのでしょう』


 説明ありがとう。ちなみに耐性ってどうやったら手に入るの?


『百聞は一見にしかず、論より証拠、まずは適当な相手を見つけましょう』


 答えるつもりはない訳ね。それじゃあ行くよ、ブラン、ノワール。ってあれ?


 唯一部屋から出られる道に向かおうと方向を変えたら突然体が浮かび上がった。一体何が? そう思い後ろを見ると、ノワールが僕を持ち上げていた。一体何をしているの?


「主様は私がお運びします」

「マスターの前は私がお守りしますわ」


 いや、自分で歩くからいい──


『いえ、そのまま運んでもらいましょう、その方が速いです』


 そりゃ今の僕は亀の歩みのように遅いけど、女の子に運んでもらうのはちょっと、


「お任せ下さい、迅速丁寧にお運びします」


 いや、だからね、


「お運びします!!」


 あー、う~ん。じゃあ、……お願いね。


「はい! 頑張ります!!」


 ノワールは頑張り屋さんなんだと思うんだけど、ちょっと強引なところは苦手かも。と、ノワールに抱えられながら思った。それと速く歩ける様にもならないと、とも。


 ノワールに抱えられダンジョンを進む事まもなく、バットの群れを発見。と同時にブランが止める間も無くバットにダッシュ、1匹を残し手刀で全滅、それも一撃で。最後の1匹は捕獲し目の前まで持って帰ってきた。


 速い、強い、的確。もうこれ僕要らなんじゃない? 彼女達を連れて世界の秩序とやらを守りにいったらどうだい、コネクター?


『それが出来たら既にやっています、出来ないからあなたをサポートしているのです、それに出来た場合、あなたはどうするのですか? ここで1人、いえ1匹でどうにか出来るのですか?』


 それは……これからも、よろしく。それで僕は何をすればいいの? このバットを吸えばいいの?


『吸う前にこの階層に来る前に複製した麻痺液を流し込んでください』


 はーい、麻痺液だね。使うのは初めてだけどどんな感じかな? え~と、どうやら麻痺液は口代わりの管の外側から流れるみたいだ。それじゃブスッと突き刺してちゅ~にゅ~! 


 麻痺液は注入されたバットはブランから逃げ出そうと暴れていたが、1分もしない内に動かなくなった。死んではいない、体が痺れて動かなくなっただけだ。


『準備完了です、では吸って下さい、そのまま吸い尽くしても構いません』


 オッケー! では、頂きます。チューッと、な。……あ、れ? なん、だか、感、覚が、なく、なっ、て。


『それが所謂【麻痺】と呼ばれる状態異常です、この世界での麻痺は麻痺液の濃さによってしょ──』


 ☆


『おはようございます、気分はどうですか?』


 おはよう、なんか頭がボーッとしてる。


『麻痺液が濃すぎたようですね』


 あー、なんかそんな事言ってたね、濃さがどうとか。改めて説明してもらえる。


『はい、麻痺液はその濃淡によってその症状が変わります、薄ければ軽い痺れ、濃いと先程のあなたのように意識を失い、症状が酷いとそのまま死に至ります、それぞれの症状を【麻痺】【麻酔】【昏睡】と呼称します』


 それは先に説明してほしかったな、運が悪かったら僕死んじゃってたんじゃないか?


『彼女達がいれば問題ありません、天地共に治癒の魔法が存在しますので』


 もしかして、即死さえしなければ何をしてもいい、とか思ってないよね?


『思ってますよ、その方が早く成長出来ますから』


 あの、出来ればあんまり無茶な事はしたくない──


『彼女達を従えた事で死ぬ確率は格段に下がりました、今回も一時期な昏睡状態になった事で麻痺への耐性の取得に成功しています、このダンジョンに出没するモンスター相手なら彼女達がいれば問題ありません、とりあえずの目標は次の進化、さあ、ドンドンいきましょう』


 駄目だ、人の話を聞いてないよ、このサポーター。僕は早いところこの薄暗いダンジョンから出たいのに、


『では早く進化しましょう、そうすれば簡単にこのダンジョンから脱出出来るようになりますよ、ちなみに逃げ出す素振りが見えたら強制的に死地に送り込みますので、あしからず』


 あ~、コネクターに顔があったらきっと悪い笑顔を浮かべているに違いない。ええ~い! どうせ1回死んでるんだ! やってやるさ!

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