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III

 休憩を終えダンジョン探索を始めて少し、どうやらこのダンジョンはケーブバットが結構住んでいるらしく次の群れが簡単に見つかった。やはり天井に引っ付いている、数はちょっとわからない。さっきはラッキーで勝ったけど、今度は考えて戦わないと。まずは、触手で捕らえてみよう。


 天井にいるバットに向かって出来るだけ早く2本触手を伸ばす、が、バット達は飛んで触手を回避した。やはり、そう上手くいかないか。バット達は僕の頭上をグルグル飛び回っている、う~ん、やっぱり狙って捕らえるのは難しいなぁ。だったら、狙いやすい場所にきてもらおう。


 僕は甲羅の中に体を全部しまって小さくなる、これでバット達は甲羅の入口からしか攻撃出来ない。さあ、来い! 


 ……あれ? 来ないな。上を飛び回っているのは熱感知で分かるんだけど、あっようやくこっちに飛んできた。でも入口じゃない、甲羅の周りに集まって、何をするつも──ハッ! そういうことか、だったらこっちだって。


 バット達は甲羅に入った僕を持ち上げて落とす事で甲羅を割るつもりなんだろう。そんな簡単にやられるほど僕は甘くないぞ。触手だけを外に出し甲羅を掴むバットを掴み地面に叩きつける、ドンドンいくぞ! それそれそれそれー!


 バット達は持ち上げるのが無理と悟ったのか逃走した。それでも12匹のバットを倒す事に成功、血を吸う事に成功した。うっぷ、流石に飲みすぎたかな? お腹? が重い。でもこれで、


【器官複製】

 複製可能器官:超音波発生器官(鼻)消費血液量15.05ml∕10ml

        超音波受信器官(耳)消費血液量15.05ml∕10ml


 よしよし、とりあえず片方は作れるな、どっちにするか。……うん、やっぱり鼻より耳だよね。臭いより音が聞こえた方が探索に便利だと思うし。さて、どうなるのかな?


『おめでとうございます、器官の複製に成功しました』


 えっ、もう!? 僕は何も感じてないんだけど。


『複製した器官と体が適合すれば音を拾えるようになり自覚することも出来るでしょう、見ますか? 手に入れた器官を?』


 見る見る! どんな感じになったの?


『ではどうぞ』


 頭の中に写し出された体を見る。え~と、ちょっと後頭部頭の横が凹んで模様と穴が出来たのかな。こんなんで大丈夫?


『器官に問題はありませんから大丈夫でしょう』


 そっか、それなら信じるよ。そういえば苦しかったお腹が楽になったなぁ、どうして?


『取り込んだ血液を消費したからです、血を吸わない時間が空けば体が勝手に消費します』


 なるほど、欲しい器官があったら間を空けずに吸い続けろって事だね。それじゃまた探索を開始しよう、とりあえず目標はバットのまま、鼻も手に入れるぞ! おー!


 気合を入れ探索を再開した僕、しかし、僕はバットを見つける前にある存在を発見した。それは、人間だ。


「●●■●●●▲■●▼●■■◆●■■」

「■◆◆▲●■■■◆▼▲■▲▲▼」

「●◆■▼、●●■■●▼●、■▲■●●◆●■■■■■▲」

「■▲▼◆◆■●、▲■●●●●■◆■▲■▼▼●■▲▲■」


 う~ん、音が聞こえるようになったのはいいんだけど何を言ってるのかはさっぱりだ。コネクター、なんとかならない?


『申し訳ありません、ロールローパーの脳では人類の言語の習得は不可能です』


 そっか、それじゃあしょうがないな。でもまあ、観察はしておこう、異世界の人類、僕の世界の人類と何か違いはあるのかな? 


 う~ん、困った。ボヤけて見えるから詳しい姿が見えない。声から男性3人、女性1人なのは分かるんだけど。それにしてもこの耳は凄いな、結構離れてるのにあの人達の会話がしっかり聞こえる、良いものGETだぜ。


 おっ、どうやらあの人達は僕がさっき休憩した部屋に向かってるみたいだ。さて、どうしようかな? あの人達の後を追ってもいいけど、この体動くのは遅いからなぁ。あの人達が来た道を進んだら外に出られないか、試すのもありかな? う~ん。


 ……よし! とりあえず今はバットを探してダンジョンを探索しよう。まずは鼻を手に入れる事が最優先、あの人達とは違う道を進もう。鉢合わせたら大変だしね。


 少し進むと今度はバットとは違う生き物を発見した。コネクターによると、


『あれは【ケーブモール】です、大きいものでは3mを越える個体も存在します、こういった洞窟は主に彼等の狩猟場兼住みかの可能性が高いです』


 だって。目の前にいるのは1mも無いからそれほど脅威には感じない、とりあえず倒すか。そう思い近付くと、


「GIGIGIGIGIGIGIGIGI!!」


 なんか叫びながら迫ってきた。でも、この大きさなら触手で簡単に止められるな。そーれっと。


「GI、GIGI」


 うん、バット達に比べると動きが直線的で簡単だったな。持ち上げて逃げられないようにする、見た目より重いな、いや、それより触手の筋力が高い事を確認出来たのを喜ぶべきか? まぁ、いいや。それじゃあチューっといってみよう。さて、何か複製できる器官はあるかな?


【器官複製】

 複製可能部位:超音波発生器官(鼻)消費血液量4.18mlミリリットル∕10ml

        麻痺液精製器官 消費血液量50.52ml∕30ml


 麻痺液? モール、まあ見た目モグラなんだけど、モグラって麻痺液とか使うんだ。早速複製っと。しかしお腹がもう一杯だ。何処かで休みたいな、コネクター、良いところはない?


『ケーブモールが通ってきた通路の先に小さな部屋があります、入口が1つしかありませんがその分何かが近付いた時に気付けるかと』


 それじゃあ、そこまで行こう。今は早く休みたいしね。


 コネクターの案内の元、小さな部屋に到着。特に何か生き物も居ないようなので休憩を始めた。はぁ、お腹が一杯だ。人だった頃はお腹一杯食べれる事は幸せだったのに、今はそうでもない。こうなんて言うの? 感性的なもの? が大分変わっちゃってるみたいだ。


 今も休んでいるっていうのに、部屋の入口から何か恐いものがくるんじゃないかって警戒しちゃってる。人だった頃は考えられない行動だ。それだけ平和だったって事だと思うけど、今は全然だ。これが弱肉強食、はぁ、誰にも襲われない世界に行きたい。


 母さん元気かな? 父さん、また仕事で無理してるのかな? アズマはまた擦り傷だらけになっているだろうなぁ。エミは友達と仲直り出来たかなぁ? 会いたいなぁ。でも、もう会えないんだよな。あぁ、泣きたいのにこの体は涙も流せない。はぁ、嫌になっちゃうな、もう!


 八つ当たり気味に触手の1本を壁に叩きつけた、すると、突然1つだけの入口が上から落ちてきた岩で塞がった。なに? なにが起こってるの!?


『どうやらトラップルームだったようです』


 そんな!? 一体僕はどうすればいいの!? トラップってどんなトラップ!? ようやくこの体に慣れてきたのにもう終わりなの!? 


『落ち着いて下さい、少なくとも即死するようなトラップではないようです』


 ホント!? その言葉信じるからね!? それでこれはどんなトラップ?


『はい、この部屋のトラップは転移トラップ、このダンジョン内のどこかに飛ばされるトラップです』


 転移トラップ? ちなみにコネクターはどこに飛ぶか分かってるの?


『残念ながらまだこのダンジョンのデータを全て取得出来ておりませんので分かりません』


 そんな~!? 僕の嘆きをよそに部屋は光に満たされ、光が消えた時、僕は知らない場所にいた。

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