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「あ〜ちぃ〜〜〜、干からびる〜〜〜、喉が渇き過ぎる〜〜〜」
森林の中、少年は汗をものすごく垂らしながら呟いた。
それもそのはず。少年が今いる場所は日陰であっても気温が30度を超えている。その上、湿度がとても高くなっているというおまけ付きだ。当然、ゆっくりと休みたいと思っても、休めるところはない。
(やっぱり、目が覚めたときにいた洞窟にもう少しいるべきだったかな、)
などどあれこれと考えてしまう。
なぜ洞窟にいたのだか思い出せない。
ただ、不思議と洞窟にいたことについて疑問に思わなかった。むしろ、当たり前かのように感じてしまった。
(だが、あんなきみわるいところにずっとはいたくなかったし、)
と、目覚めたときにいた洞窟の様子を思い出してしまう。
実際に、少年がきみわるがった通り、洞窟は暗く、何の生き物だかわからない生き物の死骸が無数に転がっていた。
などと少年は思いながら、右手で腹をなでる。
(早くメシを食わないと、空腹でたおれそうだ)
そう、かれこれ少年は目覚めてから半日ほど食事も水分もまったくとっていない。その上、まったく見に覚えがない場所で、ずっと歩きっぱなしだった。普通に空腹感は高まってくる。
「でも、何でだかわからないが、こっちの方をずっと歩いて入ればなんとかなるような気がするんだよなぁ」
と、独り言をつぶやく。
直感に近いと言われれば、直感に近い。何か水の音が聞こえてくるわけではない。木の生え方などで川がわかるわけではない。ましてや、地図などあるわけではない。
何か直感めいたものが確信としてある。
(なぜだろう、)
と考えると、夢か現実かわからない状況の記憶。あたり一面は暗い。にもかかわらず、自分自信は炎に囲まれている。そんな状況で金髪碧眼の少女から言われた言葉……。
「ーー我は原初の呪い。
ーーありとあらゆる呪いは我から始まった……。
ーーそなたのからの見返りに我のすべてをそなたに託そう。
ーー我の力を引き継げば、我の力が必ずそなたに救いの手を差し伸べる……」
などと、思い出していると、水の流れる音が聞こえて来た。