押し入れ
読んで頂ければ幸いです。
私の家には押し入れがある。
二ヶ月ぐらい前に見たのが最後だ。
戸の隙間からは光が漏れており、微かに人の声がする。
「は...く.........なな......か......」
開けたい。
でもそんな気力はない。勇気もない。
しばらくするとパタパタと音がする。
すると、戸の隙間から小さな風と共に香ばしい匂いが流れて来たのだ。
腹の虫が鳴りやまない。
頭の中は食欲で満たされ、体が本能のまま暴れた。
ドンドン!!
ドンドンドンドンドン!!
ドンドンドンドンドンドンドンドン!!
「ハハハハハハハハ………」
ハァ…ハァ...ハァ...
諦めよう。
(寝てしまおう。)
そう思い、仰向けに寝ようとする。
(あっ、忘れてた。)
壁を爪で引っ掻く。
ガリガリ…
(明日、起きれるかな......)