お嬢様とお手伝いさん2 夕食の一時
「椿お嬢様、お食事ができました」
「わかったわ咲羅・・・って何じゃこりゃぁぁぁあああ?!」
普通の一戸建てとそこまでは大差ない屋敷。こんども少女の叫びが響き渡る。
「どうなさいましたか?頭がおかしくなりましたか?ああ、すいません。元からでしたね」
「余計悪くなってるわよっ!てか、おかしいのは咲羅の作ったメニューでしょっ!」
大きめのテーブルには実においしそうな料理が並んでいる。問題は茶髪の主人側のメニュー。ざるそば、麻婆豆腐少量、パンひときれ、レモンティー、デザートにミニパフェ、オムライス。
「量は何とか食べれそうだけど、何でここまでバラバラな組み合わせなのよ!」
「あまりモノを一括処分しようとしたらこうなりました。私の心配は要りません。ちゃんと別の料理を用意してますから」
「誰もあんたの心配なんかしてないわよっ!第一あたしはダイエット中だからデザート要らないって要ったのにパフェがあるのよ!!」
「いやがらせです」
「きっぱりと言い切りやがった?!てかあんた本当にメイドっ?」
「違います。メイド服を身にまとっていようと私はお手伝いです」
「そこら辺を何で気にするのよ・・・」
「椿お嬢様ごときが気にすることではありません」
「ごとき?!そこまで私のことが嫌いなの・・・」
「まぁ割と」
「咲羅・・・アンタって人はぁぁあああ!!」
「夕食前は静かにして下さい」
「あ・・・まだ夕食始まってなかったんだ」
「椿お嬢様がケチをつけるからでしょう?食べさせてもらえるだけでもありがたいと思ってください」
「もう滅茶苦茶じゃないの!さっさと食べましょう」
「そうですね、これ以上椿お嬢様の戯言に付き合っていたら料理も冷めてしまいますね」
「・・・・・(怒」
「「いただきます」」
少しの間の沈黙。食器の音のみがきこえる。そんな沈黙に耐えかねたのか、考えがまとまったのか椿が口を開く
。
「咲羅・・・・本当にあたしのこと嫌いなの?」
シリアスモードが漂う。姉のように慕っていた咲羅にハッキリと嫌いと言われたのは椿にとってそれなりにこたえたらしい。
「そんなことありませんよ。椿お嬢様をからかうのが楽しいだけです。それなりに嫌いな点はありますが」
「からかうのにだって限度ってモンがあると思うんだけど!!?」
シリアスモードはたった数行しか持たなかったらしい。シリアスにする必要もないけれど。
「まったく咲羅は・・・そういえば今日は私のほうが帰るの早かったけどどうしたの?」
「彼氏とデートに」
「ってアンタ彼氏いたのぉおお??!」
「はい、私はお手伝い兼大学生なのでそれくらいはおかしくないと思いますが。多少ヲタク趣味が入った椿お嬢様と違って」
「うるさい、うるさい、うるさ〜い!」
「・・・・・・たまりすぎたコミックやゲームの一部を処分する私の気持ちにもなって下さい」
「わたしのゲーム&コミックかってに処分したのあんただったのね!」
「ええ」
「こんのっ・・」
なんの悪びれもなく咲羅に対し椿はついにマジギレした。というより何かが割れた。
「うぁぁぁあああああ!!」
椿は咲羅に攻撃した。
ヒョイッ
しかし万能お手伝いさんには止まって見えた。咲羅の攻撃。
ブワッ・・・・ドスン!
椿は投げ技を食らった。快心の一撃。椿に999のダメージ。
「ちょっ・・いたたた。なにすんのよ!」
「正当防衛です」
「・・・・過剰防衛って言葉もあるのよ。あーはきそう・・・」
「椿お嬢様の腕もまだまだですね。男に襲われた時どうすんですか。あ、お嬢様のその貧相なスタイルで「だまりなさいっ!」
そこは椿のコンプレックスでもある
「はぁ・・・咲羅の彼氏ってのはよくこんなのと付き合えるわね。どんな人なの?」
「ごちそうさま」
「聞けよっ!」
「椿お嬢様に言って何の利益があるのですか?そんな意味のないことをして何になるの言うのですか?」
「いや、そこまで言わなくてもいいじゃないの」
「そんなことより自分の彼氏を探したらどうです?」
「余計なお世話よ!」
「そうですか、出すぎた真似をしました」
「なんであなたはたまに急に素直なのよ・・・・」
「早く食べてください、あまり遅いとスタイルよくなりませんよ?」
「完璧なまでに関係ないでしょうがっ!あーホントに咲羅の彼氏の顔が見てみたいわよ」
咲羅が少し顔を赤らめて・・・
「優しい、良い人です・・・」
「惚気やがったよ、畜生!!!!」
「ほら、食器もう洗いますよ」
「わかったわよ、少し待ってよ」
といってラストスパート
「ごちそうさまでふっ?!」
噛んだ
「はい、ごちそうさまです。椿お嬢様」
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屋敷内のとある一角。そこにいる人物は哀愁の混じった声で呟く。
「私の出番はいつになったら来るのでしょう・・・・」
いまだに登場できない執事がいたりしたのだった。
ぶっちゃけ削除したいんですけど跡地として残しておきます・・・・・