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Crawler's  作者: 水川湖海
二年目 休暇
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第一回 ピコパギラジオ

「みんな~、こんにちは~。今日は秋の一週目、その四日。時刻はお昼の一時、久々のピコパギラジオの時間だよ~。

 今日は早速めでたいニュースがあるんだ。あのアクマ! あのクソッタレのジンチク野郎が、このドームポリスを出ていったの! やったね!

 いやぁ、あれが一年前にここに来てから、私たち酷い目に合わされてきたよね。まるで手足のようにこき使われて、あいつのヨクボーの為に戦わされて、さらにはあいつの策略で仲間割れまでさせられた。モー最悪。毎日が地獄だったね。

 ていうかアイツ滅茶苦茶シツレーでムカつくんだよ! 自分は人のことに頭突っ込んで来るくせにさァ! 自分の事だけはぜ~んぶ秘密にして、『俺はお前らとは違うんだよ』みたいな態度とってんだもん! 私たちの事好き勝手いじって変えるくせに、自分だけ変わらないでいるってそんなんアリなの!? それで命令!? いう事聞かなきゃビリビリ!? フザケンナ、バーカ! 同情してピコ預けたのに、また殺して捨てるなんてあのバーカ! バーカ! バァァァカ!

 アイツぜったいマシラだよ! だから私たちと違うんだよ! だからあんな酷いことできるんだよ!


(悪罵を吐き終えて、ここで荒い息遣いがしばらく続く)


 でも、それも今日でオシマイ! アクマは消えて、新しいお家が手に入ったね。これからここで、お姉ちゃんたちと平和に暮らせるよ! やったね!

 だからあのアクマが戻ってきても、みんなで追い返そうね。


(放送が一瞬途切れる。回線を割り込んで、サクラの声がする)


『ナガセは私たちの為に、偵察を敢行されました。まともに取らないで。それとまさかとは思うけど……あの人の帰還を拒まないわよね?』


(反応を窺う僅かな沈黙。それから小さな溜息)


『それとパギ。お仕事に励むのはいいけれど、程々になさい。私はそのアクマから、ドームポリス内の監督を任されているのよ。あまり誤解を広めないように。ナガセは私たちの為に戦って下さる、素晴らしい方よ。悪く言うのは止めなさい』


(ノイズが入り、回線割り込みが終わる)


 ――まるから! 謝るから回線返してよ! って……あ、聞こえてる? 聞こえてるぅ……? やった戻った!

 ……お姉ちゃんのバカ。あのアクマに騙されてるんだよ。それでいいように使われてるんだ。お姉ちゃんいつかきっと捨てられちゃうよ。きっとアクマについていけなくなるんだから。いい加減目を覚ませば――分かったよ! もう言わないよ!

 もう……。

 とゆ~わけで、ニュースは終わりィ! 次は連絡だよ!

 プロテアお姉ちゃん、アカシア、ロータス糞馬鹿野郎、マリアの四人は、三時に会議室に集合。アジリアお姉ちゃんが狩りについて話があるって。

 リリィとサン、デージーは、その準備の仕事が入ったからよろしくゥ。あとでサクラお姉ちゃんから連絡行くと思うから。

 それと今日のバイオプラントの修理は中止だってさ。部品が届いていないんだって。

 それと皆から伝言を預かってるよ。

 え~と……サクラお姉ちゃんから、アジリアお姉ちゃんへ、

『部品まだ? さっさとしてくれる? バイオプラントを直せないじゃない』

 あ。多分これの返事かな。アジリアお姉ちゃんからサクラお姉ちゃんへ、

『ここで言う事ではないが、貴様もそうしているのだからおあいこだぞ。さも私のミスの様をあげつらう様に、仕事の催促をするのを止めろ。言いたい事があるならはっきり私に言え』

 け……喧嘩しないでね……悪いのは無茶な仕事押し付けたアクマなんだから……。

 次はローズお姉ちゃんからみんなへ。

『煙草は外で吸って欲しいんデスケド。私あの匂い苦手なの。それに布に匂いが染みつくから、服も台無しになるわ。お願いね』

 最後にピオニーから、これもみんなにね。

『最近~、お料理の為のお酒が減っていますぅ~。私が目を離したり~、ちょっと席を離れたりすると減ってるんですよぉ~。私じゃないですよ! 皆さん何でもかんでも私のせいにしますけどこればかりは違いますぅ~! 聞いてくださぁい! これは飲むためのお酒じゃ――』

 何だコレ? 長いし意味が分かんない。もういいや。じゃあまた明日のこの時間に放送するね。じゃ~ね~!」

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