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第五十話「別れと自立、理の外へ向かう者」

 ぼくとミミックさんは自分たちの正体を明かした。


「ダンジョンにミミック...... そしてかつての魔女リステンド...... 亜人種族と共に生きている。 にわかには信じられん」


 皇帝は言葉を失う。


「本当にそんなことがあるのか」


「厄災の魔女リステンド......」


「騙そうとしているのではないか」


 他の王たちからも疑問がでた。


「私は信じよう」


 ラクアーク王が声をあげると、サロマス王、そして魔王のダンジョンを破壊された国々の王たちが次々にうなずいた。


「彼らは幾度も我らを救ってくれた。信じるに値する」


「新たなダンジョンが生まれた。それは神のダンジョンと同じもの……ならば、信じよう」


 ぼくたちが魔王のダンジョンを破壊した国から次々と声が上がる。


「ふむ...... どうやら敵意はないようだ。 しかしどうするのだ、管理者と話すなど...... 我らは、民は苦しむことになるのだぞ」


 皇帝はおびえるようにいった。


「ぼくたちだけで行きます。 それならばあなた方に迷惑はかからないでしょう。 ぼくたちが帰らない場合、あなた方人間たちで結論を出してください。 ただ亜人種族と精霊に対する同等の権利を求めます」


「それならば...... しかし相手は神たる管理者。 そなたたちがいくら強くともなにかできるとは思えぬ」


 皇帝はそういって目を伏せた。


「私たちも転生という理の外の存在。 人外は人外に任せておきなさい。 それより、亜人種族と精霊の件頼みますよ」


「......わかった。 亜人種族と精霊とやらは我らが責任を持とう」


「すまぬ。 管理者とは戦えぬ......」


 サロマス王やラクアーク王たちがうなづく。


「ええ、ぼくたちが何とかします」


 ぼくたちは黒のダンジョンへと向かうことにした。



「しかし、あのときは大変だったね」


「ええ」


 ぼくたちはダンジョンに戻り、皆に事情を話した。


「なれば我らもお供します!!」


「......これはミミックさんとぼくでいく」


「なぜです! 我らはあなたと共に生きて死ぬつもりです!」


「管理者がなんなのかがわからない。 物理も魔法も効かないかもしれない。 それに理の外の存在なら、どんなことがおこるかわからないんだ」


 皇帝が黒のダンジョンに派兵したとき、兵士たちが消滅した話をきいていた。


「そんなことはかまいません!」


「我らはあなたに命を救われた身!」


「なぜリステンドさまとカイさまが、命をかける必要があるのですか!」


「ぼくたちはイレギュラーな存在...... 本来ここにいるべき存在じゃないんだ。 管理者もそうだ。 ぼくは転生前ですらなかったいきる意味をもらった...... それで充分さ」


「でも...... 私たちはあなたを守りたい......」


 ジェスカの目から涙がこぼれた。


「ジェスカ、ダンジョンさんも私も自分の存在について、悩むこともある。 我々はなんなのかとね。 永遠に生きていくのなら、それは不幸なことでもあるだろう......」


「確かに、我らの都合で永遠にカイさまやリステンドさまに生きていてくれなんて、傲慢な話だな」


「で、でも師匠......」


「やめよユグナ、お二方が人間たちと我らに対等の権利を得てくれたのだ。 我らは我らで生きていかねばならぬ。 いつまでも依存していくわけにもいくまい」


 ディガルは目を伏せていった。


「......そうだな。 我らは自分たちで生きぬかねばならない」


 そういってリガイアは皆をみた。みんなは静かにうなづく。


「それならばこれをお使いください」


 グルコフが差し出した腕輪は、青白く脈打っていた。


「これはレビテイトの魔力を込めたもの。空間の重力にも耐えられるはず」


 ぼくがそれを腕に装着すると、体がふわりと軽くなった。


「これなら……全てのダンジョンを集めても、動ける」


 ぼくは静かに目を閉じ、体を収縮させる。 すると 空間がうねり始め、ぼくの中に無数の階層が吸い込まれていく。


 仲間たちはその光景を、言葉もなく見つめていた。



(みんな納得して送り出してくれた。 彼らのためにも自分たちのためにも管理者をとめないと)


「......皆は避難所に一時的に身をよせ、自立の道を模索しています」


「うむ、本来そうすべきだからね。 我々も全てに決着をつけよう」


「ええ、ぼくも魔核石が心臓の位置にあります」


「つまり一撃でも死ぬ可能性があるということか、その時は私もおそらく...... ただもはや引けない」


(ミミックさんも覚悟を決めている)


「はい」


 そして黒い石のようなものでできた遺跡が目にはいってきた。



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