第四十九話「皇帝の告白、管理者の啓示」
「よく集まっていただいた各王よ」
円卓の席で、タルバスト王国、国王【バルスト】が呼び掛けた。 アゲンスト帝国が全世界にむけ降伏勧告を行ったのち、各国の王を呼んで会議が始まる。
ぼくたちはサロマス、ラクアークに話を通してこの場にきていた。
「早速だがバルスト王、帝国の要求の詳細を」
サロマス王がそうきいた。
「うむ、全ての国々は帝国に従うこと...... とのことだ」
「ふざけている!」
「一体何様だ!」
各王から怒りの声があがる。
「しかし、帝国は全世界に向けてそんなことを...... 確かに帝国の軍事力は侮れないが、各国連盟と戦えば帝国とてただではすむまい」
ラクアーク王は怪訝な顔で皆にとう。
「ふむ、確かにな......」
「不可解なことだ......」
「やはり何か勝算あってのことなのか」
その時、兵士が慌てて会議場にはいってきた。
「何事だ......」
「は、はい、帝国、皇帝【レヴァミオン】さまがこちらに......」
「なんだと!?」
そのまま扉があき、貴族風の老人が会議場にあらわれた。
「皆集まっておるな......」
老人ーー皇帝は静かにそういった。
(これが皇帝、まさか敵対国にそのまま乗り込んでくるなんて......)
「レヴァミオンどの、まさかあなた自身がこられるとはな。 何のようですかな」
タルバスト王が驚きながらも冷静にうけた。
「しれたこと、そなたらに降伏を進めにやってきた」
「ふざけるな!」
「この場で捕縛しろ!」
各王から声が飛ぶ。
しかし皇帝はそんな言葉を意にかえさない風に淡々としている。
(この老人が単なる支配や征服を望むとは思えないが......)
「この世界を支配してどうされるおつもりか」
サロマス王がきいた。
「私は支配が望みではない」
「なれば、なにを望まれる」
「穏やかな死......」
「穏やかな死」
「この世界はもう終わる。 苦しみながら滅ぶことを避けるには我らが抗わず死を受け入れる。 それしかない」
その言葉に王たちがざわつく。
「わからぬ...... どういうことだ」
「七賢者をしっていよう。 彼らがそういった。 いや伝え聞いたといったほうがよいか......」
その目に怯えがみえる。
「......王さま」
ミミックさんがそういうと、サロマス王たちがぼくをみて王たちはうなづく。
「皇帝陛下、七賢者になにを言われたのです」
「君は......」
「彼はカイそしてリステンド。 七賢者を複数ほふった人物だ」
「カイ、聞いてはいる名うての探索者か」
「ぼくたちは六人の七賢者を倒しました。 あとは一人、なぜ彼らに怯えるのです」
「七賢者は魔王のダンジョンをつくり、モンスターを生み出した。 彼らは確かにすごい魔法使いだが、私が怯えているのは彼らに対してではない」
「七賢者じゃない......」
「七賢者は管理者に命ぜられて行動していただけだ」
「管理者...... 確かリバティ法王国が信仰している」
「そうだ。 私も黒のダンジョンにて管理者にあった。 そして見せられた、この世界の終わり...... その時が訪れると、モンスターがあふれでて人々を蹂躙する地獄の光景、あれを避けるには皆静かに死ぬしかない......」
更に皇帝のその目が怯えと悲しみを写した。
(黒のダンジョン、管理者)
「それで安らかな死のために降伏しろって言うんだね」
「そうだ。 そうすれば苦しまず安寧のうちに死なせてくれるといった。 愚かと思うかもしれないが、とてもあの状況を避けられると思えぬ......」
「......むう、どうする? 皇帝のいうこと、とても、虚言とは思えぬ」
「確かに...... しかしむざむざ死ねといわれて死ぬのか」
「しかし、管理者とは神だろう。 多くの民はそれに従うかもしれん......」
「それを無理に阻止しようとすれば、国内部で分裂を起こすだろうな」
各王たちは混乱していた。
「待ってください」
ぼくがそういうと、会議場は静かになる。
「抵抗するというのか。 そんなことをすれば皆が苦しむのだぞ」
皇帝は怒りと、悲しみに満ちた目でこちらをみた。
「ぼくがその管理者と話をします」
「無駄なことだ...... あれは理の外のもの。 人になにもできぬ」
「それなら」
ぼくは鎧を脱ぎ、その体を変化させた。
「なんだ!? その体は! モンスター!」
「いいえ、ぼくはダンジョンです」
騒いでいた場内は水を打ったように静かになった。 そして静寂のなか、部屋内に耳なりのような音がこだまする。




