第四十八話「ハンハームの最期、黒のダンジョンへの導き」
ハンハームが生み出した鉛色のゴーレムは、その八本の腕を振り回しこちらに迫る。
「なぜお前たちは魔力を集める!」
その攻撃をかわしながらハンハームに聞いた。
「......この世界は終わる。 そう他の七賢者にきかなかったのか。 いなくなったものたちは貴様たちがほふったのであろう」
「聞いたよ。 だが終わるとはどう言うことだ。 あなたたちはなにをしようとしている」
ミミックさんは魔法を放ちながら聞いた。 その魔法をゴーレムは腕で払った。 その衝撃で空間が歪む。
「くっ......」
(あのゴーレム魔法を払った。 魔法が効かないのか)
「この世界は終わる運命...... 我らは抗わず、そのまま受け入れる。 運命とはそういうものだ」
そう表情さえかえずにハンハームはゴーレムを操る。 ゴーレムの振るう腕は空気をさき衝撃波がおそう。
「くはっ!」
ミミックさんが壁に叩きつけられる。
「ミミックさん! お前たちが勝手に終わると決めつけるな」
腕をかわしゴーレムへとんだ。
「我々が決めたわけではない......」
ゴーレムから更に腕がはえ殴り付けられた。 小手で受けても衝撃が体に伝わり、その衝撃だけで、壁はくだけ散った。
「ぐはっ!!」
地面を転がるが、ぼくはたちあがる。
(普通の金属じゃない......)
「この合金のゴーレムに攻撃されても死なない...... やはりお前たち二人とも人間ではなくなっているな...... 我らと同じか哀れな」
ハンハームが怪訝そうにそういう。
「......哀れ」
「何者かは知らんが、なぜだ。 お前たちは何らかの方法で理を外れている存在。 この世界のことなどどうでもよかろう」
「この世界には守るべきものたちがいる...... お前たちにもいるのだろう」
「いたな。 かつては...... だが今、必要なことはこの世界の全てを、次の世界へと紡ぐことのみ......」
ハンハームのその目は遠くをみるようにいう。
「それが今のこの世界を、破壊することなら、運命でもなんでも抗ってみせる......」
「......それができれば、しかし無駄なこと」
ゴーレムが迫ってくる。
収縮させ体を捻ると跳ねとび小手の刃をだすと、ゴーレムの体へとむかった。
「そんなもの効かぬ......」
ゴーレムの腕ごと体を貫通した。 ゴーレムが床に倒れた。
「なっ...... 剣ですら傷つかない合金の体が! アイアンファング!!」
ハンハームが叫ぶと、地面から大きな金属の牙のようなものが数本飛び出し、こちらに迫る。
「レイストームディストラクション」
ミミックさんが口を開くと、金属の牙がバラバラになり、後のハンハームごと切り裂いた。
「がはっ...... 最上位風魔法だと...... 我ら七賢者すら使えぬ魔法を......」
ハンハームは地面に倒れた。
「さあ、話してもらおうか」
「......これほどの力を持つから、運命に抗おうとするのか」
「それは関係ない。 この世界が終わると言われて、運命だと簡単に諦められないだけだ」
「そうだね。 我々にも守るべきものがあるのでね」
「......そうか、だが終わりはくる。 この世界の終わりは決定している」
「決定...... 誰かによって決められているというのか」
「......もういくばくの時間もない。 抗うならば抗ってみせよ。 我らがあきらめたこの世界の救済を成せるというならば、アゲンスト帝国にある【黒のダンジョン】にいくが......いい」
それだけいうとハンハームは息を引き取った。
「カイさまが持ってこられた魔核石には魔力がなく、透明なただの四角い石になっていますな」
グルコフがメガネで魔核石をみてそう眉をひそめた。 ぼくたちはダンジョンに戻りみんなと今後について話をしていた。
「やはり、魔力は奪われたあとか...... ハンハームは帝国に黒のダンジョンに行くといい、と言っていましたが本当でしょうか」
「おそらく本当だね。 ハンハームは何か思うところがあったのかも知れない......」
ミミックさんが真剣な顔でいう。
「黒のダンジョン...... 確かに帝国の遺跡がそんな名前だったはずです」
そうリガイアがいった。
「帝国内に置いた通路からそこに向かおう」
「大変だよ!!」
ユグナが慌てて部屋に飛びこんできた。
「どうした!?」
「帝国が! 帝国が全世界に降伏勧告をしたよ!!!」
その場の皆が息を飲んだ。




