第四十七話「運命に抗う者」
「ここが聖都ガナステア」
ぼくたちはリバティ法王国の聖都ガナステアにきていた。 そこは全ての建物が白く塗られ、白い服をきた信者たちが行き来していた。 その顔は生気がなくひどくつかれているようだ。
「みんな何だかつかれていませんか?」
「ふむ、この国では信者が労働に従事しているとのことだが...... 確かに」
ぼくたちは不審に思うも町を歩く。
「それにしても、本当にここに七賢者がいるんでしょうか」
「この国にいるなら聖都しか考えられないね。 突然のドワーフたち亜人種排斥といい、なにかが起こってるのはディガルくんの話通りだ」
「それに魔力の流れがおかしい」
さっきから感じる魔力が妙な感じがした。
「ああ、なにか方向に向かっているようだ」
ミミックさんがそういう。
「ふむ、やはりあれかな」
そういったミミックさんの目線の先には大きな高い塔のようなものが見えた。
「あれは......」
「法王がいるという【ムーラン大聖堂】だ」
「魔力が流れている方向、もしかして......」
「ああ、信者から集めているのかもしれないね」
「やはり、それでこの流れか。 法王が洗脳されている可能性は......」
「ない...... とはいえないが、なんともいえないな。 七賢者の使う闇魔法は理を変えるからね。 問題はあの中にどうやって入るかだ。 あそこは高位の信者しかはいれない。 高位の者以外だと神へと捧げる寄進物を渡せるらしいけど」
「寄進物ならいいものがありますよ」
「ん?」
ミミックさんは不思議そうな顔をして首をひねる。
夜になり、塔の近くから様子を伺う。 塀のまわりを白い鎧の衛兵たちが塔を巡回警備していた。
(やはり警備が厳重だな。 ミミックさんはどうかな?)
塔の窓があき、ミミックさんが顔をのぞかせると、霧が塔を包む。
「なんだ...... 霧か」
「ああ、珍しいな」
警備が話している間に塔の塀に近づき、伸縮し飛ぶと窓にとりついた。
「こっちだよ」
窓から入り部屋におりる。
「しかし、私を寄進物にするなんてね」
おどけたようにミミックさんがいった。 ぼくは宝箱としてミミックさんを塔に届けていた。
「それで中は」
「ああ、信者しかいない。 我々も信者として奥へと進むよ。 どうやら最上階が法王の御所らしい。 あまりキョロキョロせず一気にいくよ」
そのまま塔内部を信者の格好ですすむ。 夜なので信者たちは少なく、通りすぎるとき会釈するぐらいだった。 塔はかなり大きな建物だ。
「広いですね」
「一月に一回信者を集めて礼拝が行われるかららしい」
「この神とは何者なんですか?」
「名前はない。 あるのは【管理者】という名称だけで、全ての世界を管理しているという」
「一神教ですか...... 教義は」
「運命に従い、抗うことなくその理をあるがまま受け入れる、らしいね。 君とは真逆じゃないか」
そうクスクスと笑う。
「えっ?」
「だってそうだろう。 君はダンジョンだ。 人間も世界の命運も関係はない。 運命を享受するなら、ダンジョンのままいればいいだろう」
「それは、みんながいたから」
「ああ、それも君が外に出て人と関わったからだ。 私だって君と出会わなかったら、ミミックとしてただ漠然と生きていた。 君は運命を変えたのさ」
「なんか気恥ずかしいですね。 ただ死んで、人とのかかわり合いを絶ちたかったのに、結局関わってしまった。 優柔不断なだけなのに」
「それさ、人は変わるんだ。 みんなが本当に自由になれば何もかも変えられる。 運命さえもね」
そうミミックさんは自らに言い聞かせるようにいった。
「それにしても、扉が多いですね」
何度目かの目の前にある重層の扉をみていう。
「そうだね、 上に向かえないようにしているのかも、ただ君には関係ないだろう」
「ええ、体を変化させれば」
鍵穴に指をいれあける。 そうやって幾層の階をのぼる。
「ミミックさん......」
「ああ、この感じ間違いないね」
階段の上に強い魔力を感じる。
そこは広い場所になっており、奥に巨大な球体がある。 その前の祭壇には真四角な透明な箱がいくつもおかれている。
(魔核石、やはり魔力を集めているのか)
「何者だ......」
後ろから白い服をきた老人がやってきた。
「貴様、まさか、リステンドか」
老人は驚いている。
「あなたかハンハーム。 まさか法王と成り代わるとはね」
(七賢者の一人が法王)
「成り代わる...... ふふっ、もとより私が法王だ」
「なに...... まさか」
「そうだ。 このリバティ法王国を建国したのも私だ。 この宗派もな」
ハンハームは地面に手をやる。 すると地面が盛り上がり大きなゴーレムが生まれた。




