第四話「ぼくが与えたもの、ぼくが得たもの」
それから、何人もの人がダンジョンに入ってきた。 しかしそれも二週間ぐらいのこと、徐々に人が少なくなってきた。
「うーん、三日間、人が来ないな...... 最初は毎日きてたのに」
「モンスターの数と強さをあげすぎたかな」
「確かに、1階ぐらいまでで宝物を回収して帰られると、魔力が赤字になるからモンスターで邪魔してましたからね」
モンスターもスライム十匹、【ジャイアントバット】二十匹、ポイズンスライム二匹、【クロウラー】五匹となっていた。
ミミックさんがいうには、どうやら対抗するのに騎士団員クラスの実力が必要らしい。
「やはり、わざと持ち帰らせる必要もあるかも」
そう考えるようにミミックさんはいった。
「ええ、でも、結構レアな宝石も作れたんですけど、低い階層だともったいなく思うし......」
「でも深くにおくと、あることがわからないしな。 難しい。 このままだと人がいなくなるかも......」
ぼくたちは意気消沈した。 その時入口に人がはいったのを感じる。
「誰かきた!」
「だがこれは......」
ミミックさんは集中している。
「お姉ちゃん、怖いよ」
「大丈夫...... ゆっくりいけば」
二人の幼い女の子が、おどおどしながらダンジョンに入ってきた。
「これは肝試しかな。 危ないから壁をつくって帰しましょう」
「まって......」
ミミックさんが止めた。 二人の話が聞こえる。
「やめようよ...... モンスターさんきちゃうよ」
「だめ、お母さんの薬代がいるの。 ここに宝物があるから、それを持って帰るの」
二人はそういってダンジョンを歩いてくる。
「これは......」
「どうするダンジョンさん」
そうミミックさんがきいた。
「......これを持っていってくれます」
ぼくはレアな宝石をミミックさんに渡した。
「わかった。 いってくるよ」
ミミックさんは一階へと向かった。
「さて、壁をつくって誘導するか......」
ぼくは壁をつくり、ミミックさんのいる部屋へ二人を誘導する。
「モンスターさん、いないね」
「多分、寝てるんだよ」
二人はミミックさんのいる部屋にきた。
「わっ! 宝箱だ!」
「開いてる! すごい大きい宝石がはいってる!」
二人はわいわい喜んでいる。
そのとき、ミミックさんが牙をむいた。
「きゃ!! モンスターさん!!」
「に、逃げようお姉ちゃん!!」
二人は走って部屋からでていく。 それをゆっくりとミミックさんは追いかけていく。
「わーーー!!」
泣きながら二人はダンジョンよりでていった。
「ふぅ、完了」
「ありがとうございますミミックさん。 これでダンジョンにも近づかないでしょう」
「ああ、ダンジョンが簡単だと思ったら、他のダンジョンに入ってしまうかもしれないしね。 あの宝石なら売れば当面、生活には困らないだろう」
ぼくたちは安堵した。
「もう...... 人も探索しには来ないかもしれませんね」
ぼくはポツリとそういってしまった。
「まあ、そのときは二人で会話でもしながら、時を過ごすとしようじゃないか」
そうミミックさんは静かにそうつぶやく。
「......そうですね」
(あれほど、人が煩わしいと感じていたのに、まさか寂しいと感じるなんて......)
そうこれからのことを漠然と考えながら眠った。
それから二日、騒がしさに目が覚めた。 どうやらダンジョンに大勢の人がいるようだ。
「ミミックさん...... これは?」
「ああ、起きたんだね。 探索にきた者たちだよ。 まあ彼らの話を聞いてみたまえ」
そういわれて入ってきたものたちの話を、耳はないがそばだてて聞いた。
「本当にあるのかよ」
「子供たちが高価な宝石を手にして、町の雑貨屋に持ち込んだから間違いはない」
「ああ、その子たちがここの1階で見つけたっていっているな」
(あ、あの子達か)
「どうやら帰ったあの子達の話を聞いて、大勢押し掛けてきたみたいだね」
「ど、どうしましょうか!」
「まあ、落ち着きたまえ。 あのあとちゃんと上層階に宝石や武具を置いてきたろう」
「あ、そうだった。 次にきた人につたえてもらおうとして、奮発したんだ」
「ああ、それが次々見つかっている。 ほらっ」
そうミミックさんに言われて聞き耳を立てると。
「おお! 1階で宝石四つ!」
「こっちは高価そうな杖!」
「それは【マジックロッド】だな! かなりいいものだぞ!」
みんな宝箱の中身にかなり驚いている。
「おお! すごい、みんな喜んでいる!」
「そうなんだ。 さあ、出迎えようじゃないか!」
ミミックさんはそういった。
「わかりました!」
ぼくたちは早速探索にきたものたちを出迎えた。




