第三十九話「永劫の命を求める者、世界の終わりを語る」
「貴様...... モンスターか。 いや違うな。 我らのように魂だけ分けているのか......」
トランタムは怪訝そうな顔でこちらをみている。
(魂だけ......)
「この世界の終わりとはなんだ......」
「そのままだ。 この世界は終わる」
「お前たちが魔王を復活させようとしているのか」
「魔王を復活...... くくくっ......」
そううすらわらった。
「もはや、話すことも不要。 貴様もリステンドもこの国のものも魔力へと変えてやろう」
その腕をこちらに向ける。
「させない!!」
ぼくは収縮した体を解放して巨人となったトランタムにぶち当たる。 その体が大きくへこむ。
「ぐっ...... 貴様、人間ではないな」
そのトランタムの巨大な腕に捕まるが、収縮した体を弾けさせその手から逃げた。
「くっ! 最大の収縮解放でも!」
トランタムのへこんだ体が元に戻る。
「あいつの体、元に戻るよ!」
「くくくっ、この【トロール】の体は再生できるのだ」
(くそっ...... それなら)
シルバーウイングがトランタムの腕を切り裂いた。 だがその腕はすぐに再生された。
「無駄だ。 貴様がなんなのかはわからぬが、我らの邪魔をしても無駄だ」
「無駄...... お前たちがこの世界を支配するつもりなのだろう」
「支配? そんなものには興味はない。 我らは永劫の命をえるために必要なことをしているだけだ」
「永劫の命...... この世界の終わりとなにか関係があるのか」
「ああ、我らはこの世界が終われども意思を紡ぐ。 今まで蓄積した知識を失うわけにはいかぬからな......」
(意思を紡ぐ...... どういうことだ)
トロールからいくつもの腕が生えた。
「なんか腕が生えたよ! 再生じゃないの!」
トランタムはその腕をふるいその腕が地面をえぐる。 何度も殴られ壁にぶつかった。
「ぐはっ! くっ...... 今はこいつを倒さないと!」
(だが並大抵の攻撃だと再生されてしまう...... このイビルエンシェントオクトパスの体ですら打撃でダメージを受けている、その痛みもひどい)
四本の腕はかわしても風圧で体勢を崩され、他の腕で殴られる。 痛みが蓄積して意識が朦朧としてきた。
「ぐぎっ!!」
(このまま意識を失うと、ミミックさん、ジェスカたちが危険になる...... 仲間を守る代償なら、耐えられる!)
「くっ! しつこい! 私は魔力を集めねばならん。 さっさと死ぬがいい!!」
トランタム右腕全てで殴り付けてきた。
「【液化盾】《リキッドシールド》」
左腕にゲルウルフをまとい、トランタムの拳を液化の盾で防ぐ。
「なに! 倒れないだと!」
「【銀翼剣】《ウイングブレード》!」
右手につかんだシルバーウイングで、その腕を切り落とした。
「ぐっ、だがいくらでも再生する!」
(相手の再生も魔力消費するはず、どちらが尽きるか切りあうしかない!!)
「フリージングミスト!!」
「がっ! バカな、その魔法を!」
トランタムの右半身が凍りついた。 ユグナが放ったようで、ユグナはゆっくりと地面に落ちた。
「よくやったユグナ! いけ!!!」
ウイングブレードで凍っていない左腕を断ちきる。
「ぐっ!! 再生!」
「させない!!」
ゲルウルフを左半身へとまとわりつかせる。
「なっ...... なんだこれは!! ぐはっ!」
トランタムの首をはねた。
「その程度で......」
落ちた首が再生を始める。
(再生が遅い! よし!)
ゲルウルフを首へと向かわせ包む。
「ぐっ...... 愚かな! 私の蓄積した知識がどれほどかわからぬのか!」
「わからない...... ただお前たちがやろうとしていることは、人々の害になる」
「この世界は滅ぶのだ! この世界の知識を全て無に帰すわけにはいかない! やめろ!!」
ぼくはその首をさらに連撃で切り裂く。
「我は...... 知識を...... 紡がなければ......」
最初切り裂いた肉片は再生をしていたが、次第に再生スピードが落ち、そのまま動かなくなった。




