第三十五話「禁忌の魔法と、戦術の再構築」
「ミミックさん...... ぼくは」
ミミックさんは横たわるリルガミンをみている。
「君が心を痛める必要はない...... 彼はとっくに死んでいたからね」
「えっ......」
「彼はおそらく闇魔法で、死んだ体に魂を得ていたんだろう」
「ほんとだ! この体、蝋みたいに固い」
ユグナがリルガミンの体を触りそういった。
「そんなこともできるんですか?」
「ああ、闇魔法は理に抗う魔法だ。 故に禁忌、問題は彼がなぜモンスターを産み出していたか...... だ」
「この人、知り合いなんですか」
「ああ、知ってる...... 何せ彼は私を殺した七人のうちの一人、つまり七賢者だ」
「ミミックさんを殺した!? そうかあの石碑に刻まれていた七賢者」
「ああ、ということは、他の六人もいるかもしれないということだね」
ミミックさんが考えるようにいった。
「......そして、何かを企んでいる。 あの魔法もかなり危険なものだった」
「七賢者はかつて、その一人は一夜で都市を灰に変えることもできた」
「それほどのものがあと六人も......」
「とりあえず、この遺体を国に持ち帰ろう。 証拠がないと信じてはもらえないだろう」
ぼくたちは遺体を持ち帰った。
「ふむ...... にわかには信じがたいな」
「ええ、人間がモンスターを操るなど」
大臣とバーロンドが怪訝な顔をしている。 ぼくたちはリルガミンの遺体を持ち、七賢者であることを隠して事情を説明した。
「ですがこの体、不自然ですね。 生きているようで、完全に死体です」
「うむ、腐敗もせずにな...... モンスターが出現しなくなったのは事実、これは調べておくように命じよう」
大臣はそういう。
「それと、お約束の税のことお願いします」
「うむ、わかっておる。 すぐに税を下げるように指示しよう」
「ありがとうございます」
そう約束を交わしぼくたちは城をでた。
「これで、一段落...... と言いたいところだが、やはり調べないといけない。 私は少し調べてくるよ」
「じゃあ、おいらも師匠についてくよ」
「ええ、ぼくは戦い方を考えます」
ぼくたちはそういって別れた。
「戦いかたですか?」
ジェスカは不思議そうにきいた。
「それだけお強いのにまだとは、武人の鏡ですね」
ディガルは腕を組みうなづく。
「いや、そういうことじゃなくて」
「七賢者ですね」
リガイアはそう険しい表情をする。
「ああ、それもある。 七賢者が一人だけとは思えない。 ロードモンスターを産み出して何かをしようとしていた」
「定め...... ですか。 ロードモンスターたちも、人の敵対者が定めだ、といっていました。 それと関係あるのでしょうか」
ジェスカは不安げにそう口にした。
「......おそらく、今ミミックさんが調べにいっているから、ぼくは何とか戦い方を考えないと......」
「そうなると、カイ様の場合、装備か、素体の強化ですか? しかしイビルエンシェントオクトパス以上の素体となると......」
ディガルは首をひねる。
「ああ、なかなかない。 柔らかさと強靭さ、汎用性のあるものか...... とりあえず、素材を複合させてみようと思う」
「そのようなことが可能なのですか?」
リガイアが驚くように言う。
「ああ、かなりの魔力が増えてて可能ではあるけど、そううまくいくかどうか......」
(途方もない時間がかかりそうだな)
「あ、あの」
ジェスカがおどおどとして話をしようとした。
「ん?」
「差し出がましいようですが」
「かまわないよ。 意見はききたい」
「では...... 昔、我が国での帝国の監視に人形をお作りしてましたよね」
「ん、ああ、何体かは動かせるからね」
「なれば、複数の素体を動かしてはいかがでしょう」
「え? そうか、この体じゃなくてもいいのか...... ぼくは一人の体にこだわっていたのか。 人の感覚のままだったから気づかなかったな」
「それならば形状、機能も変えてはいかがでしょうか」
「うむ、素材も変えてもよいかもしれませんね」
ディガルとリガイアもそういう。
「なるほど、ありがとうジェスカ、ヒントがみえてきたよ。 それに、これを使えばいくつかの問題も解決しそうだ」
ジェスカに礼をいう。
「さっそく試してみよう」
それからぼくはいくつかの素体を作り出し、思考を巡らせた。




