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第三十三話「重税の交渉と、湖畔に潜む魔王の影」

「おお! やってくれたか!」


 大臣は声をあげた。 バーロンドから報告を伝えられたからだ。


「はい、あのダンジョンからは、モンスターたちも新たに生まれることはないでしょう」


 そうミミックさんが伝える。


「そうか! これでしばし時間が稼げる」


「時間が稼げるとは?」


「ふむ、実は他にもモンスターより攻められている場所がある。 おそらくそこにも魔王のダンジョンがあるはずだ」


「まだある......」


 ミミックさんがこちらをみてうなづく。


「そこも我々にお任せいただきたい」


「やってくれるか!」


「はい、しかし民への重税は止めていただくことが条件ですがよろしいですか」


「......ふむ、もちろんモンスターの脅威が減れば、軍事にかかる費用も減るからのう。 民の不満もきいておるし...... わかった。 それは約束しよう」


 大臣から許諾をうけ、ぼくたちはもうひとつのダンジョンへと向かうことにした。



 ぼくたち馬車で数日かけ、ダンジョンがあると思われる場所へと向かっていた。


「それにしてもリステンドどの。 なぜ報酬ではなく、税のことなど大臣に、あなたには関係のない話では?」


 不思議そうにバーロンドはきいた。


「まあ、この国にはかつてダンジョン探索などでお世話になっているし、知り合いも要るのでね」 


「民のことまで気にかけていただいて、恐縮です!」


 感動したようにバーロンドはいう。


「はははっ、それでその魔王のダンジョンとは......」


「ええ、南側にある湖近くの畔ですね。 そこから多くのモンスターが現れ砦を築いております。 向こう側も隣国との関係で配置した兵士以外はこちらに向かわせています」


 そう後ろからついてくる兵士たちを指差した。


「それなら防衛は大丈夫か。 私たちがダンジョンに向かったら、同じ様に待機してくれないか」


「はっ! お任せを!」


 その時、丘から大きな湖がみえ、そこにはモンスターの群れもみえた。



「なるほど、この数はさすがにダンジョンがありそうだ」


「ああ、自然に発生したとは思えないね」

 

 ぼくたちは砦からでて、モンスターたちを避けつつ湖の畔にむかう。 


「ぷはぁ! 苦しい!」


 鞄からユグナが顔をだしてきた。


「おおユグナくん。 やっと起きてきたか」


「うん、あの魔法を使うとつかれちゃうんだよね」


「ああ、あの魔法は魔力の消費が激しいからね」


「ただお陰で助かったよ。 あのままだと本当に危険だった、ありがとう」


 ぼくがいうとユグナは頭をかいた。


「えへへ、いつでもいってよ! それでここは?」


「ああ、魔王のダンジョンらしい」


「また!? 何個あるの!」


 ユグナはうんざりとした顔でいった。


「本当に、最近になって魔王のダンジョンやロードモンスターが目覚めているということは、魔王が復活しようとしているってことですか? そもそも魔王とはなんなんですか?」


「ふむ、私が生きているころにはいなかった。 ただ文献や言い伝えによると、魔王は人の敵対者であり、支配をするために生まれるといわれているね」


 ミミックさんも思い出すようにあごに手をやった。


「それで魔王はなんでいなくなったんですか? 倒されたとか封印されたとかですか?」


「いや、魔王そのものの記述はなかった。 ただ昔からその力を使おうとしたものたちはいる......」


「使おうとしたものたち......」


「ああ、私を殺したものたち、彼らも魔王の力たる闇魔法を使っていた」


「闇魔法...... 獣人たちの国を荒らした魔法ですか」


「ああ、闇魔法。 強大だが、理すら変えてしまう、あれは禁忌だ」


 ミミックさんは真剣な面持ちで話した。


(確かに大きくないとはいえ国ひとつ滅ぼせる魔法......)


「ねぇ、あそこ、魔力が強いよ」


 ユグナがいう方向にモンスターの群れがでてくる場所がある。 


「どうやらあそこか...... ユグナの魔法はいざというときのために置いておくか」


 ぼくは脚を収縮させ解放すると上空に飛び、モンスターのいる地面へと落ちた。 その衝撃でモンスターたちが吹き飛ぶ。 残りを腕をふり遠心力で殴り飛ばした。


「すっごい!!」


「おお、やはりすごいね!」


「ええ、ただ攻撃が単調になって、この間のモンスターみたいなのには効果がないんですよね」


「うむ、確かに、じゃあ、他の素材も混ぜたらどうかな」


「えっ? 他の素材......」


(なるほど、昔試して無理だったから諦めたが...... 今の魔力なら、もしかしたら可能かもしれないな)


 そこには地下に続く穴があった。



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