第三十一話「荒れ果てたサロマス、再会とダンジョンへ」
「なるほど......」
ぼくは少し考える。 もともとぼくたちがいたサロマスにいっていたマーマンたちから話が入ったからだ。
「......サロマスがそこまで悪化しているとはね」
ミミックさんも困惑している。
「ええ、部下の話によると、軍事費の増大による増税で、かなり財政が逼迫しており、市民たちの生活が困窮しているとのこと......」
そうディガルがいう。
「あそこは確か、隣国ラクアークと対立していましたね。 それにあの姉妹も......」
「ふむ、気になるね。 しかしどうするか...... 食料を配布するにしても、国のメンツを潰されると拒否される恐れもあるね」
ミミックさんがそう考えていった。
「......となると金銭的に援助ですかね」
「援助するにしても、我々はアイテムの価格が上がらないよう調整しています。 不用意に大量に売ると価格が暴落しますから......」
ジェスカがいった。
「確かに、ここのアイテムは冒険者たちが落としたもの複製品。 それほど種類があるわけでもない。 通貨などはあまり持ち込まれませんからね」
リガイアがうなづく。
「そうか...... 取りあえず、どんな状況か向かってみよう」
ぼくたちはサロマス王国へとむかった。
「これは......」
ぼくたちがこの国を離れて一年あまり、そのときとは比べ物にならないほど、貧しい人は増え、店などは戸をしめ、町は荒廃していた。
「ずいぶん変わったね......」
「前も裕福とはいえなかったが、ここまでひどくはなかった」
ぼくとミミックさんは言葉を失う。
「......あっ」
目の前で山菜をかごにいれた子供が転ぶ。
「大丈夫......」
それを姉らしき少女が抱き起こしている。
(あれは昔ダンジョンにきた姉妹か...... よかった無事だったのか。 ただあんなに楽しそうだったのに、今は怯えた目をしている)
とても胸が傷んだ。
「ミエレ、リーナ」
心配そうに母親が駆け寄ってきた。
「あのすみません......」
ミミックさんが話しかける。
「は、はい、なんでしょう」
「少しここのことを教えていただきたいのですが」
「ここのこと......」
「ええ、昔この近くのダンジョンにきたものです」
「あ、ああ、あのダンジョンの」
すこし警戒がとけたのか母親はほほえんだ。
ぼくたちは話を聞くため彼女たちの家に招いてもらった。 姉妹の母親ーーフィルタナさんはダンジョンにきた客あいての宿を経営していた。
「ええ、突然ダンジョンがなくなってしまい......」
フィルタナさんはそうつかれたようにいった。
(そうか、この町はダンジョンにくる探索者目当ての町だった...... ぼくが動いてしまったせいで、それがなくなって皆生活が苦しくなったのか)
「なるほど、でもこの国の荒廃はそれだけではないですよね」
ミミックさんがきいた。
「え、ええ、最近、さらにモンスターの出現が多く村や町が被害を受け、その対応の兵力のための税金などで、生活が苦しくなっているんです」
「モンスターが増えていることの原因に心当たりは?」
「町の者は魔王のダンジョンなのではないかと...... 先日もとなり町で十人ほどが失踪していますから」
「前に魔王のダンジョンは攻略された。 他にもあったのか......」
「みたいだね。 それを攻略するしかないようだ。 ただそれには、国の許可をえないと......」
ミミックさんとうなづく。
「カイどの! リステンドどの! どこにいかれていたのです! あの時、王への招待をしたでしょう!」
城にいくと、そう騎士団団長のバーロンドが詰めてきた。
「我々も参るつもりだったのですが、いきなりダンジョンが消失して、生活の糧を失ったゆえ、仕方なかったのです。 この国にはもうロードモンスターもいないですし、自分たちの生活がありましたから」
そうミミックさんがとりつくろった。
「むう...... 確かにあの日、急にダンジョンが消えたとは報告がありました。 ですが連絡のひとつはお願いしたかった」
不満そうにバーロンドがいう。
「もうよいではないかバーロンド」
奥から威厳のある老人がやってくる。
「ライケス大臣」
「お二人、こちらにこられたのはどういう用件だろうか?」
「ええ、この国の窮状をきいて、なにか役に立てることはないかと参ったしだいです」
「......それは、ありがたい。 ということはダンジョンのことですな」
「ええ、国からのご許可をいただければ、我らでモンスターを討伐いたしたく参りました」
ミミックさんが頭をさげたので、一応、ぼくも頭を下げた。
「......ふむ、こちらとしてもお願いしたい」
そう大臣から許可をもらい、ダンジョンに向かうことにした。




