第二十九話「凍てつく定め、魔王の亀との死闘」
「ここが、魔王のダンジョンか......」
そこには洞窟があった。 その洞窟からは禍々しい魔力が漏れだしていた。
「やはり、結界から魔力が漏れてきているな。 それほどの濃度だ」
ミミックさんは真剣な顔をしていった。
「そういえば、イビルエンシェントオクトパスも最近になって現れたといっていたねディガル」
「ええ、そういえばそうでした......」
「ということは、なにか異変が起きているということですか......」
リガイアとジェスカは顔を見合わせる。
(魔王に関することなのか...... ということは他のダンジョンでもなにか起こっているだろうか)
「早くはいろうよ!」
そうぼくの肩にいたフェアリーが兜をゆする。 ついてきてしまったフェアリーの【ユグナ】だ。
「わかった。 でもあんまり兜を揺らすと......」
「あっ! とれた...... わぁぁ!!」
ユグナはぼくの顔をみて肩から落ちた。 それを手ですくう。
「な、なに、その顔! 目も鼻もなにもない! 青いなんかヌメヌメだ!」
イビルエンシェントオクトパスの脚から作り出した体をみてユグナは驚いている。
「確かに、それは見た目がちょっとよくないな......」
「......そうですね。 モンスターよりモンスターですもんね」
ミミックさんとジェスカが眉をひそめる。
「強そうではあるがな」
「ああ、顔などどうでもよかろう」
リガイアとディガルはそういう。
(女性陣には大不評だな。 ちょっと考えようかな......)
洞窟にはいるとすぐさまモンスターが現れる。
「ぐっ...... かなり強い」
「ジェスカ、ディガル、連携でいくぞ!」
リガイアたちが戦うが、強い個体がいてかなり押される。
「ミミックさん。 ここのモンスターはかなり強いですね」
「ああ、どうやらここに封じられてきた間に強くなったらしいね...... 他のモンスターを食らったか同化したのかもしれない」
「そんなことがあるんですか?」
「うむ、何度かそんなことをみたことがある」
「いや二人とも! そんなこと話してる場合じゃないよ! あんな一杯のモンスターだよ! リガイアたちがあぶないよ!」
ユグナは背中で騒いでいる。
「ああ、大丈夫だ。 まだ彼らは本気を出していない」
「えっ?」
リガイアたちはモンスターたちを三人で囲う。
「【フレイムピラー】!!」
「【アクアスラッシュ!】!」
「【エアロストーム】!!」
三方から、炎、水、風の魔法を放ち、一気にモンスター数体を葬った。
「す、すごい! こんな強いんだ......」
「そう三人とも元々強かったけど、かなり鍛錬を積んでいる。 魔法はミミックさんが教えているんですよね」
「ああ、懸命に努力もするから覚えも早い。 昔の弟子とは比べ物にならないね」
「弟子がいたんですか?」
「ああ、一応魔女と呼ばれたからね。 いたけど貴族だったから、いろんないいわけをして楽しようとしてたよ。 やっぱり才能がいくらあっても、努力しないと才能はいかせないね」
ミミックさんはそう嬉しそうに三人をみていた。
「お、おいらも魔法を教えておくれよ!」
「ああ、帰ったらね」
「やったーー」
無邪気にユグナは喜んでいる。
「......いや、帰れたらですね」
リガイアが剣をかまえた。
「ああ......」
奥からとてつもない魔力がふきだしてくる。 それは視界を雲のように覆うぐらいどす黒い。
「何者だ......」
声が聞こえた。 奥に向かうと、巨大なものが奥の暗がりにいた。 光るものが無数にあった。 それはとても大きな亀のようだ。
「人間、亜人種族......」
「お前は魔王の産み出したものか」
「貴様、その魔力......」
(イビルエンシェントオクトパスの脚を使ったから)
「お前たちはなぜ人を襲う。 定めとはなんだ」
「定め...... それが摂理、我らはこの世界の敵対者......」
そういうと口をあける。
「みんなはなれ......」
そこから白い冷気がほとばしる。 後ろにいたみんなが一瞬で凍った。
「ぐっ...... まさか、冷気をはなったのか...... みんなが」
体を動かすと、バキバキと音がする。
(この冷気すさまじい。 ぼくは痛みはあるが冷気は関係ない。 早くこいつを倒さないとみんな凍死する......)
「おいらに任せて!」
後ろからユグナが顔をだした。
「無事だったのか!」
「うん、後ろに隠れていたからね! 少しなら回復魔法が使える! でも少しだけ......」
「かまわない! ミミックさんを先に回復させてくれ!」
「わかった!」
ユグナが飛んでいく。
(よし、こいつをこっちに引き寄せる!)
ぼくはレガースを脱ぎ、脚を収縮させ、はねとんだぼくは弾丸のように飛び、大亀にぶつかった。
「ぐあぅ......」
大亀の巨体が傾くと地面を転がり、土煙をあげた。
「なんだ...... なぜ凍っていない。 それにこの力は、カハァァ」
亀は冷気を口からはいた。
「当たらない!!」
壁にバウンドして何度も亀にぶつかる。 亀は顔を甲羅に隠し耐えている。
「ぐぅ...... 貴様」
(効いてはいるが決定打にかける! 甲羅に入られると、バウンドだけじゃ威力が足りない...... そうだ、あれを)
地面に落ち、そばにおいた剣を取ると、両腕でもちそれを伸ばした。 剣は天井に刺さる。 それを無理に引っ張ると腕がゴムのようにのびた。
「愚かな...... 再び凍りつけ...... カハァァアアア」
(今だ!!)
剣をもっている手をはなすと、両腕を亀にふりおろした。 加速した腕が甲羅を直撃する。
ガシャアアアンッ!!
「グアアアッ......」
振り下ろされた腕が甲羅を叩き割ると、大きな衝撃が起こり洞窟全体を揺らした。




