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第二十八話「幻の森と結界のほころび」

 霧が晴れると、手のひらの上に乗るような小さな羽のはえた存在がそこにはいた。


「な、なんで! 私たちの魔法が!」

 

「ば、ばれたの!?」


 そう小さな人たちは右往左往している。


「それは簡単だ。 魔王のダンジョンのモンスターなら呼び寄せるはず。 それなのに帰れ、だなんておかしいだろう?」


「はっ、しまった!!」


「だから、たべちゃうぞ! がいいっていったのに!」


「だめだって! 怒らせるかもしれないじゃん!」


 混乱して言い争いをしている。


「彼らは?」


「【フェアリー】、妖精族ですね。 おれも初めて見ました」


 リガイアは言い争いをあきれてみている。


「かわいい」


 ジェスカはそういった。


「あ、あの、君たちがこの島に住んでいるの」


「そうだ! ここはおいらたちの島だぞ!」


「だめだよ! 怒らせちゃうよ!」 


 フェアリーたちは焦っている。


「まあ、怒りはしないけど...... だったら諦めるしかないな」


「そうだね。 さすがに奪い取るわけにもいかない」


「ここには魔王のダンジョンもないんだね」


「あるよ」


「あるのか! それでよく無事だな」


 ディガルが驚く。  


「えっへん! どうだ、 すごいだろ!」


「妖精女王さまが幻で包んでるからでしょ!」 


 そう一人のフェアリーがいった。


「妖精女王...... そういう人がいるのか。 すまないが少しだけ話をさせてもらえないかな」


「えっ? どうする?」 

 

「別にいいんじゃない。 ここを奪いとろうとしてるわけじゃないし」


「んー そうだね」


 納得したようで、ぼくたちを奥に招いた。



「まさか、フェアリーがここにいたなんて、まったく気づきもしませんでした」


 ディガルはそういった。


「ここに張られた幻の結界魔法はすごいんだ! だからばれないのさ!」


「でもばれちゃったじゃない!」


「しかたないだろ! 出ていって欲しかったんだから!」


 そう言い争いを始めた。


「......こちらに」


 そう奥から女性の声が聞こえてきた。


「女王さま!」


「女王さまだ!」


 フェアリーたちは、森の奥へと羽でとんでいった。


 ついていくと、そこには大きな木々の幹にドアがあり、どうやら住居にしているらしかった。 


「ずいぶん小さなおうちですね!」


 興奮気味にジェスカがいう。


 その時、奥には柔らかな光をまとったような。 羽のはえた女性がフェアリーたちを膝にのせているのがみえた。


「あなたが妖精女王ですか?」


「はい、【ビブリカ】ともうします」


 その美しい女性は静かにうなづいた。


 ぼくたちは自己紹介をすませ、ここに来た事情を話した。


「なるほど、奇妙な魔力だと思いましたが、まさかダンジョンの方だとは」


 女王は驚いている。


「それでこちらに避難所をつくるつもりだったのですね」


「ええ、もしなにかあったとき、逃げられる場所があると助かるので...... ですが、あなたたちの領域を侵すつもりはありません。 ただ魔王のダンジョンのことが気になってはいるんです」


「そうですか...... 魔王のダンジョンは私の結界魔法で幻の中にモンスターたちをとらえていますが......」


 女王のその美しい表情がくもる。


「なにか?」


「ええ、実は魔法が破られかかっているのです」


「破かれかかっている。 モンスターのせいですか」


「ええ、最近ダンジョンの中から強い禍々しい魔力を感じていたのですが、ついに結界にほころびがみえ始めました。 修復したいのですが、とはいえ、この島と同時に魔法を展開するのは難しくて、島はこの子たちに任せているのですが......」 


「簡単に破られた...... か」


 ミミックさんはうなづく。


「お前のせいだぞ!」


「ちがうよ! 余計なことをいったお前のせいだ!」


 そういさかいを始めた。


「お止めなさい......」


 女王は騒ぐフェアリーたちをとめた。 


 不安そうな女王とフェアリーたちを見て、ぼくは仲間たちと顔を見合わせた。


「......それなら、ぼくたちが魔王のダンジョンをみてきましょうか?」


「えっ...... とても危険ですよ」 


 驚くように女王は目を見張る。


「このカイさまは今までも魔王のダンジョンを踏破されているのです」


「ああ、俺たちもいる」


「そうだな。 私たちがいってこよう」


 ジェスカたちがそうぼくに賛同した。  


「あなたたちならば...... わかりました。 お願いします」


 ぼくたちは魔王のダンジョンへと向かうことにした。


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