表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/52

第十話「柔らかな身体と揺るがぬ意志」

「ここがロードモンスターのいるダンジョンか」


 そこは町からかなり離れた場所で、荒れた山中の鉱山だった。 騎士たちはその入り口で待機している。


「ではご武運をリステンドどの、カイどの」


 そうバーロンドと騎士達は敬礼している。 リステンドはミミックさんが名乗った名前だ。


「さあいこうか」


 ミミックさんとその鉱山跡へとはいる。 そこかしこにスコップ、ハンマーなど道具が落ちていた。


「たしかに鉱山だったんですね」


「ああ、はるか昔に鉱山だったが、魔王のダンジョンができたらしくてね。 いまやモンスターの巣窟さ」


「それならロードモンスターを倒せばもう増えないってことですね」


「ああ、ただはるか昔魔王が直接産み出したとされるモンスターだ。 強力だよ。 いっとき人間たちが生存圏を奪われたことで、神様はここみたいな神のダンジョンを作り出したといわれている」


「対抗させるためですか...... それなら神の武器とか魔法とか与えればよかったのでは」


「それじゃ、人間同士の戦いも起こるからだろう。 実際ダンジョンからえた武具や魔法、アイテムで戦争は起こってるしね」


(なるほど力を与えすぎると、モンスターどころか人間も危険になるのか)


 その時、前から銀色のコウモリが飛び出してきた。


「魔法で......」


「いえ、ぼくにやらせてください!」


 ぼくは地面を跳ねて一瞬で飛び上がり、コウモリへと剣をふるう。


「ギャアッ!!」


 そうコウモリは声をあげコウモリは地面におちた。


「切れた!」


「ああ、すごいバネだね。 あの高さへ一瞬で飛び上がるとは」


「ええ、糸の伸縮性で跳ねて、予想よりはるかに高くとべました。 ただすこし硬かったですね」


「ああ、切ったとき金属音がした」


 ミミックさんはおちたコウモリを調べている。


「どうやら鉱物のような皮膚をもつみたいだ。 【メタルバット】といったところか。 ここの鉱物に魔力が集まりうまれたモンスターみたいだな」


「でも、腕のふりにも伸縮性を利用したので切れました」


「ふむ、その体かなり戦闘向きだな」


 そうミミックさんはうなづいている。 


 ぼくたちはそれから下へとモンスターを倒しつつすすんだ。 


「もうだいぶ深くすすみましたね」


「洞窟だから正確にはわからないが、朝から歩いて夕方にはなっているな」


 更にしばらくすすむと、その時かなり奥から魔力を感じた。

 

「この奥......」


「なにかいるのかい?」


「ええ、離れていますが、かなり大きなものです」


「よし、警戒しつつ向かおう」


 ぼくたちは奥へとモンスターを排除しつつゆっくりと向かった。 



「うん? なにもいない......」


 しばらく歩いて広い場所にでた。 そこには無数の大岩がごろごろ転がっていた。 ミミックさんは周囲をみている。


「いえ、地面にほらあの鉱物の塊の下にいます......」


「地面の下......」


 地面にある大きな鉱床のようなものが、地面から這い出てきた。


「あれはカニ!?」


 それは鉱石を背負った青い大きなカニだった。


「あれは鉱石を背負う、【オークラブ】か...... しかし、あれほど大きさはみたことがない。 強い魔法の詠唱を行わないと......」


「ぼくが時間をかせぎます!」


 地面に足を圧縮して跳ねとぶ。 目の前にカニがすぐ迫る。


(くっ! 速すぎて! 跳躍の制御が難しい!)


 なんとかカニに剣を向けぶつかる。


「ぐっ!! 硬すぎ! 貫けない!」


 すぐに巨大なハサミが振り下ろされた。


「危ない!!」


 ミミックさんの声で体から離れてかわす。 


「やれそうか! ダンジョンさん!!」


「いえ! 硬すぎて剣がつうじません!」


 見ると剣先が折れている。


「この詠唱に時間がかかる! それまでなんとか持ちこたえてもらえるか!」


「はい! こちらでもやるだけやってみます!」


 振り下ろされるハサミをうけると、地面がへこみ体がきしむ。


(ぐっ! 重い! でもこの柔らかさでなんとか受けられた! 普通の腕だとへし折れていたな!! ただ......)


 攻撃をかわしつつ全力をかけ、剣で切りつけるも、その外皮は小さな傷がつく程度だった。


(目一杯、伸縮させてこの程度か! 武器が弱すぎる!)


 カニはミミックさんの方に向いた。


「まずい! こちらに向かせないと!」


 なんども切りかかるが、カニは標的をミミックさんに向けている。


(ミミックさんの詠唱までなんとか動きを止めないと! この体でなにかないか! この体は糸...... そうだ!)


 カニがミミックさんの方に走り出した。


「いかせるか!!」


 体の腕の糸をほどいて放った。 無数の糸がカニの足をとらえる。 更にバウンドして飛び上がりカニを飛び越えると、ハサミなどにも巻き付かせた。


「よし!足とハサミを封じた!」


 ハサミを振り回して剥がそうとするカニに更に糸を放つ。


「ぐっ!! 動くな!!」


 引きずられながら、地面に這いつくばってたえる。


(他のところに......)


 向こうに見えた地面から出た岩に糸を放ち巻き付ける。


「ぐぐぐっ!!」


「よし! できたぞ!」


 ミミックさんは叫んだ。


「そのままはなってください!」


「わかった! 【イグニストデトネーション】!」


 ミミックさんから白く見える球体が放たれると、一瞬、部屋に閃光がはしったのち激しい爆発と衝撃波が伝わる。


「ぐぅっ!!」


 カニの糸が切れぼくは壁に飛ばされ地面に落ちた。


「くっ...... どうだ」 


 そして一瞬見失った魔力を感知すると、カニの体の半分以上は溶解しており、地面に大穴が空いていた。


「はぁはぁ、大丈夫かい......」 


「な、なんとか...... それにしてもすごい威力でしたね。 あの糸すら溶けましたよ」


「私が使える最も強い魔法だからね...... お陰で歩くこともままならないよ......」


 そう地面に膝をついた。


 ぼくはミミックさんを背負うと、入り口へと戻った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ