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17 卒アルの写真がニュースで使われるのは、よくあるだよね~

「【聖女殺し】じゃなく、正確には【聖痕殺し】の剣だ。聖女の証であるお前の左手にある聖痕を消すための剣……普通の剣では聖痕を切ろうがくり抜こうがまた浮かびあがってくるし、手を切り落としても、身体の別の場所にまた出てくるだけだが、この剣で刺すと完全に消滅する」


「聖痕がなくなるとどうなるの?」


「お前は聖女ではなくなる。聖女でなくなれば、奴らはもうお前を感知できない」


「え? それって、追手が来なくなるってこと?」


「そうだ」


「今すぐやろうよ! どうやってやるの?」



 どうしてこんなケガをする前にやらなかったのよ~~!




「……アザに深く突き刺すんだ」


「え! あぁ分かった」


 それはちょっと……いや、かなり痛そう……注射も苦手なのに~でも、自殺しなくていいんだし、これくらい……!

 これでおにぃが戦わずにすむんだから!


「ストップ! お前分かっているのか? 深く突き刺すんだぞ」


「う……うん」


「ピアノを弾けなくなるかもしれないんだぞ」


「あ……」

 ためらった私の手をおにぃが握る。


「これは最終手段だ。できればお前の手を潰したくない。それまで、俺が出来るだけ戦うから」


「……でも」


「ピアニストになりたいんだろ?」


「でも……」

 もうこれ以上おにぃに傷ついて欲しくない!


「俺は大丈夫だから、とにかく言うことを聞け」

 そう言っておにぃは私から剣を取り上げ、電話をかけ始めた。


 しばらくしてまたあの黒ずくめの男が来て、氷室まさみをストレッチャーに乗せて出て行った。





 そこから3日たって、おにぃの状態はかなり良くなった。もう自由に歩きまわっている。

 もしかしたら私たち異世界人は、地球の人間より強靭なのかもしれない。



『ジーン・桜田さんの失踪から今日で3日経ちました』

 病室のテレビから女性レポーターの声が響き、画面には住んでいたマンションの外観が映し出されていた。


『●日未明、桜田さんの自宅マンションから争い合うような激しい物音が聞こえ、隣家の住人が警察に通報、警察が自宅を捜索すると、中は争った形跡が多数あったとのことです。鍵も開いており、そこには桜田さんの姿はなく、また同居していた妹の桜田アリーさんの行方も分からなくなっており、現在警察が二人の行方を捜索中です』



「わ~私の中学の卒アルの写真じゃんか。やめてよ~」


 人生で一番太っていた頃の写真が、全国区で流され気が滅入る。


「これ以上、ここには迷惑をかけられないから移動するぞ」


 枕の下に札束をねじこんだおにぃに促され、病室を後にした。




 どこで調達したのかそのまま車に乗せられ、次に着いたのは山奥の別荘地。

「売家」の看板が立ち並ぶ忘れられた別荘地のようで、オフシーズンも相まって、人影は全くなかった。


 ここにも追手はやってきた。


 いつも10人ほどの規模で、剣と銃を持っている。別荘の周りには赤外線センサーを設置しているから、急襲におにぃはすぐに気が付き、全ての追手をせん滅した。


 ただ、戦っている姿を誰にも見られないのはいいが、買い出しに街に降りると目立ってしまうのが問題だった。がたいの良い190㎝の大男は都会では埋もれることができたが、田舎ではどんな変装をしても目立って仕方がない。念のため、おにぃを車に残して私が買い物をしていたが、これでは警察に知られるのも時間の問題だ。


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