表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/28

15 おにぃが撃たれた!

「もう食ったな。出るぞ」

 そう言っておにぃは立ち上がり、リュックを担ごうとする。

 チャックから見えたのは…


「【聖女殺しの剣】……」


「なんでお前がこれを知っている?」


「……【聖女殺し】って…その剣は私を殺すためにあるの?」


「これは…」


 おにぃが突然顔を上げ、私を抱き込んだ。



 ガーン!


「くっ!」


 銃声のあと、おにぃの肩からじわじわと血がにじんでくる。


「きっ…」


 悲鳴をあげようとした私の口をその手がふさぎ、内ポケットから銃を取り出し、おにぃも応戦する。


 ガーン!

 ガーン!


「カウンターの後ろに隠れろ!」


「お…おに…」


「大丈夫だ。絶対守るから」


 床をはいずって、カウンターの後ろで身を縮める。

 途端に剣戟の音と、鈍い殴打音が響き始める。


 おにぃ!

 おにぃ!

 無事でいて!

 死なないで!




 しばらくすると音がやみ、おにぃのかすれた声が聞こえてきた。


「もう出てきてもいいぞ」


 私はカウンターから飛び出し、おにぃにすがりついた。


「おにぃ! おにぃ!」


 追手の姿はもうそこにはなかったが、座り込むおにぃの下の床には大量の血が……


「はぁ~やっぱりアイツらも銃を手にいれていたか…止血をしたい。何か布はないか」


 ソファに敷かれた、のれんを持ってくる。


「きつく縛ってくれ」


 だらだらと肩からは血が流れている。

 パニックになりそうになるが、必死に深呼吸して冷静になろうと努める。


「うううっ」

 おにぃがうめき声をあげるが、全力で肩をのれんで締め上げた。


「スマホを取ってくれ」

 血まみれの手でスマホを操作すると、電話をかけ始める。


「銃でやられた。助けてくれ。姫をとにかく安全な場所に……」




 10分ほどすると、数人の男たちが部屋に入ってきた。

 男たちはいかにも、そのスジの男たちのようで…


「ふーん。あんたがジーンのお姫ちゃんか」

 黒ずくめのスーツを着た、真ん中の恰幅のいい男がニヤリと笑った。



 連れていかれたのは町はずれの総合病院だった。

 おにぃはすぐに弾丸の摘出手術を受け、今は特別室のベッドで眠っている。


「ここはうちの組の息がかかった病院や。(チャカ)のケガでも警察に通報されへんから安心しぃ」

 さっきの黒ずくめの男が病室に入ってきた。


「はい。ありがとうございます」


「わしとジーンはな、半年前に知りおうたんや。うちの組の末端組織に(チャカ)を買いにきよってな」


 その頃からもうおにぃは追手と闘ってたんだ。


「どこのガイジンが買いにきよったんやと思ぉたら、有名な格闘家のジーン様やないか! こりゃええわって思ぉて、脅して金をむしり取ったろうと思ったんや」


「……」


「ほんならな、警察に言うなり、週刊誌に言うなり好きにせえって言いよる。世間の評判なんかどうでもええ、今の地位なんていらんってな。……なんやおもろい男やなと思ぉて見張りをつけとったら、路地裏でガンガン人を殺しとる。そんでもって、その死体が消えるんやで? ほんまビビったわ。ほんで詳しい話を聞いたら異世界から来たって言うやないか! わし、そーゆー話大好きやねん!」


「…そんな話、信じたんですか?」


「まぁ、半分は疑っとったけど、今は信じとる。だってさっきからあんたの命を狙って、古めかしい服を着て剣を持った男たちが、何人もこの病院に潜り込もうとしとんねんで」


「えぇ?」


「今、うちの若いもんに相手さしとる。殺してもうても、死体も血ぃも消えるんや。何のアシもつかへんし、ゲームみたいで根性試しにええやろ?」

 ニタリと笑う男に寒気がする。


「今夜は熱が出るやろな。姫ちゃんがしっかり看病してやりや」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ