13 戦えるようにもっと鍛えなくては!【SIDEジーン】
警備兵のような人間や優しそうな女性、偉そうな男、いろんな異世界人が話しかけてきたが、全く言葉が通じないので、何を言っているか分からない。手のひらサイズの光る板に、話せとジェスチャーで指示されたから言葉を発したが、彼らは首を振るばかり。
結局、子どもがいっぱい共同生活している建物に連れていかれた。
おそらく孤児院みたいなものだと推測、とりあえずこれで姫君が飢えることはなくなったので、安心した。
だが、【聖女殺しの剣】と【ゲート】のブレスレットが見つかれば取り上げられるかもしれないので、水をはじく袋を見つけたのでそれに入れて、庭の木の根元に埋めておいた。
後はとにかく不便なので、異世界語を習得しなければいけない。
幸い孤児院の先生が教えてくれたので、半年もすると日常会話はできるようになった。
だが、4年ほどたった頃、俺たちは別の施設に移されることになった。
そこは最悪で……職員は怠惰、子ども同士のイジメが横行、金髪碧眼の姫君はそのターゲットになり、その頃から髪を染めてさしあげるようになった。
とにかく早くこの施設を出て、姫君をお守りしなくてはいけない、そのためには金がいる。
そう思い中学を卒業すると高校には行かず、工務店で大工見習の職に就くことにした。その頃にはすでに身長は180cm近くあり、ガタイも良かったので重宝され工務店の社長に可愛がられた。
16才になったある日、社長の友人のボクシングジムのトレーナーにスカウトされ、ボクシングを始めることになった。大工仕事の傍ら、トレーニングをさせてくれ、時には姫君の面倒をみてくれた社長には感謝しかない。
そうして俺が18才の成人なって施設を出られる年になると、社長が好意で寮を用意してくれ、ようやく姫君と二人で暮らせることになった。
世間では俺たちは兄妹として認識されているし、この平和な異世界で姫君をそのまま普通の子どもとしてお育てすることにした。
22才の頃、ボクシングで日本チャンピオンになったので、大工の仕事は辞めた。ファイトマネーで食えるようになったからだ。ジムの会長は世界戦の挑戦を望んでいたが、俺にはいつも不安が付きまとっていた。
隠している【聖女殺しの剣】と【ゲート】のブレスレットを見て思い出すのは、聖女様の言葉……
『異世界まで追手は行けないと思いますが、聖女の力の源、聖痕がその身にあれば居場所は探知されてしまいます……彼らは聖女がいるかぎり、モーリス神の恩恵を受けられないから、諦めずに追いかけてくるかもしれません』
もし【ゲート】のブレスレットをモーリス神の信徒たちも手に入れたら?
奴らは必ずここまで追いかけてきてアレクサンドラ様を殺そうとするだろう……
姫君を守るためには、ボクシングのように拳だけ鍛えてもだめだ! もっといろんな攻撃ができるような体術を訓練しなくては!




