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無人島サバイバル★漂流日誌(略)  作者: 名久井悟朗


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絶景かな

「幾度となく要求される行為への同行要求を私には断る事は出来なかったわ……」

「いや、断れよ」

 全員変態しかおらんやん。

「あんなの見せられたら断れるわけないじゃないっ!!」

「んなもの見せられたら断るしかないだろっっ!!というか、お前興味津々で自分が観たかっただけだろ」

 じゃなきゃ、あんなに詳細に記憶してないだろ。

 実際、語りの熱の入りよう、頬の上気、何故か内股になってモジモジしてるし。

「そ、そんなわけないじゃないっ!と、トラウマになったから覚えてただけよ。だから今でも男同士連れ立って歩いてたり、会話してると『あの人達も陰では熱く愛し合っているのね』ってなって、親しくなったら魅せつけられちゃうのかなって考えるだけでもう……」

 奏は自分で言って妄想の世界に入り込んだのか、「はぁはぁ」と息を荒げ、涎を垂らしながら悶絶している。

 これ、絶対にトラウマじゃねぇよ。

 禁断の恋物語にお熱なだけだよ。

 そして、熱烈なホモ話を聞かされた俺の方がトラウマになりそうだよ。

 この島に他に男がいなくてよかったと心から安堵したぞ。

 夢に出たらどうするんだ。

 今日は寝る時エリちゃんに手を握っててもらわないと寝られんぞ?

「ねぇ!アンタはどんな男性が好みっ!?誰にも言わないから私だけに教えなさいよ!!」

「男に興味なんてないわっっ!!!」

 これ以上奏の近くに居たらヤツ心の中で男に犯される。 

 俺は奏を引き離そうと一気に歩みを速めた。

 速めたはいいが、前方では珍しくアンとエリちゃんが歩みを止めて何かを見ていた。

 俺が近づくとアンが振り返り興奮気味に前方を指さして叫んだ。

「見えたッスよセンパイ!」

 何が見えたんだ?

 アン達の側まで急ぎ登る。

 登っていると周囲の変化に気づく、登り始めより明らかに木々が少なくあっても低い木ばかり、草が増え地面はゴロゴロとした石が目立つ。

 奏の私のホモ体験を聞いていて気づかなかったという事実がなんと悲しい事か。

「センパイあれッス!」

 もう殆ど見なくなった低い木を除け、二人の下に付いた時、いや近づく途中で気づいていた。

「アレが頂上か」

 目の前にはっきりと見えた頂上。

 麓から見えた頂上とは違う、最早目と鼻の先となりカルデラ状になっている事や付近には木々はなく、ただ草だけが生えてそれが風で靡いている事まで見えた。

「あと一息じゃ。慎重に気を引き締めて登るぞ」

 エリちゃんの言葉に頷く。

 俺達は奏が来るのを待って山登りを再開した。

 ここまでくると木はほとんどなく草ばかりだが、山頂付近という事もあり風が強く、草に隠れて石がゴロゴロしているの気を付けないと転びそうになってしまう。

 距離はさほどでもないのに、山頂は目の前に見えているのに、木が邪魔をしているわけでもないのに、草と平らでない地面だけでここまで歩みが遅くなるのか。

 気がはやるが、それでも一歩一歩慎重に足元を確かめて進む。

 ここで何かあっては全てがおじゃんだ。

 そんな自制を積み上げ、しっかりと前を見据え、俺達は山頂へとたどり着いた。

「「「──────っっ」」」

「絶景じゃのぅ」

 眼前に広がる景色に俺達は息を飲んだ。

 今立っている頂上が連なり細い尾根の内側、陥没カルデラの中には植物の濃い緑と池の青が見えまるでテーブルマウンテンの巨大穴の様だ。

 あの中を歩いたらどんな光景が広がているのだろうか?

 体は疲れ切り、少し前までもう山なんて登りたくないて気持ちは何処かへ吹き飛んだ。

 そのカルデラ、外輪山の向こうには今まで登ってきた道、拠点があるであろう丘、そして見渡す限りの青が広がっている。

 あの浜は俺が流れ着いた砂浜だろうか?

 となるとあそこら辺の木にアンが引っかかっていて、あそこの岩場でエリちゃんに出会ったんだ。

 そして、何処までも広がるあの青い海のどこかに日本がある

 この島で生活してきたすべてが目の前にあった。

 俺は映像でこれ以上の景色を見た事がある。

 しかし、自分の足で道を切り開き見たこの景色は今まで見た何よりも絶景だった。

 皆似たような思いなのだろう。

 しばしの間、誰も何も言わずただ目の前の絶景に心を奪われていた。




読んでいただきありがとうございました。

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