スクラップ・アイアン
「まぁ、こういう結果になる事はなんとなくわかってたし」
俺は自分の前に置かれた、両掌に納まる程度の金属クズの山(?)を眺めながら胡坐の上に立てた右手の拳に自分の頬を乗せながらぼやいた。
別に不貞腐れているわけではない。
ただ、わかり切っていた結果にやるせなさがこみ上げてきているだけだ。
「わかってたんだったら無駄に張り合うんじゃないわよ」
少し離れた所で不貞腐れた奏が愚痴る。
スカートにもかかわらず、胡坐をかいた彼女の横には俺より少し小さな金属クズの山がある。
勝敗で笑ってやろうか、それとも俺に責任を押し付けるその態度に文句を言ってやろうか。
一瞬そう考えたが、彼女の視線の先を見てその気は失せた。
その視線の先には、俺と奏の金属クズを合わせた物より数倍大きな金属クズの山が二つあった。
「これを炉で溶かして型に入れるんスか?」
「それでは強度が出んからのぅ。金床以外はさらに叩いて強度を上げるつもりじゃ」
「鍛造ってやつっスね!」
そう、アンとエリちゃんが集めてきた金属クズの山だ。
二人と比べるのは馬鹿らしいとはわかっていたが、団栗の背比べをしている横にクソデカい南瓜や西瓜を置かれてみろ?
すんごいやるせなさが俺達を襲ったのだ。
「はぁ」
俺は小さくため息を吐いて立ち上がり二人の元に歩いていく。
「これだけあれば鉄器作りは十分?」
俺の質問にエリちゃんはにっこりと笑った。
「みんな頑張ってくれたからのぅ。もちろん十分じゃ」
努力を評価してくれるってあったけぇ。
昔の俺なら「結果の出ない努力なんてただの徒労だ!」キリッ!
なんて言っていただろうが、実際に努力を誉めてもらえるとこんなに嬉しいものなんだなぁ。
「それじゃあ、鉄器作りは明日から?」
奏の質問にエリちゃんは首を振った。
「炉の作成とそろそろ冷えたであろう炭出しがまだじゃ」
あ、忘れてた。
どうやら奏も同じく忘れてたようでポンっと手を打った。
「それじゃあ明日はその手伝いをすればいいのね!」
やるぞ!っと、意気込む奏だったが、エリちゃんはニコリと笑った。
「頼もしいのぅ」
珍しく全員で同じ作業になるな。
ふと目が合った奏が俺を睨んだ。
考える事は同じらしい。
今度こそ決着をつけてやる!!
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