本当に申し訳ない。
「それで今日は何をさせるつもりなのよ?」
海産物中心の朝食をとっていると奏が不機嫌そうに尋ねた。
昨日結局誰も奏が言う星を見ようとしなかったのをまだ根に持っているようだ。
「今日も機能同様、拠点の充実と食料確保じゃよ」
アンに言わせれば、動物性たんぱく質豊富で筋肉にいい食事ではあるが、体にはたんぱく質以外にも必須な栄養素がたくさんあり、現在の食事では足らないものが多すぎる。
壊血病なんかになってはたまらない。
昔のエスキモーやモンゴル人達は動物性たんぱく質中心の生活で生きていけたらしいが、現代日本人の俺に同じ事が出来るとは思えない。
彼等の様に生肉や乳製品からビタミンを摂取する知恵も持たないに体のつくりも違う。
「エスキモーは生肉や発酵食品、モンゴル人は馬乳酒から不足した栄養を摂取していたのじゃ」
「俺の心のナレーションを読まないでくれます?」
エリちゃんは小五ロリ……もとえ、悟りの妖怪か?
「ワシは妖怪じゃないわい。チョーヘイの口から出とったんじゃ」
マジか!
「マジじゃ」
アンや奏を見るとうんうんと頷いてる。
マジかぁ~
「話を戻すぞ?拠点の充実と食料確保と言っても目標が決まったんじゃ、昨日とは内容が少し変わるぞ?」
エリちゃんはそう言って少し山の方を見た。
あの大きな未開の山、はたして本当に登れるのだろうか?
恐らく、エリちゃんはその為に必要な準備をするつもりなのだろう。
「本当はもう少し先にしようと思っていたのじゃが、今日より食料調達班は少しだけ島内陸部も捜索するのじゃ」
昨日まで未開の島内は危険だからと言っていたエリちゃんがこうにも急に方針転換したのは、やはり目標が決まったからと昨日発見された粘土が原因だろうか?
それでも、金属器がアン達が作った金属片を穿かせたスコップだけでは、島内探索は心細くないか?
いや、だから少しだけなのか?
「それから、拠点での作業班は窯作り、最終的には金属器の作成を目指すのじゃ」
おおっ。やはり金属器は重要。
せめて山刀程度の草木を払えるくらいの金属器は欲しいもんな。
流石にピッケルや鉄杭なんが必要な所は登りたくないが、それらもいざという時には必要かもしれない。
いや、エリちゃんとアンがいれば必要ないかもしれないけど、それでも保険は欲しい。
欲しいよな?
「それで、今日の班分けはどうするッスか?」
アンの質問に奏が俺を睨む。
いや、何故睨む?
まだ何も言ってないぞ?
「今日のところは班分けせん。四人で行動する」
エリちゃんの決定にアンは嬉しそうに俺に笑いかけ、奏はそっぽを向いた。
俺は反対はしないが、逆に今まで二班に分けていたのか引っかかる。
もしかしなくても、唯一の男である俺が暴走しないか心配で監視してたのか?
いや、俺ごときが暴走したとしてもアンやエリちゃんには逆立ちしても敵う気がせんし、奏相手にはその気にもならん。嫌われてる相手に興奮するほど上級者じゃない。
そんな俺の思考に気づいたのか、それともまた声に出てたのか、エリちゃんは俺の顔を見ると溜息をつくように言った。
「ぶっちゃけ効率が悪くても山に入ったり大々的に火を使うような行為を目の届かない所で行われると夜も眠れん」
誠に申し訳ない。
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