ワカメの山
「ナニコレ?」
「見ての通りだが?」
俺の成果、山盛りのワカメを見て奏が渋い顔をした。
いやまぁ、言いたい事はわかるよ?
隣にあるエリちゃんの成果、数々の大型魚と比べると見劣りするし、何より海藻だし。
でもね。この島初のワカメの採取事例なんだから少しは評価しろよ。
「アンタ、男の癖にこんなの採ってきて喜んでるの?」
ぐぬぬぬぬっ。
正論は止めろ。
「こ、これは結構深い所に生えていたんだぞぉ?」
俺の必死の言い訳も奏は首を振りながらため息をついて吹き飛ばした
「アンタ海藻って英語でなんて言うか知ってる?シーウィードよ?つまり海の雑草」
コイツ馬鹿の癖になんでそんな英単語知ってるんだよ。
受験じゃ使わねぇだろ。
「こ、これはただの海藻じゃなくてワカメでだな」
「ワカメの英名もシーウィードよ」
なんだそのガバガバ単語!
「この英検準二級女め」
「どんな悪口よ!てか、アンタなんで私が英検準二級って知ってるのよ!」
適当言っただけに決まってるだろ。
本当は四級だと思ってたわ。
「まぁまぁまぁ」
睨み合う俺と奏にエリちゃんの静止の声がかかる。
「奏よ。昨夜ワシがビタミンが摂れないと言っておったのを覚えているか?」
エリちゃんの問いに奏は遥か昔を思い出すように首を捻った。
どうやら奏にとっては昨晩の夕食は紀元前の事の様に遠い思い出のようで、思い出すにはしばし時間がかかりそうだ。
「チョーヘイはそれを覚えていて、ビタミン確保の為に探していたのじゃ。これで食事のレパートリーが広がって栄養も万全になるぞ?」
奏がマジかという目で俺を見る。
うむ。否定も肯定もしないで黙っておこう。
それでも奏はまだ納得できないでいる。
「ん?アンどうした?」
アンが目をキラキラさせながらワカメを見ている。
そんなにワカメが好きなのかと思っていたら、彼女は片手を腰に当て意気揚揚と口を開いた。
「ワカメには筋肉に必須なアミノ酸を多く含むアミノ酸スコア100の超スーパーフードなんスよ!!」
「な、なるほど」
まるで踊る様に説明するアンに彼女以外全員が少し引いた。
それでもまだ不服そうな奏にエリちゃんが耳に口を寄せた。
「それにのぅ……ごにょごにょ──便秘に──お通じが──」
「アンタ、少しだけ認めてあげてもいいわよ」
「奏お前便秘だったのーーぶぺらっっ!!」
奏の右腕が鞭のようにしなり的確に俺の顎を打った。
「これはチョーヘイが悪いのぅ」
「流石にこれは擁護できないッス」
俺は膝から崩れ落ちた。
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