おはよう海ご飯!
壁があって屋根があって地べたで寝なくていいって最高だね!
夜露には濡れないし、木を組んで葉っぱを敷いただけのベッドでも底冷えがしない!
家は人類が作った最高の英知だね!
室内最高!!
俺は気持ちのいい目覚めに大きく伸びをした。
「おはよう!」
「おはようチョーヘイ」
「おはようじゃなわよ寝坊助」
土間で火を起こし、昨晩の残りのスープに魚の干物を加え温めているエリちゃんは笑顔で挨拶を返してくれる。
奏は皿代わりの大きな葉っぱを持って睨んできた。
「いやぁ~。エリちゃんが作ってくれた寝台が眠りやすくてつい。てか、起こしてくれても良かったのに」
よく寝てたからと気を使ってくれたのだろうか?
奏は問答無用で叩き起こしてきそうだが、エリちゃん辺りだと気を使ってくれそう。
アンは……過激な起こし方しそうだな。飛び乗ってくるとか。
そう思った瞬間、入り口の方からアンの声がした。
「あっ!センパイおはようッス!!」
振り向くともう目の前にいた。
水がたっぷり入ったペットボトルを何本も繋いだぼてふりを担いでよくそんな早く動けるな。
あ、これ荷物なかったらその勢いで犬みたいにぶつかってきたんじゃね?
キラキラと目を輝かせる彼女の尻にある筈のないブンブンと勢いよく振られる尻尾を幻視してしまう。
「アン、水は一本分そこのろ過機に注いでくれ。そしたら朝食にしよう」
エリちゃんは十分温まったスープを椰子の実の器によそい俺に差し出してくる。
飯を運ぶくらいしろという事だな。
飯の時くらいはと床に上がる事を許された俺は、皆の前に器を置き全員にいきわたると自然と手を合わせた。
「「「「頂きます」」」」
ずずぅ。
うん、温めなおしただけだが追加した干物の味か、それとも寝かした事も影響するのか、味が少し変わってなかなか美味い。
腹に沁みる美味さだ。
「それで今日の予定なんじゃが」
食事も終わり、沸かしたお湯で熊笹茶を飲んでいるとエリちゃんが今日の予定を提案した。
「はいはーい!私とエリちゃんとアンで家の仕事をしましょう!」
「俺一人で全員分の食料を確保しろとっ!?」
とんでもない虐めじみた提案だ。
「別にアンタの分はなくてもいいわよ」
虐めだ。
朝食直後、いや起きてすぐにも悪態をついてきた糞奏とバチバチと火花を散らせて睨み合う。
「ほれほれ、朝の運動はそれくらいにせんか」
エリちゃんは微笑ましそうにそれを制止すると何事もなかったように話を再開させた。
「今日は組は昨日と同じまま作業内容だけ交代でどうじゃ?」
まぁ、奏と一緒にされるより平和的で妥当な案だな。
欲を言えば、奏に毒されないようアンも一緒がいいが……
まぁ、彼女なら大丈夫か。
「う~、今日もまたセンパイと離れ離れッス……」
うれしい事言ってくれるじゃないの。
不満の声を上げるアンの後ろで奏が、すげぇ目で見てくるのはスルーしよう。
「アン。貴女騙されてるのよ?」
騙してねーよ!
「そんな事ないッス!センパイはいい人ッス!」
奏はカルトに洗脳された可哀想な人のような目で抱きしめると最低野郎を見る目で俺を睨んだ。
野郎ぅ。
「まぁまぁ、新しい仲間と相互理解を深める為じゃ、アンとチョーヘイは仲良しじゃろ?ワシや奏もそうなりたいんじゃよ」
そう言ってくれるのは嬉しいが、奏は絶対そう思ってないぞ。
「そういう事なら仕方ないッス。エリちゃん先輩や奏先輩もセンパイともっと仲良くなって欲しいッス!」
そう純粋な瞳で言われるとついつい頷いてしまうが待て、エリちゃんは兎に角、奏とは不可能だろ?
奏の方を見ると彼女もアンのいい顔に困った笑顔を浮かべている。
あ、目が合った。
「「………」」
う~ん。
これ仲良くなれるか?
読んでいただきありがとうございました。
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