男は床で寝ろ
さて、食事も終わり、代交代で小屋の中でお湯に濡らした布で体を拭いて、後はもう寝るだけとなった時、やっぱりあいつが突っかかってきた。
「男は外で寝ろ」
少しは打ち解けたかと思ったらこれだよ。
「俺が作った家だぞっ!?」
「作ったのはほとんどエリちゃんでしょうが」
「ぐぬぬぬ……」
まったくもってその通りだ。
「その通りだけど俺だって手伝ったんだ!少なくとも手伝いもしてないお前に言われる筋合いはない!」
「はっ!私は代わりに食料を採ってきましたー。女ばかりの小屋に男が混ざろうなんてデリカシーって知らないの?」
「お前はデリカシーの前に慎みを覚えろ!」
「「ぐぬぬぬぬぬっっ!!!」」
睨み合い鼻息が届くほどに接近する。
コイツが殴ってきたら、頬で受けて正当防衛の男女平等パンチをお見舞いしてやる!
「これこれ奏そんなにチョーヘイを邪見にするでない」
「でもエリちゃん!男なんかと一つ屋根の下なんて!」
それに関してだけは、奏の言い分も一理あるとは思うが、俺一人寒空の下で寝ろというのはあんまりだ。
いっしょが嫌ならてめぇだけ外で寝ろ。
「男女七歳にして席を同じゅうせずとは言うが、こんな非常事態にそんな事言ってられんじゃろ?」
男女……なに?
「その男女何とかって昔の人も言ってるんだし、私達が襲われたらどうするの!」
「皆そんなに軽率ではないし、チョーヘイだってそんな事する子じゃない。のう?」
エリちゃんが俺の方を向いて同意を求めてくる。
その顔は先ほど温かい布で体をキレイにした為か、白い肌が薄っすらと火照っている。
その後ろには元の元の性格か、気が緩んでいるのか、かなり無防備に豊かな谷間を見せつけている。
二人とも幼い容姿に確かな色気を漂わせている。
「……うん。俺そんな事しない」
「ぜっっっっったい危険!!」
失礼な!
一瞬の気の迷いくらい大目に見るべきだ!!
「コイツ今私の事いやらしい目で見てたもん!!」
「いや、お前は一切見てなかったぞ」
再び紙一重の距離で睨み合う。
コイツは一番容姿が大人びてるというのに、色っぽさなど微塵も感じさせない。
むしろ怒りが湧いてくる。
「はぁ」
エリちゃんが大きくため息をついた。
「それじゃあ、ワシ等女性陣は床の上、チョーヘイは土間で寝るというのは?」
「土間かぁ」
小屋の内部は入ってすぐと簡易的な竈を含め、1/3程が土間になっている。
確かに雨風は防げるけどなぁ。
「まぁ、エリちゃんがそこまで言うなら……。でも私はあんたの事蛇の次に信用してないからね!」
奏は不承不承ながら頷いた。
ってか、蛇の次ってなんだ。
知恵の実でも食わされたのか?
「チョーヘイはどうじゃ?今ならこんな事もあろうかと作っておいた簡易寝台もつけるぞ?」
「それならまぁ」
こんな事まで予想してたとは流石エリちゃん。
予想してても避けられなかったのは悲しいが。
「床に上がったら殺すから」
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