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の運命
あぁ、悠が笑っている。ゲームで勝って大きなリアクションを取りながら、無邪気に笑っている。そしてこちらを見て、嬉しそうに笑うのだ。つられて俺も笑ってしまう。最後には皆も笑っている。そんな姿を見て幸せそうに笑う悠。実は普段の彼はこんな笑顔からは想像できないほど暗い。しかし悠の好きな豆大福を食べている時、ゲームをしている時、ここの皆といる時、とてもとても楽しそうに笑うのだ。俺はそれがとても眩しい。それなのにずっと見てしまう。彼の笑顔1つでここまで心が揺れ動くなんて、誰も知らない。
「なっ……どうし、て」
「何が、君を……変えちゃったの?」
この想いは絶対に知られてはいけない。――なんて思っていたのが悪かったのかな。とある静かで寒い部屋で俺は、悠を抱き締めた。笑って泣いて絶望して、最終的に涙を静かに流した。そして唯一の償いのために歌うのだ。これが俺の責任で、せめてもの抵抗した運命だから。
「【とおりゃんせ とおりゃんせ――】」
ほら砂の音が聞こえる。