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寒がり聖女と巻き込まれ系辺境伯の婚姻~溺愛の方は努力するんで、ざまぁフラグは回収しなくてもいいですか?~  作者: 砂臥 環


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㉙意外な人物の介入

 

 ユリウスはまずひとりで彼等に会うことに決め、部屋に戻るとエディトにそれを伝えた。


「捕えないのですか?」

「捕えるというか、結局ここには来てもらうことになると思うけど……ただ、先に話を聞いておいた方が、それが事実かどうかも含め確かめやすいだろう?」


 捕縛され警戒されて口にすることは勿論だが、顔を知っているエディトを前にして彼等が口にすることも、事情によっては信用ならない。

 まだなにもわかっていないのだから、多方面から段階的に接触を試みた方がいい──と言うと、残念そうにしながらもエディトは納得した。


「流石……旦那様は思慮深くてらっしゃいますのね!」

「い、いやぁ……」


 そう大したことは言っていないが、手放しで褒められるとやはり悪い気はしない。


 案内されたふたりの部屋は、当然一緒。

 ここに着いた夜(つまり昨夜)は、なんだかんだ同衾だけはしたのだ。まあ、呑んだくれたエディトを寝かし付けて終わったけれど。


 そしてついに今日、口付けを果たした後の夜だが──


(いやいや、こう……がっつくのは良くない! せめて両親がいなくなってから……)


 口付けはあくまでも、誤解と非日常(ダンジョン)にふたりきりきりという状況からの勢いであって、生憎、彼のヘタレた性根が治ったわけでもないのである。


 つまり、まんまと『やらしい雰囲気にしてやるぜ計画』に嵌められただけという事実。


 しなければいいものを、それを認識したユリウスは、また無駄にモダモダと悩み出していた。

 この期に及んで。(辛辣)


(それに……結局第三王子へ(エディト)の想いを確かめていない……譲る気はないが、それは俺の意思、このまま先に進めて本当にいいのか?!)


 一番の引っ掛かりはコレ。

 そう思うならさっさと確かめればアッサリ解決する案件だというのに、それはできない。

 まるで思春期乙女のような、齢27(アラサー)男子。


 結局この夜も、空気を読んだエディトの『寒いですわね~! さあさあ旦那様も温かいベッドでゆっくり眠りましょう♪』という言葉に救われるかたちで、同衾のみで終わった。





 実のところ、今ユリウスが最も気になるのは、マジョレーヌと第三王子カールハインツの現在の(・・・)仲である。


 まずはひとりで行くと決めた理由の、エディトに語っていない部分。


 まだ情報が伝わっているとは思えず『エディトの活躍を聞きつけて心変わりした』などとは思っちゃいないものの、新たに婚約者としたマジョレーヌを捨てたのであれば、再びエディトを求めないとは限らない。


 通常ならば考えられない愚行だが、『追放聖女モノ』を含む『婚約破棄モノ』ではあるある……テンプレど真ん中。

 なにかと前世の記憶が邪魔をしがちなユリウスだが、そもそも聖女としては素晴らしいエディトとの婚約を破棄をした時点で、第三王子は既に愚行に及んでいるのだ。

 更なる愚行に及ぶ可能性は充分ある、と判断するのは妥当であると言える。


 宿屋には既に話を通してある。

 一階の食堂の片隅で彼等が動き出すのを待ち、出掛けた頃合を見計らい後を付け、偶然を装って声を掛けた。


「アンタは昨日の……奥さんは?」

「生憎妻は、はしゃぎ過ぎて熱を出しまして。 もしよろしければ、なにかご馳走させて頂けませんか? 昨日はお陰様で無理をさせずに済んだのに、お礼の一言もなく後悔していたので」

「いや、礼など。 なにもしておらん」

「お嫌でなければ是非。 はは、この通り暇を持て余してまして……」


 ふたりは相談するように顔を見合わせたが、ユリウスの無害そうな様子からか「じゃあ、ちょっとなら」とアッサリ承諾した。

 こういう時、朴訥な印象が役に立つ。


(わざわざあの人工ダンジョンに無断で入ったんだ。 おそらく土地勘はなく、なにかしらの目的はある)


 土地に詳しい無害そうな人物になら、彼等の方からなにか尋ねてくるかもしれない。


 そう思い、ユリウスは慣れた様子でいくつかの店の情報やこの地での思い出などを語りながら歩き、少し小洒落た雰囲気の酒場まで案内しようとした。


 しかし、予想外の人物が出てきたことで、話は想定より一気に進むことになる。


「あら、ユリウス様……と、まあ!」

「「「フェルカー夫人?」」」


 騎士ふたりとユリウスは顔を見合わせた。





 伯爵家騎士の名は、ちょっとチャラい方がハルトムート・レーヴェン。寡黙な方がアードルフ・ランツィンガー。

 ヘルミーネがここに来たのは、伯爵家の伝手で、夫ヴィムが頼まれたからだそう。


「成程、昨日の君の用事はこの方々か」

「おふたりには旅慣れない女性のお連れ様がいらっしゃるので、私がお世話を」

「フェルカー夫人!」


 勝手に話してしまうヘルミーネをアードルフが諌めるように凄む。しかし、全く動じずに彼を見据え、口を開く。


「ランツィンガー卿、この方は信頼できる方ですわ。 これもなにかの縁、事情をご説明してご助力願った方がよろしいかと。 昨日お話した通り、私もたいしたお力にはなれそうもありません」


 ヘルミーネはユリウスの様子から、辺境伯であることは一旦明かさないことにしたようだ。

 だが、その上で協力を求める姿勢でいる。

 ユリウスは慎重に言葉を選んだ。


「……自分には様々な伝手があります。 フェルカー夫人の仰る通り、これもなにかのご縁。 お話頂ければ、なにかしらの助力をするのも吝かではない」


 もとよりそのつもりなのだ。

 事情次第では対価を求めるつもりなだけで。


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