表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

聖 女 無 双?④

更新とても遅れてすいません。

あと3、4話で終わる予定です。


「四つ目をお話しする前に、さっき皆さんに見せた私達の状態情報(ステータス)を憶えていますか? あれをもう一度お見せしますので、一緒にご確認を!」


 そう言って先程と同様に「鑑定!」と唱える聖女ちゃん。

 するとついさっき見た、俺達の適当な…簡略的な状態情報(ステータス)が目の前に表示される。


「注目してほしいのは、私以外の女性陣に付いているこの部分です。この星マークの部分…何のマーク分かりますか?」


 確かに聖女ちゃんが指差す箇所には、星マークが付いている。そこは俺も気になっていた箇所だった。

(これって…まさか……)


 聖女ちゃんが神妙な面持ちで四人に尋ねる。

 聖女ちゃんのその様子を見て、言葉の意味に逸早く気付いたのは、皮肉な事に剣聖だった。


「嫌…。いやよっ…! それだけは嫌ッッ!! 何かの間違いよぉおおっっ!!!」


 一緒に生きてきたどんな時よりも顔を青くさせながら、狼狽えて動揺している。

 その剣聖の尋常じゃない様子に、何かを察したのだろう。聖騎士さんと聖魔道士ちゃんが反応を続かせる。


「ハハ…これは夢だ…。こんな事が現実なわけがない…。そうに決まっている……」


「むりムリ無理むりムリ無理むりムリ無理…。シンジナイシンジナイシンジナイシンジナイシンジナイ……」


「えっ? えっ? どうしたのお姉ちゃん!? それに二人も…。(イモモ(仮))…バカだから何も分かんないっ!! 誰か説明してよぉ〜! (イモモ(仮))を除け者にしないでぇッ!!」


 弓聖ちゃんだけは何が起こったのか、普段は格好良くて頼りになる大好きな姉が、何でこんなに取り乱しているのか、本気で分からないって感じだった。

 そんな弓聖ちゃんと瞳から(ハイライト)を失くした三人を、とっても憐れだ視線で見詰めていた聖女ちゃん…。


    ──それでも容赦なく突き離す。



「どうやら弓聖さん以外は、四つ目の理由が分かったみたいですね…。──酷な事を告げます。一応『おめでとうございます』と聖女として…仲間として…同じ女性として、祝福の言葉は贈っておきますね…。──流石に“妊婦(・・)”を連れての魔王討伐の旅は無理ですからッ!!」



   「嫌ぁぁああああアアアアッッッ!!!!!!」



 店内に剣聖の悲痛な叫び声が木霊する。


 聖女ちゃんの言葉と剣聖(あね)の絶叫で、漸く今の状況が理解できた弓聖ちゃん。


「にん…ぷ…? 妊…娠…した…の…? だ…れが…? (イモモ(仮))…たち…が…? だ…れの…? ウソ…だよね…?」


 三人同様。目から輝きを失くして、大粒の涙を止め処なく溢れさせる弓聖ちゃん。

 他の三人も壊れた魔導蓄音器みたいに、ずっと同じ言葉を繰り返している。

 もし、彼女(けんせい)達の言っていた事が…『心はまだ勇者(アナタ)』発言が嘘偽りのない本音なら、愛して“()”いない男の遺伝子()をその身に宿したんだ。自業自得とはいえ、同情心が芽生える。


 見ていてとても心苦しく、居た堪れない…。


 そんな女性陣を【聖女】らしい慈心に満ちた瞳で見詰めた後、『この落とし前をどうつける気だ? あ”?』ってな感じで戦士を咎めるように睨む聖女ちゃん。

(聖女ちゃん。本性は『ソッチ系(・・・・)』なんじゃ…)


「うっ…! おいおい冗談だろう…? それってスキルのレア度とかじゃねぇーのかよっ!」


 聖女ちゃんの鋭い視線に、一瞬たじろぐ戦士。

 しかし直ぐ様、(とぼ)けた様子で言い返す。


「んな訳ないじゃないですか。仮にそうだとしたら、【聖女(わたし)】や【勇者】さんの星の数が合いませんよ。だって【勇者】のスキルは星が幾らあっても全然足りませんから! それに、【聖騎士】より【剣聖】の方が希少価値(レアリティ度)は上です!」


「しっ、しかしよぉ〜…」


「往生際が悪いですね! そもそもこの星マークは女性の状態情報(ステータス)にしか表示されません。星マーク一つで一人分の命…。つまり弓聖さんと聖魔道士さんは一人! 剣聖さんは双子! 聖騎士さんは三つ子を授かっていると言うことですッ!!」


 聖女ちゃんの言葉でより一層泣きじゃくったり、取り乱したりして、「ああぁ…」とか「うぉおお…!」とか「うわぁああ…!!」とか、嗚咽を漏らしながら悶え苦しむ四人。(聖女ちゃん…。トドメ刺しにきてる?)


 そんな四人を見て深い溜息をした後、呟くように五人に問い掛ける聖女ちゃん。


「ハァー…。どうしてゴムを……ゴホン! ──避妊具を使用しなかったんですか? ちゃんと使っていればこんな事には…」


「そっ、それは戦士が…ッ!! ──私たちも最初は付けてってお願いしてたのっ!! でも戦士が『俺様を信用してくれれば全て大丈夫だ! それにお前(オメェー)さん達も、生でやる方がキモチイイだろう?(笑)』って言うから…」


「ああ…。『もし出そうになっても、ちゃんと外に出すからよ! 心配するなよなあ!』って言葉を信じ…鵜呑みにしてしまったのだ…」


「うん…。でも間に合わないで、中に出したら出したで『これぐらいで、そうそうデキやしねぇーよっ! どうしても不安なら、俺様が何とかしてやるw』って言ってたもん!」


「そう…。そしたら『妙案を思い付いた! だからこれまで通り、お互いに楽しくヤろうぜ♪ ヒャッハー!!』とか猿みたいに騒いで、有耶無耶にしていた…」


「なるほど。詰まるところ結局は皆さん『“生でヤる快感(ゆうわく)”』に負けて、肉欲に溺れた訳ですね?」


        「「「「うぐッ…!!」」」」


 聖女ちゃんの容赦ない一撃に、只々涙を流して下唇を噛む事しか出来ない剣聖達。

 そんな彼女達を一瞥し、聖女ちゃんは再び戦士を睨む。


「んで? そんな女性陣を一度も『“責任(・・)”』って単語を使わずに、言葉巧みに(そそのか)した『諸悪の根源』である張本人は、何か釈明はありますか?」


「諸悪の根源って…。俺様はただ聖女(アンタ)に頼んで避妊魔法を剣聖達(コイツら)に掛けてもらって、更に用心で聖女(アンタ)が持っていた薬を渡しただけだっ! 俺様は悪くねぇーッ!!」


 叱られた子供みたいに、怒号を飛ばして喚き散らす戦士。


 そんな戦士を冷徹で冷酷な瞳で捉え、隣で聞いている(こっち)の背筋が思わずゾクッとする程の心底冷え切った声で、


  「どこまでも見下げ果てた、下種(ゲス)(カス)(クズ)め…」


 と静かに呟く聖女ちゃん。俺達の空間(ばしょ)だけ吹雪が吹き荒れる、極寒の雪山に転移したんじゃないかと錯覚を起こすぐらい強烈だった…。(この短時間で、聖女ちゃんの隠された色んな一面を見れた気がする…)


 聖女ちゃんは平常心を装いながらも、声のトーンで明らかに怒っているのが分かる感じで言葉を紡ぐ。


「…どうせそんな事だろうと思ってましたよ。──良いですか、偽聖女ちゃんにそんな能力(チカラ)はありません。出来て精々掠り傷を治す程度です。それに貴方が勝手に避妊薬と勘違いした物は、私が偽聖女ちゃんに持たせていた只の非常食(ラムネ)です」


「らっ、非常食(ラムネ)…!?」


 戦士の驚きの声にコクンと頷き、胸元から小瓶を取り出す聖女ちゃん。(なんちゅー所に収まっているの!)


「はい、これです。偽聖女ちゃんは劣化複製体(コピー)とはいえ、元は私ですから燃費が非常に悪いんです。だから非常食としてこれを持たせていました。勿論、避妊といった効能や成分は入っていません!」


「うっ、嘘だろう…。それじゃあ…」

「私たちが飲んでたのって…」

「なんて事だ…」

「ひっぐ…。どおりで甘かった訳だよぉ…」

「酷い…」


 流石の戦士も自分がやらかした事が、如何にヤバい出来事なのか分かったみたいで、冷や汗を掻いて青ざめている。

 剣聖達も絶望感と悲愴感がより一層増していた。


「酷いと言いますが、別に私が悪い訳ではないですよね? そんないい加減な(ひと)の言葉など信用せずに、ちゃんと避妊していればここまで悪い事にはならなかった筈です。──さて、戦士さん。この惨状……どう『“責任(・・)”』を取る御積りですか?」


 聖女ちゃんの容赦ない追及に「そっ、それは…」と、しどろもどろに狼狽える戦士。

 自分より一回りも歳下の少女に言い詰められてる姿は、なんとも情けない。身体は大きく、歳も最年長である筈なのに、とても無様だ。


 それでもどうにか意地でも言い返したいのか、虚勢を張るように声を荒げる戦士。

 しかし戦士(クズ)が放った一言は、信じられないものだった。


   「だっ、だったら堕ろせば良いだろッ!!」


 コイツ…。今なんて言った…? 堕ろせって…。

 女性の尊厳を…命の重さを一体何だと思っているんだッ!! 巫山戯るなよっ!! 簡単に言うなッ!!


 俺は(せんし)に青筋を立てて憤慨する。

 けれど聖女ちゃんは極めて冷静に、落ち着いてゆっくりと言葉を返す。


「神聖教会の信徒である【聖女(わたし)】の前で、よくそんな事が言えましたね…。──良いですか、無知で愚かな戦士さん(アナタ)に御教えします。皇国(ここ)では基本的に堕胎は『生命への冒涜』と見做して禁止にしており、正当な理由が無い場合は罰則金を支払う事になっています!」


「ばっ、罰則金…?」


「ええ。それも莫大な。それに加えて病院や教会でも堕胎は色々と拙い…難しい案件扱いなので、高額な費用や多額の謝礼金が請求・要求されます。そうですねぇ〜…。分かりやすく例えるなら、罰則金は農民の平均年収三年〜五年程度。費用はそれの半分ぐらいだと思ってください! ──因みに。相手(・・)が明確に分かっている場合はその相手が九割方、罰則金や費用等を支払う事になっておりますので!」


「はっ、はぁああああッッ!? そんなに掛かるのかよおっ?! それに、何で俺様だけっ!? 納得出来るかぁああッ!! 詐欺だっ!! ぼったくりだあああッ!!」


 相も変わらず糞餓鬼みたいに喚き散らす戦士。

 こいつはホントに…。みっともない…。

 俺が言えた義理じゃあないが、ちょっとは最年長(おとな)の自覚を持てないのか。


 けれどそんな俺の気を余所に、聖女ちゃんはここでも冷静に言い返す。


「四の五のほざいても決まりは決まりです。まあお金さえ払えば、罪には問われないだけまだマシだと諦めてください。──ああ。付け加えるのを忘れていましたが、罰則金も費用も『回数』ではなくて『人数分』で加算されますので、そこもその中身カラっぽの頭に入れといてくださいね!」


「にっ、人数分…?」


「はい。まとめて一回でその金額ではなくて、一つの生命にその金額…。つまり貴方は合計『七人分(・・・)』の罰則金と堕胎費用を払う責務が生じている訳です! ──ところで。これまで自由奔放に生きてきて碌に真っ当な職に就かず、其の場凌ぎの冒険者擬きや傭兵崩れ。日雇い労働者みたいな事を繰り返してきて、何とか生計を立ててきた戦士さん。今のところ単純計算でも合計金額が相当なものなのですが………お金の当てはあるのですか?」


 戦士を嘲笑う様に、しかし目付きは鋭いまま問い掛ける聖女ちゃん。その眼光の威圧感に怯み、冷や汗をダラダラと掻いて目を激しく泳がせる戦士。

 暫く「いや…だから……それは…そのぉ〜……」と繰り返していたが何かを閃いたようで、顔をハッとさせてニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべながら言い返す。


 しかも放った一言は先程の言葉よりも恐ろしく、残虐非道なものだった。



「へへっ…。だったらよお…。俺様が腹パンして流産(なが)させてやるよお…! そうだ…それが良い…。それなら金も掛からねぇーし、その方が早い…。一石二鳥だあ…グゲヘヘヘw」



 目を血走らせ、狂気じみた不気味な笑い方をしながら、四人のお腹を見詰める戦士。

 その様子は明らかに常軌を逸していた。


「なっ、何言ってんのよ…戦士(アンタ)……」

「流石に今の発言は…冗談では済まされないぞ…ッ!?」

「ウソ…だよね? 頭…おかしくなっちゃったのかな…?」

「信じられない…。人の心とか無いの…?」


 流石の剣聖達も身の危険を感じたのか、ドン引きして戦士から離れようとする。

 けれど彼女達の腰ぐらいある太い豪腕で戦士に拘束(ガッチリホールド)されている為、身動きが取れないみたいだ。

「やめて…! 離して…ッ!!」と血相を変えて藻掻いている姿はとても必死で、見ていられなかった。


 そろそろ俺も本気で我慢の限界だったので、身を乗り出して「おい戦士っ! いい加減に……ッ!!」って言いかけた瞬間───。




    バチィイイインンンッッッッ!!!!!!




 と強烈な炸裂音が響き渡った。


 一瞬、その場に居た全員が何が起こったのか理解出来ずに混乱する。一番驚いたのはソレ(・・)を喰らった本人だろう。

 頬を真っ赤に腫らして頭に『???』を浮かべていた。

 俺は恐る恐る横に視線を移す。

 するとそこには、聖女ちゃんが何かを叩く動作をした後の姿があった───。












「おい、ゴ”ル”ァ”…!! 塵芥(ゴミ)(クソ)風情が、人様を嘗め腐るのも大概にせぇーよお…。あ”? 聞いとんのかワレェ…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ