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聖 女 無 双?②

予想外に長くなったので、分けてます。

次の次ぐらいで終わる予定です。


「それでは、皆さんが追放(クビ)になる理由……原因を簡単に説明しますね。一つ目は、あなた方がこの【勇者パーティー】に『相応しくない』からです!」


 パフェスプーンを咥えたまま人差し指を立てる聖女ちゃん。(だから行儀悪いよ…)

 暫くポカーンとしていた面々だが、例の如く直ぐさま剣聖が我に返り、聖女ちゃんに噛み付く。


「私達が相応しくないって……どうゆう──」

「まあまあ、落ち着いてください。私の話はまだ終わっていませんよ♪」


 勢い良く食って掛かろうとしたが手で制止され、窘められる剣聖。聖女ちゃんはニコニコと微笑みを浮かべる。

 出端を挫かれた剣聖は、聖女ちゃんの純粋無垢な微笑みに毒気を抜かれて押し黙る。


「それじゃあ続けますね♪ ──皆さんは選ばれた【勇者パーティー】なのに動きが全然バラバラ…。それぞれが自分勝手に好き放題行動して、連携がとれていない。主軸で中心で要であり、このパーティーのリーダーである筈の勇者さんを置き去り…蔑ろにして、それで【勇者パーティー】が務まると本気で思っているのですか?」


 表情は笑っているが、明らかにさっきまでの朗らかな感じが消え、醸し出す雰囲気がとても近寄りがたいものになる聖女ちゃん。


 どんな間抜けな人……空気が読めない奴でも瞬時に『あっ…。めっちゃ怒っていらっしゃる…』と悟る程の威圧感と存在感が半端ない。

 側に居る俺は、今にでも逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。(俺が怒られてる訳じゃないのに…。でも、こんな聖女ちゃん初めて見た…)


 聖女ちゃんの初めて見る姿に怯えて、畏縮する面々。

 それを気にせず、聖女ちゃんは続ける。


「なぜ勇者さんが皆さんの動きに合わせているのですか? 普通は皆さんが勇者さんの動きに合わせるべきですよね?」


 ここから聖女ちゃんによる怒涛のお説教時間(タイム)が始まった。


「先ずは……剣聖さん。あなたは無闇矢鱈に考え無しに突っ込み過ぎですっ! 馬鹿なんですか? 阿呆なんですか? 死ぬんですか? 敵がいたら取り敢えず突っ込まないと気が済まない、ちょっと特殊な猪さんなんですかッ!?」


「次に聖騎士さん。貴女はこのパーティーの壁役(タンク)ですよね? 何で誰よりも後方に下がって陣取っているんです? もっと前に出てください! ビビリなんですかッ!? その無駄にデカい盾と頑丈な鎧は何の為にあるんですかっ!? あと、囮役(ヘイト)もちゃんとやってくださいッ!!」


 聖女ちゃんの勢いは止まらない。


「それから弓聖さん。アナタは一体いつになったら誤射しなくなるんですか? 貴方の所為で私達が何回死にかけたと思っているんですッ!? 威嚇射撃も援護射撃も全然ダメ…。あなた本当に【弓聖】のスキル持っているんですか?」


「最後に聖魔道士さん。貴方もいい加減にしてください。何度言ったら分かるんです? 『時と場所を考慮して、それに合った魔法を使え』って私いつも言ってましたよね? 何で狭い空間で極大広域魔法(・・・・・・)を撃とうとしているんです? 私達まで殺す気ですかッ!?」


 息を切らし、もの凄い剣幕で捲し立てる聖女ちゃん。

 最後にちょっと強めに一言二言。


「どれもこれも、私と勇者さんがカバーやフォロー等を上手く熟してきたから何とかやってこれただけです! ちょっとの判断ミスで全滅もありえたんですからねっ!!」


 暫く四人を交互に睥睨したあと、深く深呼吸をする。

 すると、またいつもの温厚で大らかな聖女ちゃんに戻っていた。それから再びジャンボパフェを頬張り始める。


「と言うのが、あなた方がこのパーティーに『相応しくない』理由で、追放(クビ)になる要因の一つです。ご理解頂けましたか? これでも全然言い足りないぐらいなんですよっ!」


 と言いながら、鼻歌混じりにジャンボパフェをみるみる減らしていく聖女ちゃん。

 一方のお説教を受けた四人は図星を突かれたからか、顔を伏せて見るからに暗く落ち込んで居る。


 けれど、聖女ちゃんに恐る恐る質問する人物が一人。


「あの〜、俺様は…?」


「あ”あ”? 貴方は論外ですよ! 例を挙げるのも馬鹿らしくて億劫なので、何も言いません。でも敢えて言うなら、このっ………役立たずッッ!!!!」


 戦士の問に今迄聞いた事の無い、全員がびっくりする位のドスの効いた低い声で返事をして、辛辣な言葉を浴びせる聖女ちゃん。


 でも聖女ちゃんの言う通り、戦士を表すなら『役立たず』の一言に尽きるのである。

 これに戦士の全てが詰まっていると言っても過言ではない。俺も言いたくないが、それでも聖女ちゃんの代わりに言うと、


・戦闘が始まると真っ先に逃げだす、隠れる。

・雑魚敵にいつまでも時間を掛ける。

・進路、攻撃の邪魔になる場所に阿呆みたいに突っ立っている。

・回復アイテム等を無駄に、それも勝手に使う。

・余計な事をして、敵の数を増やす。

・いちいちどうでも良い事で過剰反応(オーバーリアクション)をする。

・只々煩い。

・俺達が弱らせた敵を横取りしてドヤ顔をする。

・調子にのって敵を挑発し、皆を危険に晒す。

・戦闘終了後、誰よりも働いた感をだす。


 これが極々一部である。挙げれば本当に切りが無い。

 今更だけど、何でコイツまだ居るんだろう…。

 他の一般的なパーティーなら、今頃とっくの昔に追放(クビ)になっているよな。我ながら不思議だ…。


 その戦士は納得出来ないってな表情で聖女ちゃんをガン見していたが、聖女ちゃんは気にも留めず話を続ける。


「これだけでも皆さんが追放(クビ)な理由は十分なんですけど、二つ目のご説明を行いますね。二つ目は……あなた方が『戦力外(・・・)』だからです!」


 いつの間にかジャンボパフェを平らげて、お口周りを備え付けの紙ナプキンで拭き拭きしている聖女ちゃん。

 人差し指を立てた後、いそいそと新しいジャンボパフェを取って、また俺の横に座り直す。(なんだろう…。めちゃくちゃカワイイ! 動作の一つ一つが愛おしく感じる)


 ちょっと気になってチラッと剣聖達の方を見てみれば、さっきまで落ち込んでいたのに、どうにか反論して見返してやりたいと猛り立っている様子が窺えた。


「これから大前提の話をします。剣聖さんや弓聖さんはともかく、聖騎士さん聖魔道士さん。お二人はこれから私達が討伐しようとしている【魔王】がどんな存在かご存知ですよね?」


「無論だッ!!」


「馬鹿にしないで…! 【終焉の悪魔王 サタン・オワリデス】…。それが何?」


 聖女ちゃんに問われ、強気で言い返す聖騎士さんと聖魔道士ちゃん。二人に睨まれるが、気にせず聖女ちゃんは話を続ける。


「宜しいです。この【魔王】は(チカラ)も強大ですが、何よりも恐ろしくて厄介な能力…特性があります。それは『とある特定の(・・・・・・)攻撃以外は(・・・・・)一切の(・・・)ダメージ(・・・・)が無効(・・・)』とゆうチート級の代物です」


   「「「「「なッッ!?!?」」」」」


 五人揃って、その驚愕の事実(?)に声を出して驚く。

 えっ…? いや、何で今更そんな事で驚いているの?

 そんな当たり前の事に驚いている事に、俺は逆に驚いているんだけど…?


 俺が五人とは違う意味で驚愕しているのを余所に、聖女ちゃんの話はまだ続く。


「例えどんな強力な一撃や魔法だろうと、ダメージを与える事は一切出来ません。寧ろ回復させてしまいます。その配下の【四魔将】も能力の影響を受けて殆どダメージが通りません。ここまでは一応【勇者パーティー】なら知ってて当然の話なのですが…。勿論ご存知でしたよね?」


 聖女ちゃんに問われてそれぞれ


(初耳なんですけど…)

(そうだったか…?)

(何それ?)

(ボクが持ってない情報…)

(しっ、しらねぇぇ…!!)


 といった心の声が聞こえてきそうな、困惑な顔をしていた。それに対して聖女ちゃんも『コイツら…マジか……』って言いたそうな、げんなりとした表情を浮かべて深い溜息を吐いていた。


 そんな聖女ちゃんを見て再び剣聖が食って掛かる。


「そっ、その話が本当ならどうやって魔王を──」

「話はまだ途中です。最後まで黙って聞いてください!」


 まさか五人が勇者パーティー(オレたち)にとって最低限の常識を知らなかった事に、呆れ果てている聖女ちゃん。

 剣聖の問も遮り、語尾も若干強くなっている気がする。


「私は言いましたよね? 『ある特定の(・・・・・)攻撃以外(・・・・)』と。そのある特定の攻撃とゆうのは………【聖なる加護】持ちによる攻撃です!」


「【聖なる加護】持ちぃ?」


 弓聖ちゃんが首を傾げて聞き返す。それに聖女ちゃんは微笑みながら、小さく頷く。(でも目は笑っていない…)


「ええ。このパーティー…特に私たち女性陣の【スキル】に共通する点がありますよね? はい! 一応、皇国魔道師団のホープである聖魔道士さん。お答えください」


「ボク達のスキルには『聖』の字が入っている…?」 


 いきなり聖女ちゃんに指名され、ビクッと身体を跳ねらして驚く聖魔道士ちゃん。ビビリながらも、怖ず怖ずと回答する。それを聞いて、こちらも微笑みながら小さく頷く聖女ちゃん。(だから目が恐いんだって…)


「その通りです。この世界では剣や弓の達人ってだけではなく、それに【聖なる加護】が付与されたものが【剣聖】や【弓聖】になります。普通の達人スキルなら【剣帝】や【天弓】といったスキルがありますから」


 もう何本目かも分からないパフェをいつの間にかまた平らげて、空になった器の底をパフェスプーンでコツコツと小突く聖女ちゃん。(ちょいちょい行儀が悪いんだよなぁ…。まあ、そこがまた可愛いところなんだけど…)


「そっ、それがどうしたって言うのよッ!」


 尚も聖女ちゃんに噛み付く剣聖。


 それを『やれやれ…』といった感じで軽く首を振った後、ジャンボパフェを取りに行って、然も当たり前の様に俺の側に戻ってくる聖女ちゃん。


『此処は私の特等席です! 誰にも譲りませんッ!!』ってな感じだ。(なぜだろう。めちゃくちゃ嬉しい…)


 どこか寂しそうな顔をしながら、ジャンボパフェを頬張り始める。どうやら運ばれて来た(パフェ)が残り少ないらしい。

(漸くか…。聖女ちゃんの胃袋も凄いが、このお店もパフェだけで一体どんだけの種類があるんだよ…)


「魔王はこの【聖なる加護】を持ったスキルでしかダメージを与える事ができません。四魔将も同様です。これから便宜上これを『聖シリーズ』と呼称しますね。──さて、ここからが本題です!」


 パフェスプーンを人差し指を立てるようにして、少し溜めて続きを話す聖女ちゃん。


「実はこの聖シリーズ……大変希少で特別なスキルではあるのですが、それと同時に大はずれスキルでもあるんです!」


「私達のスキルが大ハズレ? それはどう言う意味だ!」


 今度は聖騎士さんが反応する。

 聖女ちゃんは軽く頷き、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

 俺達はそれに聞き耳を立てる。


「この聖シリーズは『絶対条件(・・・・)』がありまして、それがこのシリーズの最大の“欠点(デメリット)”になっています!」


「何なのよそれっ! 勿体ぶってないで、さっさと言いなさいよッ!!」


 急かす剣聖。聖女ちゃんは溜めに溜めたあと、吐き出す様に告げる。



「それは一部の(・・・)例外を(・・・)除いて(・・・)、穢れを知らない純潔──。つまり『処女と童貞(・・・・・)』じゃないとスキルが消失するか、良くてもランクダウンすると言う事ですッ!!」



 聖女ちゃんから発せられたその言葉に、俺も含めた全員が暫く理解出来ずに固まる。

 がしかし、直ぐに各々絶望の声や怒号を飛ばす。


「はぁあああっ!? そんなのあり得ないッ!! どうせ嘘なんでしょうッ!?」


「剣聖殿の言う通りだ!! 全く馬鹿げているっ!! 信じられるかッ!!」


「私…もう…勇者にぃと……一緒に居られないの…?」


「そんな……ボクの自慢のスキルが…。まだ勇者クンに恩を返せてないのに…」


「おいおい…。マジかよ…」


 これは俺も初耳だった。『魔王には聖なる加護持ち──』云々(うんぬん)は知っていたが、まさか“純潔(・・)”じゃないと駄目とは…。

 聖女ちゃんは無慈悲にも話を続ける。


「嘘じゃありませんよ。まあ、信じたくない気持ちも分かりますが…。あなた方には論より証拠ですよね。これを見てください! ──『鑑定』ッ!!」


 聖女ちゃんがそう発すると、それぞれの目の前に半透明の四角い形状の物体が出現する。


「これは私も含めた今の皆さんの状態情報(ステータス)です。私の【聖女】の(チカラ)の一つに『鑑定』がありまして、それを使いました。まあ、ちゃんとした【鑑定士】じゃないので、とても大雑把な情報しか表示しないんですけどね…」


 そこには俺達の名前やらスキルやらが、簡略的に…悪い言い方をすれば、適当な感じで記されていた。



◇◆◇◆◇◆◇◆


  ✡ユッシャー(仮)  男(童貞(うぶ)

  ・スキル 【勇者】

  ・レベル 超強い(まだ魔王は倒せない)

  ・サイズ 極太摩天楼(もの凄く…大きいです…///)

  ・持久力 ∞(不死鳥の如く)


  ✡セイージョ(仮)  女(処女(おとめ)

  ・スキル 【聖女】

  ・レベル かなり強い(後衛最強治癒師(ヒーラー)

  ・サイズ 爆 乳(規格外)

  ・その他 勇者との相性抜群(勿論、夜の方も…♡)



  ✡オサナー(仮)  女(不貞(ヤリ◯ン))  ✯✯

  ・スキル 【へなちょこ剣士】

  ・レベル ちょい弱い(猪突猛進)

  ・サイズ おっぱい(男の願望)

  ・その他 勇者の汚馴染(逆転負けヒロイン)


  ✡クッコローセ(仮)  女(自堕落(ア◯ズレ))  ✯✯✯

  ・スキル 【ビビリ騎士】

  ・レベル そこそこ強い(慎重すぎる)

  ・サイズ 巨 乳(儚い夢)

  ・その他 性騎士お姉さん(薄い本の読み過ぎ)


  ✡イモモ(仮)  女(尻軽(ビッ◯))  ✯

  ・スキル 【ヘタクソ弓使い】

  ・レベル 弱い(当たればラッキー)

  ・サイズ ちゅっぱい(現実的)

  ・その他 ウザイぶりっ子(泣き虫)


  ✡ボクーコ(仮)  女(淫乱(メスブ◯))  ✯

  ・スキル 【ポンコツ魔道士】

  ・レベル まあまあ普通(取り敢えず最大魔法)

  ・サイズ ちっぱい(希少価値)

  ・その他 遅めの思春期(興味津々)


  ☠フケゴリオ(仮)  男(屑野郎(クソイキリ)

  ・スキル 【☠雑兵の中の雑兵(キングオブクソザコ)☠】

  ・レベル 壊滅的に最低最弱(人生詰んでるw)

  ・サイズ 小型クレーン車(井の中の蛙で草)

  ・思 想 絶対独善主義(ガチの粕でワロタ)


 ◇◆◇◆◇◆◇◆



 何だろう。なんて言うか……色々酷いな…。


 気になる箇所…ツッコミたい事が多々あるけど、確かに聖女ちゃんが言った通り、剣聖達のスキルがランクダウン?して、変なスキルになっている。


 チラッと剣聖達の方を見たら五人全員、顔面蒼白だった。

 そんな五人に容赦なく、無慈悲にも言葉を投げ掛ける聖女ちゃん。


「ホラ、やっぱり! 成程、どおりで…。だから最近はより一層使えなっ──ゴホン。一段と動きが悪かった訳ですね。でも良かったじゃないですか、この程度で済んで。まあ私としては、スキルが消失しててもおかしくないと思っていたんですけどね」


「嘘よ……こんなの…」

「そうだ…こんな…デタラメな情報…信じないぞ…」


 完全に意気消沈の二人…。見てるこっちも居た堪れない気持ちになる。それでも聖女ちゃんは追い討ちを掛けるか如く溜息を吐いて、二人に提案する。


「まだ納得出来ないんですか? はぁ〜…。仕方ないですねっ! だったら試しにこの場で、それぞれお二人の十八番である『大技』を発動してみてください!」


「えっ…?」

「しかし…アレは……」


 聖女ちゃんの申し出に渋る二人。それを聖女ちゃんは挑発的に…(トゲ)のある言い方で促す。


「心配しなくても大丈夫ですよ。どうせ無理なんでっ! 何かあれば(・・・・・)責任は私が取りますから! ほら、早く早く♪」


「ぐっ…! 調子に乗って…ッ!!」

「馬鹿にするなよ…ッ!!」


 聖女ちゃんの安い挑発…催促に、顰めっ面で応える剣聖と聖騎士さん。当の本人は鼻歌混じりに煽る煽る。

 剣聖は鞘から赤い刀身の剣を抜いて構え、聖騎士さんも二メートル近い大きな盾を構えて、それぞれの十八番である大技を唱える。


「【神速連斬撃ハイスラッシュ・ラッシュ】ッ!!」

「【無敵の聖障壁(イージス・ウォール)】ッ!!」


      ───シーン……。


 ・・・・アレ? 何も起こらない? 不発か?


「なっ、なんで…!? もっ、もう一度っ!! 神速連斬撃ッ!! ううっ…。神速連斬撃ッ!! 神速連斬撃ッ!! 神速連斬撃ッ!! そんな……どうして…?」


「ぐっ…!! 無敵の聖障壁ッ!! 無敵の聖障壁ッ!! 無敵の聖障壁ッ!! 駄目だ…。こちらも全然出ない…」


 息も絶え絶えに、今自分達に起こっている出来事が信じらないと言った感じで、困惑の表情を浮かべる二人。

 そんな二人を少し小馬鹿にする様に、聖女ちゃんが首を左右に振る。


「いくらやっても無駄ですよ。【神速連斬撃ハイスラッシュ・ラッシュ】に【無敵の聖障壁(イージス・ウォール)】…。どちらも【剣聖】と【聖騎士】のみが使える大技ですので、今の変梃(へんてこ)なスキルのあなた方じゃあどんなに頑張ったって発動しません。これで漸くご納得頂けましたか?」


「そんな……それじゃあ本当に…」

「私達のスキルは…。父上に何と報告すれば……」


 肩をガクンと落として、絶望の色に顔を染める二人。

 残り二人の弓聖ちゃんと聖魔道士ちゃんも更に顔色を悪くして、今にも泣き出しそうだ。(弓聖ちゃんにいたっては、嗚咽を漏らして殆ど泣いている様なものだ)


 ちょっと可哀想とは思うが、完全には同情しない。

 俺だってそれぐらいの絶望を味わったんだ…。

 重たい空気の四人を余所に、またもや聖女ちゃんに質問する輩が一人。


「おいおいおい…。俺様の超イカしてるスキルも、何か変なのになっているんだが…? それに俺様のスキルにだけ不気味なマークが付いているしよおっ!」


「あ”あ”ん”? 知りませよ、そんな事。言っておきますが、元から『聖なる加護持ち』じゃない貴方は最初から『戦力外』でしたよッ!!」


「おべえっ?」


 これまで以上に低い声でそう一喝して、他の四人とは明らかに違う…侮蔑的な態度で戦士を睨み見る聖女ちゃん。

 他の四人には何だかんだで慈愛じみた…慈悲的な感情が見え隠れしていた。だけど戦士にだけはそれが一切無い。


 聖女ちゃんは軽く咳払いし、五人を見回したあと残ったジャンボパフェを掻っ込んで、話を続ける。



「とまあ、これがあなた方が追放(クビ)になる二つ目の理由です。もうこの時点で十分過ぎるぐらい終了(アウト)なのですが、私的には三つ目の理由の方が一番重要(・・・・)なので、お話ししますね!」

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