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長編版 王太子に婚約破棄されましたが幼馴染からの愛に気付いたので問題ありません  作者: 天田 れおぽん @初書籍発売中


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賑やかな出産

 華やかで賑やかな年越しを終え、雪に凍える日も過ぎて、暖かさが花々を花開かせる頃。


 アリシアのお腹は、はちきれんばかりに膨らんでいた。


「もう、なんなのコレ。三つ子でも出てくるのかしら?」


 アリシアはフーフー言いながら、椅子から立ち上がった。


「さすがの「金の魔法」も、そこまで大きくなったお腹は、軽くしてはくれないか?」

「当たり前でしょ、お父さま」


 少しむくれて言うアリシアの姿に、その場にいた他の者は思わず噴き出した。


 両親とアリシア、そしてレアン。


 朝食を四人で摂ることにも慣れてきた。


 後は新しい家族の登場を待つばかりである。


 そして、その時は突然、訪れた。


「ウッ……」


 アリシアは椅子の背もたれを掴んで、苦しげに顔をゆがめた。


「アリシア⁉」


 隣に座っていたレアンが、驚いて立ち上がる。


 父であるリチャードも、気遣わしげな表情を浮かべて立ち上がった。


「ふふ。そろそろかしらね」


 母であるニアは、にっこりと笑みを浮かべた。


 そこからの展開は早かった。


 ダナン侯爵家に常駐していた医師が呼ばれ、メイドたちは沢山の湯を沸かし、慌ただしく使用人たちが動き回るなか、男たちは意味もなくいったり来たりを繰り返し、ニアだけが椅子に腰を下ろして静かにその時を待った。


「痛ーいっ!」

「若奥さま、もう少しの辛抱です。耐えてください……。今ですっ! いきんでっ!」

「んんーっ」


 アリシアはベッドの上で唸っていた。

 その部屋にいるのは、医師と看護士だ。

 その傍らを、メイドたちが忙しく出入りしている。


「大丈夫でしょうか?」


 アリシアが戦う部屋から追い出されたレアンが、ドアの方を心配げに見つめる。


「だっ、大丈夫だよっ。アリシアは強い子だっ」


 廊下を熊のように行ったり来たりしているリチャードが答えた。


「二人とも落ち着いて? 慌てたって、子どもが早く生まれるわけじゃあるまいし」


 ニアは椅子に座ったまま、ニコニコして男性ふたりをたしなめた。


「義母上は、落ち着いてますね」

「ん、ニア。キミは、落ち着き過ぎでは?」


 レアンとリチャードに突っ込まれても、ニアが動じることはない。


「ふふ。経験者ですからね。大丈夫ですよ。それにアリシアには「金の魔法」がかかっているんですから。そこにいるレアンに何事もなければ、無事に赤ちゃんは生まれます」

「それは分かっているが……あぁ、落ち着かないっ」


 リチャードは苛立ちを解消するかのように、自分の髪を乱した。


「頭では分かっていますが……不安ですよ」


 レアンはドアの方を見つめた。

 部屋の中からは、アリシアの唸り声と叫び声が交互に聞こえてくる。

 レアンは心配げに眉をひそめた。


「産まれましたー!」


 医師の叫びが響き、男性陣を呆れながら見ていたニアの表情が輝く。


「あぁ、やっと会えるっ!」


 スックと立ち上がったニアに対して、男性陣はホッとして力が抜けたように椅子へと腰かけた。


「もう、殿方ときたら。まったく……」


 ニアは呆れたように溜息を吐くと、スタスタと部屋の中へと入っていった。


 レアンとリチャードは、椅子の上で大きな安堵の溜息を1つ吐き、ニアの後に続いて部屋の中へと入っていった。

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