エピローグ
バティスタたちはすでにホールに到着し、黒服たちを全員縛り上げていた。なぜかボコボコに殴られたカルロも縛られて転がされていた。
解放された人々は皆安堵の表情を浮かべ、喜びを分かち合っている。王子アレミオはその中心で1人1人と抱き合っていた。ようやく、長い夜が終わったのだ。
否、まだシオンとベアトリーチェが戻ってきていなかった。ルカの声を聞いて、シオンは屋上へ向かったのだろうか。
(私はまだ、シオンとの約束を果たしていない。すぐに助けに行くぞ。)
その時だった、階段からベアトリーチェに肩を借りて降りてくるシオンの姿があった。
「…ベアトリーチェだ!」
「おおお、生きていたか!」
「シオンも一緒だ!」
「シオン万歳!!」
「シオン・エスタリオル、万歳!!」
ホールは大歓声に包まれた。大勢に囲まれ、笑顔を見せるシオン。アレミオ王子もシオンを抱きしめ、喜びを爆発させた。
「あなたこそが真の英雄だ、シオン。生きていてよかった。ベアトリーチェも。」
先ほどの屋上での魔術はシオンに致命的なライフ消費を強いるものであった。しかし、不思議とその時シオンは身体の負担を感じなかったという。同時に砕け散った真紅の魔石、ゴールデン・ジュビリーと関係があったのかどうかは、誰にも知るすべがなかった。
その時、ホールの入り口の大扉が開いた。
キラキラと光る粒子に包まれ、空飛ぶ黄金色に輝くかぼちゃの馬車…正確にはロバだったが…が舞い降りてくる。美しいドレスに身を包んだマダムが敬礼した。
「お帰りの馬車はこちらですよ。シオンさん。」
馬車からはタキシードのジャンが降りてきた。
「どうだい、いい演出だろう?ヒーローにはこれくらいが似合うと思ってね。」
シオンとベアトリーチェは腕を組んで馬車に乗り込むと、民衆の大歓声を受けながら、星々の瞬く夜空を駆けていった。
初めての小説でしたが、どなたかが読んでくれていることだけをモチベーションに、勢いに任せて一気に4日間で書き終えることができました。ブックマークには本当に心が救われました。読んでくださった方、本当にありがとうございました!
書いているうちに想定よりも短くなってしまったので、今後は少し戻って説明を追加したりして膨らませたいと思っています。きっと分かりづらい部分多々あったと思います。申し訳ありません。
もし読んでくださる方が1人でもいらっしゃるなら今後も色々な物語を書きたいと思います。ご感想などありましたら是非お気軽にご連絡いただけると幸いです。
お付き合いいただき、ありがとうございました!




