外からの仲間たち
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たまたま兵舎へ飛んでいった花火を目撃した、隣町から来ていた魔術師ジャンは、胸騒ぎを覚え城へと向かっていた。
(城の入り口に見張りがいない。そして城にほとんど明かりが灯っていない…。)
王子アレミオの誕生日前夜祭であることを考えると、明らかにおかしかった。そしてなぜこんなにも静かで暗いのだろう。そう考えながら城門に向かって歩いていると、突然強い力によって手が弾かれた。
「熱っ…!」
ジャンがよく見ると、薄緑色の結界によって城と外界とが遮られていた。結界に触れた部分はほんの一瞬で赤く爛れてしまった。
「反マナの結界…これほどの強い魔力…!ランクAの魔術師か」
ジャンは城内へ強行突入することは諦め、胸に手を当てると目を閉じてその能力「テレパシー」を使った。
城内に生存反応あり。
「テレパシー」は、基本的には魔術師同士で遠距離で連絡を取るための魔術である。
しかし「テレパシー」の送り手は「テレパシー」の特性を持っていなければならない(レア度B)。
一方で受け手はわずかでも魔力を持つ者であれば大丈夫である。
誰かいるなら、返事をしてくれ。
ただし、反マナの結界内に城がある以上、魔術が使える人間が城内にどの程度いるのだろうか。「テレパシー」は魔術の使える人間相手としかやり取りはできない。
(私はジャン。誰か聞こえるか?)
(…これはテレパシーというやつか?城外のお方よ。連絡をくれて嬉しい。俺の名前はシオン。シオン・エスタリオルだ。君に助けてほしいんだ。)
+++
城の地下では、まだ爆弾の設置作業が進められていた。
ほんの数時間前馬車でシオンを城まで送り届け、明日のシオンの帰りを待つ馬車の主マダムは、一緒に来たロバと、資材置き場の裏側で藁の上で隣り合わせに気持ちよさそうに眠っていた。
「ぐーぐー…フガッ!むにゃむにゃ…」
「ブルルルッ」
「なんだ、何か聞こえなかったか?」
「気のせいだろ、誰もこんなところ来やしねぇよ」




